ソウルで集団万引容疑で高校生が検挙されたことについて、経緯を説明する埼玉県内の同校の副校長(左)=10日午後、埼玉県内(宮崎瑞穂撮影)

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 親善試合のために韓国を訪問中、集団万引きしたとして埼玉県内の高校のサッカー部員22人がソウル警察に摘発された事件。

 高校では10日午後7時から副校長が会見し、「取り返しのつかないことをしてしまった」と深々と頭を下げた。

 報道陣と副校長との主なやり取りは次の通り。

 −−これまで学校が把握している経緯を説明してほしい

 「3月23〜27日の間、4泊5日の予定で、サッカー部がソウル市内の高校およびクラブチームと練習試合のため、韓国の遠征計画を建てて実施した。26日まで試合が組まれていて、韓国の学校やチームと試合を行った。最終日の27日、金曜日の10時半ごろ、ソウル市内のミョンドンに移動しショッピングするため、現地の添乗員の親戚がやるショッピングモールにぜひ寄っていただきたいというリクエストがあって、そこに寄った。そのモール内であればということで自由行動にした。

 12時30分にバスに集合して空港に移動し15時5分の成田行きでインチョンを出発。17時半に成田に到着して、依頼していたバスに乗り込んだところ、18時ごろ、向こうの添乗員から電話が入り、『ショッピング中に店員に注意された生徒がいませんか?』と聞かれたので、監督が聞いたところ、1人が注意を受けたと申告した。『注意を受けた者が1人いる』と伝えると、デパートの警備員さんから『おかしな映像が映っているので、ものを盗んだ生徒がいないか確認してほしいと言われている』と添乗員から連絡をいただいた。

 その場で確認したところ、バスの中で22人の生徒が『私が万引しました』と言ったのでそこで発覚した」

 「4月2〜4日にかけて、チケットの関係で監督が最初に韓国に行きました。その後、バラバラに生徒何人かを連れていった。2、3日に警備会社を訪れ、会議室で調書を取りました。向こうは通訳が3人いた。物品は没収され、その後、店に移動し謝罪を行った」

 「その後警備会社から『警察の方でも確認があるので』というので警察の方に行って調書を取られたということです。今まで本校が把握した流れはこういったことです。

 「盗んだ数はキーケースや化粧品のポーチ、小銭入れなど42点15万5千円になります。向こうの警備員に1点1点没収していただいて、この品物はいくら?と警備員と確認しながら、お店の人に値段を決めてもらい支払わせていただいて、お店の方警備会社の方には『これで示談になります』という言葉をいただき帰ってきた」

 「そもそも警備会社から『示談にするためには代金をお支払いしていただく、没収させていただくので、もう一度韓国に来てもらいたい』というので、ぜひということで謝罪に行かせてもらった」

 「参加したのは41人の遠征団。内訳は、新3年生で当時2年生の36人。新たに2年生になったのが1人で選手としては37人。ほかに本校の教諭である48歳の監督とコーチ。こちらで雇った通訳とマネジャーの女子1人の合計41人ということで参加している」

 「万引した生徒らは6日以降、自宅謹慎ということにしている。これからがある若者たちですので、謹慎は処分ということではなく指導の一環として、自分を見つめ直すという意味で、反省文や課題を課している。個々の生徒で反省の度合いなども変わるので期間も何日と決めるのではなく、個々で異なるシステムを取っている」

 −−なぜ万引したのか

 「私たちも生徒たちに聞きました。その場所は10数店舗が集まっているようなフロアで、店員は2、3人しかいなかったらしいんですね。生徒がいうには『店員がいなかったから』『誰かがやったのを見て、これなら俺もできると思った』とか、『つい出来心で』とかということで、最後の土産やで万引するぞとか、誰かが先導したということではないようです。向こうの調書でも答えているし、教員が聞いてもそのように答える。今後、個人的に家庭訪問を実施しながら、生徒の内面的なところは、どうしてとかどんな気持ちがしたかということはこれからしていく」