【ニューヨーク=稲井創一】米ゼネラル・エレクトリック(GE)は10日、約265億ドル(約3兆1800億円)規模の不動産や関連金融資産を売却すると発表した。米投資会社ブラックストーンが大半の不動産を取得するほか、米銀行大手ウェルズ・ファーゴも不動産関連の金融資産の一部を獲得する。脱金融の経営改革を進め、製造業回帰を加速させる。
売却する不動産はオフィスビルなど多岐にわたる見通しだ。GEのジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)は2016年までに営業利益に占める金融事業の比率を25%(14年は40%強)まで下げる方針を掲げていた。10日は18年までに金融事業を10%にまで縮小させる目標を新たに明らかにした。
今回の不動産売却も金融子会社、GEキャピタルの事業縮小の一環で、脱金融の経営改革を進める。イメルト氏は10日の声明で「(今回の不動産売却は)GEの競争優位性を高めるうえで大きな一歩となる。産業分野の成長戦略に一致するものだ」と述べた。
GEは08年の金融危機で金融事業が打撃を受けた。一時的に資金繰りも窮したとされる。リスクの高い金融事業を遠ざける一方で、安定して稼げるガスタービンや航空機エンジンなど産業分野への回帰を急ぐ。14年には低収益の家電事業の売却を決めるなど、脱金融に加え産業分野でも「選択と集中」を進めている。
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