ロンドンの空を彩る高級「空き箱」マンション-選挙で争点に
2015/04/10 07:33 JST
(ブルームバーグ):ピーター・リース氏はロンドンの金融街シティーにある高層マンションに住んでいる。入居直後からマンションで自治会をつくろうとしたのだが、大きな障害に突き当たった。住民があまりいないのだ。
戸数284の「ヘロン」タワーマンションは2013年9月に完成。シティー当局で都市計画を担当していたリース氏は「自分のマンションに近づいたこともない持ち主を探し出すのはとても難しいことが分かった」と話す。「名前も分からなかったり連絡がつかなかったり」だという。
物件を購入した持ち主が鍵を受け取りにさえ来ないような現象は、5月7日の総選挙での争点の一つになりつつある。英国では46万戸もの住宅が空き家になっている。
有力な次期ロンドン市長候補と目されている元労働党議員のテサ・ジョウェル氏は空き家のオーナーに罰則を科すことをキャンペーンの目玉にしている。
同氏は「富裕な海外投資家がロンドンの住宅を、住むための家ではなく値上がりの見込める資産として購入し空き家にしている一方で、非常に多くのロンドン市民が仮住まいや住居を得るための順番待ちを強いられている」と指摘。「市議会に空き家のオーナーを罰する権限を与えることが急務だ」と論じた。
ヘロンの広報担当、シャーロット・パーマー氏は、同マンションで買い主が鍵を取りに来なかったのは1軒だけだと述べた。
リース氏は「誰が買っていてもいいが、ロンドンでは希少な良い土地に投資目的だけの建物を造って無駄にするのは許せない」と主張。「空を彩るただの空き箱だ」と憤りを隠さない。
原題:London Skyline of Empty Luxury Homes Draws Election Penalty Vow(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Patrick Gower pgower@bloomberg.net;ロンドン Neil Callanan ncallanan@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Andrew Blackman ablackman@bloomberg.net Michael Shanahan
更新日時: 2015/04/10 07:33 JST