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謎の芸人・マツモトクラブ成り上がり秘話 敗者復活からR−1ファイナリストの素顔

夕刊フジ 4月10日(金)16時56分配信

 2月に放送された「R−1ぐらんぷり2015」の敗者復活ステージからファイナルステージまで進み、お茶の間に大きなインパクトを与えたのがマツモトクラブ(38)だ。一風変わった一人コントで注目を浴びた遅咲き芸人の“成り上がり秘話”に迫った。

 「R−1」のBブロックで見せたのが、ストリートミュージシャンの心の声を相手に、帰ろうとしない迷惑な客を演じるという奇妙なコント。彗星(すいせい)のごとく現れたピン芸人はファイナルステージで、わずかばかりの賽銭(さいせん)で神社で山ほどの願い事をする男を演じるネタを披露し、爪痕を残した。

 「(R−1の)挑戦は4回目。『ストリートミュージシャン』は潜在的に残っている場面と、実際に見た風景をヒントにつくりました。披露したとき、周りの芸人が今までにない反応をみせたので、今回はチャンスかなと思っていました」と明かす。

 お笑いデビュー前は「マクベス」や「真夏の夜の夢」などに出演したれっきとした舞台俳優。「佐野史郎さんや吉田鋼太郎さんもいらした『劇団シェイクスピア・シアター』に13年もいたんですが、金銭面で続けるのが難しくなり、劇団を辞めて、1年くらいは普通の仕事をしてました」

 だが、演じることを諦めきれなかった。自分のしゃべりと動きをiPhoneで撮影し、その動画をネットで公開していたところ、劇団時代の後輩から事務所を紹介され、3年前の35歳の時にお笑い芸人に転身した。

 笑いは映画や演劇、落語に近い発想から生まれている。「事前に録音したセリフを流して、やりとりするというスタイルはずっと変わっていません。音を使っていないネタはひとつもありません」と独特の世界観にこだわりをみせる。

 人間の心の叫びや姿のない声を相方にして、役者時代に培った演技力で笑いに転化させるネタは斬新だ。「余計な説明をしなくても、パッと見ただけで分かってもらえるというシチュエーション作りが難しいんです。だから日常によくある風景から入っていければいいなと思ってネタを書いてます」

 完成度の高いネタが詰まった初DVD「ヒゲメガネ thank you!」(コンテンツリーグ)も5月27日に発売される。「ここを新たな旅立ちのスタートとして、芸人として、自分のどのようなニーズがあるのかを探していきたい」

 新しいものほど、ブレークするまでは、なかなか理解されないものだ。

最終更新:4月10日(金)21時52分

夕刊フジ