津波被災 校舎新築遅れ相次ぐ
東日本大震災の津波で被災した岩手、宮城、福島各県の小中高校で、校舎新築による再出発を決めた学校の建設計画に遅れが相次いでいる。高台など移転先の整備が伴うため、もともと時間を要するのに加え、入札不調が発生。復興のまちづくり自体が停滞するなど幾つもの困難が立ちはだかる。(坂井直人)
<30校中4校>
3県などによると、校舎を新築する計30校のうち、再建できたのは8日に始業式があった陸前高田市の高田高を含め4校にとどまる。大船渡市では2016年4月の利用開始を目指していた越喜来小と赤崎小の計画が遅れる見込みだ。
このうち越喜来小については、ことし2月の建設工事の入札が不調となった。復興事業の本格化で型枠工、鉄筋工などの職人や資材不足が深刻化。労務費などの実勢価格は上昇が著しい。市は予定価格を最新単価に見直し、近く再入札を行うことにしている。
赤崎小は一部の地権者との用地交渉が難航した。岩手県収用委員会に昨年10月に土地収用を申請、半年近くたった3月下旬にようやく認められた。
市教委は両校とも16年度内の完成を目指すが、入札不調が続けばさらにずれ込む。「今が正念場。周辺自治体の入札状況も参考に万全を期す」(生涯学習課)と神経をとがらす。
<五輪に不安>
まちづくりの足踏みも学びや再生に影響を及ぼす。
小中一貫校として新設する名取市の閖上小、閖上中は、開校を予定より1年先の18年4月に修正した。壊滅した地域の区画整理事業が遅れ気味のためだ。
造成した高台に移る陸前高田市気仙小。市教委は18年度後半以降の新校舎完成を見込むが、担当者は「岩盤地帯で切り崩しに苦労している。造成が順調でも、次は東京五輪がどう影響するか…」と気をもむ。
石巻市北上小は被災者の住まいとの兼ね合いから建設時期すら見通せない。校舎整備予定地に仮設住宅が建ち、今も入居率は84%に達する。市教委は「住民が次の住まいに移るスケジュールが定まらないうちは話を進められない」(学校施設整備室)と漏らす。
計画遅れのリスクを少しでも回避しようという動きもある。釜石市や宮城県山元町は小学校の校舎を、資材高騰や職人不足に影響されやすい鉄筋コンクリートではなく、木造設計にするなど知恵を絞る。
2015年04月09日木曜日