日銀が10日発表した貸出・預金動向(速報)によると、2014年度の銀行(都銀等、地銀、第二地銀)に信金を加えた貸出平均残高は前年度比で2.4%増の480兆8345億円で伸び率は08年度(2.4%)以来6年ぶりの高さだった。
14年度は企業のM&A(合併・買収)や不動産投資信託(REIT)、電力向けの大口融資の拡大が続いた。円安の進行で外貨建て貸し出しの伸び率が押し上げられた面もある。地方銀行では中堅、中小企業向けに融資が広がっているほか、個人向け住宅ローンや地方公共団体向けの貸し出しの伸びも続いた。
08年度はリーマン・ショックを背景にした信用収縮で、企業の社債やコマーシャルペーパー(CP)の引き受け手がいなくなり、企業が資金調達手段を銀行融資に頼ったことで貸し出しが伸びた。今回は景気の緩やかな回復基調を受け、企業や個人の資金需要が持続的に高まっている。
3月の銀行の貸出平均残高は前年同月比2.7%増の424兆8690億円だった。伸び率は前月から0.1ポイント広がり、14年12月以来の大きさになった。都市銀行を中心にM&AやREIT向けの大口融資が増えた。
業態別にみると都銀は1.5%増だった。地方銀行と第二地銀を合わせた貸出残高は3.9%増で前月から横ばい。日銀は貸出残高の伸びについて「中堅中小企業向け融資に広がりつつある基調に変化はない」(金融機構局)としている。
手形と小切手を除き、譲渡性預金を含んだ預金残高は、都銀、地銀、第二地銀の合計で2.8%増の622兆5258億円。伸び率は前月並みの3.9%だった。地銀を中心に個人預金の伸びが高まり、法人の預金もプラス幅を拡大した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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