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IVS 2014 Fall : グローバル・モバイルプラットフォームの今後(前編)

なぜGoogleはアプリ収益でアップルに勝てないのか? App Annie創業者が、世界のスマホアプリ市場を分析

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なぜGoogleはアプリ収益でアップルに勝てないのか? App Annie創業者が、世界のスマホアプリ市場を分析
アプリ分析ツールを提供するApp Annie・CEOのバートランド・シュミット氏とLINE・執行役員の舛田淳氏が、世界のモバイルアプリ市場について対談。バートランド氏は、アプリストアにおけるGoogle、Apple各社のシェアの分析結果から、今後の展開を予想。また「世界のモバイルアプリ市場で収益は日本がトップであり、国内市場はまだ大きくなる余地がある」と語りました。( より)

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【スピーカー】
CEO 
LINE株式会社 執行役員 

【モデレーター】
インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナー 田中章雄 氏

App Annieのスタッフは世界中で300人

田中章雄氏(以下、田中):それではセッションを始めたいと思います。まずはApp Annie(アップアニー)のバートランドさんからプレゼンテーションをしていただき、少しお話を伺います。App Annieの最新データがあり、LINEの話もあるので、舛田さんは必要に応じて突っ込みを入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。

では、バートランドさんお願いします。IVSにまたお越しいただきありがとうございます。IVSは何回目ですか?

バートランド・シュミット氏(以下、バートランド):4回です。

田中:京都は2回ですか? ありがとうございます。アプリのマーケットについてプレゼンをしてくれるのだと思いますが、多くの人が御社のことをきちんと理解していないように思います、App Annieはアプリマーケットデータの再販をしているんでしょ? と。

御社がどのようなチーム作りをしているかを知れば、驚く人が多くいると思います。まずサンフランシスコ、北京そしてさまざまなロケーションに展開していますが、現在の規模を教えて頂けますか?

バートランド:現在は世界中で300人のスタッフがいます。

田中:300人がデータを再販しているのですか?

バートランド:違います(笑)。私達のビジネスを回すには多くのメンバーが必要です。40%から50%がエンジニアリング、プロダクト開発に携わり……。

田中:約150人がプロダクトのエンジニアリングをしているんですね? 人数が比較的多い気がしますが、彼らは実際どのような仕事をしているのでしょうか?

バートランド:私達はソフトウェアを売る会社ですので、多くのメンバーが必要です。多くのプロダクトを扱っています。そしてソフトウェアネットワークを繋げています。新しいプロダクトももう少しでローンチします。他にもたくさんの新しいことをやろうとしています。

田中:今日は見せていただけるデータがあるそうですね?

バートランド:はい。今日の目的は皆さんと世界のモバイルプラットフォームの進化を見ていくことです。国別、カテゴリー別、デバイス別のアプリストアの全体的なトレンドを見ていきます。そしてどんなアプリが売れているのかを見ていきます。

田中:会場の皆さんにちょっと聞いてみましょう。現在、アプリビジネスやっていらっしゃる方はどれくらいいますか? 挙手をお願いいたします。それからすでにApp Annieを使われている方は? 結構いますね。

手を挙げられなかった方はセッションを間違えていると思います。クリエイティブデザインのほうは隣のB会場ですので、そちらにご移動下さい(笑)。アプリ関係でビジネスをやっていらっしゃる方とこれからセッションを進めさせていただきたいと思います。では、バートランドさんお願いします。

バートランド:はい。

モバイルアプリのトレンド

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バートランド:まずは一般的なアプリストアのトレンドを見ていきます。

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バートランド:ダウンロードとレベニュー(利益)がどのように変化してきたかを見ていきます。iOSとGoogle Playを比べると、Google PlayのダウンロードがiOSと比べて60%多いにも関わらず、レベニューはiOSのほうが大きいです。

田中:確か2年くらい前、レベニューにおいてAppleのiOSにいつGoogleは追いつくことが出来るか? とあなたに聞いたと思います。AppleのiOSはどうしてレベニューを上げているのでしょうか?

バートランド:Googleが業績を上げているのは発展途上国内でです。それらの地域ではプラットフォームがあまり発展していないので、単純に彼らが支払いをすることが出来ないという理由があるでしょう。

逆にAppleはdocomoとパートナーシップを結んだり、中国のモバイルと提携したりと、どんどん進化しています。このように、デバイスのプラットフォームを確保するというのが強さの秘訣かと思います。

GoogleはAppleに追いつけるのか

田中:2年前と同じ質問をしてもいいですか? GoogleはいつAppleに追いつくと思いますか? むしろ追いつけると思いますか?

バートランド:いつになるかはわかりません(笑)。

田中:でも最終的に、シェアのサイズを見た時に、GoogleがAppleを超えることになるのではないですか? 何年の何月に超えるか、と予想してほしいと言っている訳ではないです。

バートランド:その可能性はあると思います。しかしAppleはその地位を先進国で確保しており、Googleは途上国でシェアを多く確保している。このトレンドが今のこの2つのストアに差がついている理由でしょう。

田中:ありがとうございます。では進めてください。

バートランド:アプリ内課金とそれ以外の課金についてです。

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ゲームアプリではアプリ内課金で多くのレベニューを得ています。ゲーム以外のアプリではアプリ内課金とそれ以外が混合しています。アプリ内課金するビジネスモデルが勢いを保っています。

田中:iOSではゲームがゲーム以外のアプリの約3倍のレベニューを上げているのですか?

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Google Playを見てみると、こちらは完全にゲームアプリが勝っています。その理由として、ゲームが売れる、異なった市場を狙っているからでしょう。

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国ごとに見てみましょう。ご覧の通りアメリカがアプリストアで最も大きな市場です。中国がダウンロード数だけで見ると第2位です。ブラジルは大きく飛躍しました。ロシアは常に上位で、インドもニューカマーです。韓国は少し低迷しました。このように、多くが発展途上国です。

田中:これはダウンロード数の話ですよね。

世界のアプリ市場で日本のレベニューは1位

バートランド:はい。次はレベニューです。

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ご覧の通り、日本が第1位です。

田中:つまり日本は世界のアプリ市場で、レベニューの観点から言えばトップということですね。

バートランド:そうです。

田中:これは今回に限ったことなのでしょうか? それとも日本がトップであるというのはトレンドとして続いてきたのでしょうか?

バートランド:私達のデータを見ると、日本とアメリカはレベニューにおいて第1位を争ってきました。

田中:他にこのデータからわかるのはどんなことでしょうか?

バートランド:韓国はGoogle Playの大きな市場です。しかしこれは韓国の国内規制によって変わってきていると言えます。iPhone6の人気が韓国内で上がってきているので、今後時間をかけて韓国の国内市場は変わっていくことでしょう。

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市場がどのように変わってきているかです。ここでも中国が第3位に上昇したことが大きな変化です。

田中:トップ10入りするプレイヤーにそんなに変化はないということですね。

バートランド:iOSではそうですね。主に先進国でマネタイズが出来ていますから。

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Google Playはまた違った様子を見せています。ダウンロード数だけで見ると、アメリカの後には発展途上国が続きます。しかしレベニューとなるとやはり先進国がランクします。

田中:舛田さん、いきなりここで話を振るのも失礼かとも思いますが、iOSとGoogle Playのトレンドを見ていて、明らかに先進国にApple、後進国にGoogleという構図が見えてきたのですが、LINEのパターンはどちらなのでしょう? 日本以外のインターナショナルマーケットを見ると。

舛田淳氏(以下、舛田):ダウンロードでいくと、Google Playのほうが多いです。新興国、我々もインドやロシア、ラテンアメリカが多いです。ダウンロードとしてはGoogle Play。稼いでいるのは、我々日本市場を持っておりますので、iOSになってくるかな。ただ、以前は劇的に違いました。今は均衡しています、GoogleとiOSが。

田中:Googleはそれだけ日本国内でキャッチアップしてきたというイメージですか?

舛田:そうですね。

田中:ありがとうございます。ではバートランドさん、引き続きお願いします。

バートランド:はい。

日本のモバイル市場は更に大きくなる可能性がある

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レベニューの観点からアメリカと日本市場を比べてみました。日本が青で、アメリカが紫です。iOSと Google Playを合わせると、日本はとても急成長していることがグラフからわかると思います。

田中:高齢化、人口減少が進む日本でこのような結果が出るのはすごいことですね。

バートランド:面白いのは、日本のスマートフォンの普及率はまだまだ成長を続ける余地があるということです。現在日本のスマートフォン普及率は50%程でアメリカでの普及率のほうが高い。

田中:アメリカはスマートフォンの普及率が高くても、レベニューが日本より低いということですね?

バートランド:そうです。日本の市場はまだ大きくなる余地があるというのが興味深い点です。高齢者がスマートフォンを使い始めるかもしれない、するとユーザーの特性が変わってくる。つまり、既存の成功するアプリではない、違った形態のアプリが成功する可能性が出てくることでしょう。

国別の成功する為のポイント

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ここまでの話を簡単にまとめます。国別、成功する為のポイントです。アメリカと日本はプロダクトをローンチすることにフォーカスする。中国はローカル企業とタイアップして浸透を狙う、韓国はGoogle Playにフォーカスする。その他の国については、iOSのほうが普及しているので、そちらを狙うのがよいでしょう。

中国ではiOSでのレベニューが業績を上げています。Google Playはダウンロードについては、多くの後進国でダウンロード数が上がっています。台湾はiOSとGoogle Playのレベニューにおいて近年数字を上げてきました。

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カテゴリーのトレンドについて少し触れます。こちらはiOS。ゲームがもちろんダウンロードでもレベニューでもトップカテゴリーです。写真、ビデオ、ソーシャルネットワーキングのカテゴリーが上位に上がってきたことが変化です。生産性カテゴリーが上がってきたことが大きな変化です。レベニューのランキングはあまり変化がありません。

田中:iOSトップ5カテゴリーは、ゲーム、ソーシャルネットワーク、音楽、教育、そしてエンターテイメントですね。

バートランド:はい。

田中:教育カテゴリーは本当に教育なんですか? それともエンターテイメントですか?(笑)

バートランド:両方ですね(笑)。

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バートランド:次にGoogle Playのデータです。ゲームがこちらもトップです。コミュニケーション、ソーシャルが上位に。音楽がだんだんと上位に上がってきました。

田中:これから徐々にiOSとGoogle Playのカテゴリーランキングはあまり相違がない、同質の傾向が出てくると思いますか?

バートランド:世界のある市場ではある特定のものの人気が出る、つまりそれぞれの市場で人口、ユーザーの特性によって差異が出てくるはずですが、徐々にトレンドが確立すると思います。

※続きは近日公開!

【主催】インフィニティ・ベンチャーズLLP

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