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油のような液体の被害 6府県24の寺社で
4月10日 18時56分

油のような液体の被害 6府県24の寺社で
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国宝や重要文化財の建物などに油のような液体がかけられる被害が相次いでいる問題で、NHKがまとめたところ、10日までに少なくとも6つの府県の合わせて24の寺や神社で被害が確認されていることが分かりました。
油のような液体による文化財などの被害について、NHKが各地の放送局を通じて午後6時現在でまとめたところ、ことし2月から今月10日までに奈良県と京都府、香川県、静岡県、千葉県、それに茨城県の少なくとも6つの府県の合わせて24の寺や神社で確認されていることが分かりました。
このうち、奈良県では、10日、新たに奈良市の東大寺で建物や仏像などに被害が見つかりました。
国宝の大仏殿では「須弥壇」という大仏の台座などに、同じく国宝の南大門では金剛力士像の土台の部分と木製の柵に油のしみのような跡が付いていました。
奈良県では、これまでに15の寺や神社で同様の被害が確認され、警察によりますと、現場から採取した液体を分析した結果、8つの寺や神社では同じ成分である可能性が高いということです。
また、静岡県三島市では、9日夜、重要文化財に指定されている三嶋大社の拝殿の柱に透明な液体が付着していました。
このほか、京都市では世界遺産の二条城や東寺など合わせて3か所で、千葉県でも成田山新勝寺など合わせて3か所で被害が見つかっています。
現場の状況からペットボトルやスプレーなど、何らかの容器を使って液体をふりまいたとみられる現場もあるということで、各地の警察は文化財保護法違反などの疑いで捜査を進めています。
一方、文化庁は8日、各都道府県の教育委員会に通知を出し、文化財の所有者と連携して防犯対策を徹底することや、防犯設備が不十分な場合や大きな被害が生じた場合には必要に応じて国の補助金を利用して対応するよう求めています。

専門家 「修復難しいケースも」

各地の文化財などで油のような液体がかけられる被害が相次いでいることについて、長年、文化財の保存や修復に携わってきた専門家は「液体の性質によっては修復が困難なケースもある」と指摘しています。
東京芸術大学大学院の籔内佐斗司教授(61)の研究室は文化財の保存方法を研究する一方、全国の寺などからの依頼で傷みが進んだ木製の仏像や仏具などの修復を手がけています。
古いものでは平安時代に作られた文化財もあり、多くは線香の煙のすすによる黒ずみが見られますが、油などの液体が付着した文化財が持ち込まれた例はほとんどないということです。
籔内教授によりますと、一般に木に付着した液体が揮発性の高い性質だった場合は次第に気体となって消えてゆく可能性があり、深刻な影響が残りにくいということです。
しかし、揮発しにくい性質の液体が付着した場合、アルコールなどを使えばある程度は拭き取ることができるものの、いったん内部に染みこんだ液体を完全に除去することは難しく、慎重に作業しないと文化財などの表面を傷めるおそれもあるということです。
籔内教授は「液体の性質によっては修復が難しいケースもある。
文化財は私たちの先祖が戦乱や災害を乗り越えて現代に守り伝えたものであり、こうした事件は非常に残念だ」と話しています。

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