冬の思い出

お嬢様、お坊ちゃま・・・
奈良崎で御座います。





遠くで祭り囃子が聞こえる・・・
体中が痛く思うように動けない
どうしてこんな事になったのだろうか・・・・
朦朧とする意識と
激しい頭痛
痛みに身をよじると
激痛とともに自身が拘束されていることがわかった
「なんでこうなったんだっけ・・・」
途切れそうな意識で記憶をたどった

・・・つなぐ・・・ひぃ・・・ひぃ・・・

遠くで何人もの声が祭囃子にあわせて歌っている
「そうだ!じいちゃんだ・・・」


サンタを名乗る手紙から
他界したはずの祖父の手紙を預かった
不審に思うも手紙に書かれた場所に行くと
見知らぬ老爺がいた
老爺「おお!孫よ!会いたかったぞ!」
「えっと・・・はじめまして・・・ですよね?」
老爺「何を言うか!お前のじいちゃんだよ」
その老爺は自分の記憶にある祖父とは似つかぬ姿
父方にも母方にも似つかぬ姿・・・
実はお前の出生に・・・
なんて展開を予想していたが
どうやら人違いのようだ
老爺「そうだったのか・・・済まんことをした・・・」
「いえ!お話楽しかったですから・・・」
老爺「お礼に一杯奢らせてもらうよ」
「それでは・・・ご馳走になります・・・」

そうだ!
私は初対面の老爺と酒を飲んだのだ
老爺は話が上手く
空襲の話や自分の生まれる前の世代の話をしてくれた
私は老爺を「じいちゃん」と呼んだ
なんとなくそう呼びたくなったからだ


・・・まて!
そんな流れで今の状況に繋がる筈がない!
思い出せ!思い出すんだ!
私は記憶の糸をたどる・・・

老爺「ボウズ。酒は弱いのか?」
「そうですね・・・楽しいからかな?眠くなってきた・・・」
老爺「そりゃそうだよ。お前の方の酒には・・・」

目の前の意識がグニャリと歪む
立っていられない
ゆっくりと地面に近づく風景が見えた
老爺「・・・を入れたからねぇ・・・」

そうだ!
一服盛られたんだ!

「なんで盛られたんだっけ?」
思い出そうとしても
思い出せない
それ以上の記憶がない
そうしても知らないのだ
どうしても記憶と現在が繋がらない

老爺「お前はこの村の知っちゃいけない秘密を・・・」

知らない!
知らない!
知った覚えもない!
老爺の目はらんらんと光っている

・・・ゆにな~ると・・・こぉな・・・

老爺「知っちまったから・・・」
「知らない!知らないよ!じいちゃん!」
老爺「・・・この村から出すわけにはいかねえ」
・・・ぱあぁあぁ・・・ぱあぁあぁ・・・
このままではまずい
このままではいけない
このままでは帰れなくない
・・・ひぃ・・・ひぃ・・・ありがたやぁ・・・
老爺「・・・・様の生贄になってもらう」
その時
地面が揺れた
老爺「空襲か!」

・・・ぱあぁあぁ・・・ぱあぁあぁ・・・

大きくなる地震と共に
祭り囃子が大きくなった
老爺「おまえ・・・のモンじゃねぇな・・・」

そう聞こえたまま意識が飛んだ




気がつくと部屋のコタツで寝ていました
体は傷だらけで拘束されたまま・・・
コタツから出るのに2時間かかりました
10年かかるかと思いましたが
どうになかるものですね。
人生その気になれば何でもできる!
とういう教訓でしょうか?
お腹すいたので
近くのホルモン&クリーニングのお店に行ってきます。
奈良崎で御座いました。

カテゴリー: 奈良崎 — Swallowtail 16:00