マツリのウラガワ
昨今短くなりつつある春と秋。
そんな秋を如何お過ごしでございましょう。
奈良崎で御座います。
今回は私の周辺で起こった不思議な出来事ではなく
ほのぼのした日常をお伝え致しましょう。
ここはお屋敷の敷地内にあるとある体育館。
皆がハロウィンの仮装の準備をしています。
毎年行われる仮装をすることを許される
名誉あるメンバーを選抜するための
お屋敷ハロウィン選抜オーディション会場なのです。
今年は誰が選ばれるのでしょうか?
選抜枠の発表はされません。
何人のメンバーが選ばれるのかも不明なのです。
私たちフットマン以外の使用人も集まります。
執事、庭師、コック・・・etc
老若男女を問わず使用人全てが試されるのです。
しかし・・・広い会場に多くの人間・・・
心細くなってきました・・・
誰か知り合いは・・・
・・・
・・・
知り合いかどうかはわかりませんが
見たことがあるような仮装がいます。
全身包帯だらけのミイラ男。
「アーハーハーハーハー!!」
笑い声が特徴的ですね・・・
スーツに鳥の頭をした男。
首と体のつなぎ目はモジャモジャしてます。
ポージングが特徴的ですね・・・
全身緑色の半裸の男。
バルクがキレています。すごくキレています。
しかし、去年よりも少し小さく見えますね。
ハットで顔を隠したスーツの男。
気配を消して他の男の後ろをとっています。
あの雰囲気・・・殺気・・・仮装とは思えません。
同じ衣装を着た双子の仮装がいます。
動きも仕草もそっくりです。練習の賜物ですね。
見たことあるような・・・ないような・・・
大きな鍋で何かを煮ている魔女がいます。
ガスボンベまで用意している準備の良さ。
日本茶のいい匂いがします。
特殊メイクのゾンビまでいます。
技術提供はだれなのでしょうか?ズバ抜けています。
関節の動きが地球人離れしていますね。
定番の吸血鬼!外せませんね。
すごく似合っています。
みんなすごく似合っています。
はい・・・
やたら足の長い吸血鬼。
声の高いメガネの吸血鬼。
バーテンの格好をした吸血鬼。
ドールを大事そうに抱いた吸血鬼。
定番の恐ろしさを見てしまいました。
う~む。
ハロウィンの仮装とは違うベクトルの人間もいるようです。
大きな機械仕掛けの仮装。
お金も技術もかかっています・・・が、
何故大きなドラゴンなのでしょうか?
機械といえば首を360度回転させているロボット・・・
その銀色のボディは中身の想像ができませんが・・・
背中にはKNB‐exと書かれていますね。
小柄な市松人形がいます・・・
南瓜の天むすを頬張っています。
和風な理由はここが日本だからでしょうか?
あれは・・・あの仮装は・・・
喜劇王がいます。あの姿は1925年の黄金狂時代。
私が映画で見た仕草そのままです。ハイクオリティです。
ええと・・・
すごく・・・すごくダンディな・・・
ヨシフ・シュガシヴィリがいます・・・はい・・・
王冠にマント・・・杖を持って・・・
王様がいます・・・メイクもせずに・・・ドヤ顔で・・・
私はあの顔を知ってます。
特殊な空間では色々麻痺してしまいそうです。
他にも執事やフットマンがいるはずなのですが、
会場が広すぎて・・・人が多すぎて・・・
見つけることはかないませんでした。
しかし・・・
私の用意したボーダーの囚人服程度では・・・
選抜メンバーに選ばれるのは無理そうですね・・・
着替えて帰りましょう。
庭師やコックの方々の仮装もクオリティの高いものでした。
今年は何人が大旦那様の前で
「トリック オア オリート!」
と言う事を許されるのでしょうか?
日頃お嬢様やお坊ちゃまの前では見せられない、
使用人のイベントでございました。
使用人みんなの生き生きした表情が
イベントの楽しさを物語っております。
このようなイベントを許してくださった
大旦那様の懐の広さに感謝をして会場を去りました。
さて・・・
夜も冷えてまいりました。
暖かいフェブリエにミルクをたっぷり入れて。
乾執事と芹沢と暖炉の前で談笑するとしましょう。
全く同じ衣装を用意してしまった同志として。
奈良崎で御座いました。