■古くは鳥の羽音や北風の音
「粛々」は擬音語として中国古典で「鳥の羽音や北風が吹きつける音」を表し、「鋭い響き」「厳しく引き締まった雰囲気」と連想されていきます。やがて戦国史の名場面をうたった日本漢詩の名作である頼山陽の「不識庵、機山を撃つの図に題す」から、鋭い馬の鞭(むち)の音を時折響かせ奇襲前にしずしずと進む軍団のイメージが定着すると、「集団が秩序を保って物事を遂行していく」状況を表す言葉へと変化しました。秩序を保って遂行する必要性を痛感する人物として思い浮かぶのは、苦境にこそリーダーシップを求められる組織のトップや政治家の姿です。
不祥事が明るみに出て苦境に陥った組織のトップたちが「粛々」を多用する背景には、政治経済の低迷から抜けられない日本とその時代状況があり、「政治家などが使う場面が増え、ピンチの時に使われる言葉というイメージが国民に定着してきた」(円満字氏)というわけです。
通常国会が召集され、施政方針演説、各党の代表質問と論戦の火蓋が切られました。年金改革や消費増税など重要政策を抱え難局に突入した野田佳彦首相に今のところ「粛々」発言はあまり見られませんが、頻繁に「粛々」の答弁が聞こえてきたら、それは苦境に立たされた首相の“ピンチ”ということになるのかもしれません。 (工藤綾乃)
森喜朗、橋本龍太郎、福田康夫、菅直人、野田佳彦
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