「正論」がカキ消されてしまうあたり、この組織の歪みを物語っている。日銀は7、8日の金融政策決定会合で、異次元緩和策の継続を賛成多数で決めた。「2年で2%」の物価目標が頓挫した揚げ句、この期に及んで緩和維持。日銀の無反省ぶりに“身内”が「待った」をかけたが、たった1人の反乱はあえなく潰された。まるでデキレースのような政策決定のウラで、黒田総裁と安倍政権サイドとの“密会”がささやかれている。
今回の会合で異次元緩和策に異議を唱えたのは、野村証券出身の木内登英・審議委員だ。日銀は昨年10月末の追加緩和で、長期国債の買い増しペースを年間50兆円から80兆円への拡大を決めた際、木内氏は反対票を投じていた。ついに今回は買い増しペースを45兆円に縮小するよう提案。異次元緩和の継続に反旗を翻したのである。
木内氏は先月5日に前橋市で開いた金融経済懇談会後の会見でも、追加緩和は「効果よりも副作用の方が多い」「いずれ金融機関から国債を買い入れることができなくなるリスクがある」と切り捨てていた。