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【両陛下パラオご訪問】
「慰霊の旅」の集大成 示された「覚悟」
次いで、そのお心は「祖国を守るべく戦地に赴き、帰らぬ身となった人々」(8日のパラオ訪問ご出発前のお言葉)に向けられる。戦後60年の17年6月に初の海外での慰霊を米自治領サイパンで果たされた。
だが、側近が「両陛下のお気持ちは不変」と強調する通り、ほかの島々での戦没者への思いも持ち続けられた。サイパン訪問後の17年12月のお誕生日会見で陛下は「心の重い旅でした」と述べられたが、両陛下ともに80代となって迎えた戦後70年の節目はとりわけ重い。
サイパンから両陛下が年齢を重ねられたのと同じく、生還者や遺族も高齢化が進んでいる。パラオご訪問を前に、両陛下がペリリュー島の戦いの「生の証言」をお聞きになれたのはわずかに2人だった。
パラオご訪問は集大成の一つではあるが、「サイパンの後にパラオ、パラオが終わったら次のことをお考えになる。両陛下の戦没者慰霊のお気持ちに終着点はない」(宮内庁幹部)。9日夜、羽田空港に戻られた両陛下を、その思いを引き継ぐ皇太子さま、秋篠宮さまが出迎えられた。
(伊藤真呂武)