断食で増える「βヒドロキシ酪酸」が病気を遠ざける
2型糖尿病、アルツハイマー病、動脈硬化などの炎症を抑制

写真はイメージ。記事と直接の関係はありません。(写真:Marco Arment/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般)

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 断食をしたときに体への良い影響が分かってきた。

体を「燃やす」と出てくる

 米エール大学医学大学院のビシュワ・ディープ・ディクシット氏らの研究グループが、ネイチャー・メディシン誌において2015年2月16日にオンライン報告している。

 「βヒドロキシ酪酸(BHB)」という物質が効果を示す可能性があるようだ。

 断食や炭水化物を抑えた食事を取ると、エネルギー源となる糖分が減って、代わって体の中で脂肪の利用が進み、ケトン体と呼ばれる物質が血液中に増えてくる。このケトン体の一つが、βヒドロキシ酪酸だ。体がいわば燃えて出てくるものだ。

 βヒドロキシ酪酸はいくつかの健康を意識した生活で増えてくる。

 強度の運動、カロリー制限、低炭水化物の食事に反応してくる。断食をすると反応する。

免疫の働き

 体の燃焼を減らすとともに、免疫の働きの影響について調べている。

 炎症性の病気に関係した有害性を一部遮る可能性があるという。ヒドロキシ酪酸が、炎症を引き起こすタンパク質の一部「NLRP3」を直接抑えるからだ。NLRP3はインフラマソームというタンパク質の一つ。インフラマソームは、糖尿病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化、炎症性疾患のようないくつかの病気において炎症を引き起こしている。

良いヒント

 研究グループは、人間とマウスの免疫細胞を使って、「ケトン体」にさらされると、異物を食べている細胞である「マクロファージ」がどのように反応するかを調べている。さらにインフラマソームにどう影響するかを検証した。

 βヒドロキシ酪酸をNLRP3による炎症を起こしているような病気のマウスに使った。

 その結果、炎症が減って、ネズミにケトンを含んだ食事を与えても炎症が減った。

 研究グループは、「低炭水化物の食事、断食、強度の運動などによって作り出されるケトンがNLRP3、インフラマソームを低くして、炎症を抑える」とメリットを説明する。

 食事を健康につなげる良いヒントになりそうだ。

文献情報

Dixit VD et al. Anti-inflammatory mechanism of dieting and fasting revealed. Nature Medicine. 2015 Feb 16.

http://news.yale.edu/2015/02/16/

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