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 関西電力美浜原発3号機の再稼働に向けた審査で、原子力規制委員会は9日、関電の地震想定の考え方が他原発の審査での指摘を踏まえていないとして「大いに疑問を感じている」と苦言を呈した。同じ福井県内にある関電高浜原発、大飯原発は規制委の指摘で想定を大幅に引き上げたが、美浜原発は東日本大震災前の想定のまま申請していた。

 関電は3月、最大級の揺れの想定を従来の750ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)のまま、新規制基準による審査を申請していた。先行する関電の2原発では、震源をより浅く設定して揺れを見積もるよう求められた経緯があるが、美浜原発には反映しなかった。規制委の担当者は、申請当初はこれまでの指摘をあえて反映せず、譲歩の材料にしようとするような関電の姿勢に懸念を示し、「審査は交渉ごとではない」と批判した。

 この日の審査会合では、美浜3号機と、同じく3月に申請があった高浜1、2号機の主な論点も示した。いずれも運転開始から40年前後で燃えにくい電源ケーブルを使っておらず、代わりに防火塗料を使う火災対策の妥当性を挙げた。