フランスの極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン党首は、次の選挙に向けて党の浄化を図るなか、党の創始者である父親のジャンマリの追放に動き出した。
深まるお家騒動の中で、マリーヌ・ルペン氏は、86歳の父親による数々の問題発言を受け、今年の地方選挙での父親の出馬に反対すると述べた。
ジャンマリ・ルペン氏は先週、ナチスのガス室は歴史の「細部」にすぎないとした過去の発言を擁護し、7日には、スペイン生まれのフランス首相、マニュエル・バルス氏を「移民」と呼んだと伝えられた。
また、右派雑誌リバロルの取材では、ナチス・ドイツと協力した戦時政権の指導者、フィリップ・ペタンを擁護し、戦後のフランス政府は彼に「厳しすぎた」と語った。
2011年からFNを率いているマリーヌ・ルペン氏は8日の声明で、次のように述べた。
「ジャンマリ・ルペンは身を落とし、焦土作戦と政治的自殺の間のどこかに入る戦略に出たようだ。名誉党首としての地位を有するからといって、低俗な挑発でFNを乗っ取る権利があるものではない。一見私にダメージを与えることを意図したのだろうが、残念ながらこの一連の動きに至った」
ルペン氏はさらに、父親がプロバンス・アルプ・コートダジュール地域で党代表として立候補することになっていた12月のフランス地方選挙について、党の支援を与えないことを本人に伝えたと語った。
■父娘、政治的対立は決定的
FN副党首のフロリアン・フィリポ氏は「ジャンマリ・ルペンとの政治的対立は今や完全かつ決定的なものになった。マリーヌ・ルペンの指導の下で、速やかに決断が下される」とツイートした。
マリーヌ・ルペン氏は党を引き継いで以来、銀行国営化や通貨フランの復活などの経済問題により大きな重点を置くことで、人種差別主義と反ユダヤ主義のイメージを払拭し、党を政治の主流派へ移行させようとしてきた。
「私はブティックを経営するために、ここにいるわけではない。権力の座に到達し、その力をフランス国民の手に戻すためにここにいる」。同氏は先月、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)のインタビューでこう語った。「それが私の役割だ」
突き詰めると、フランスの経済停滞の唯一の解決策はユーロからの離脱だと同氏は述べた。「ユーロ離脱は悲惨なことになり、カエルが空から降るとか、セーヌ川が血の川になるとかいわれる。それほど多くの実務的問題はない」
FNは昨年の欧州議会選挙でフランス第1党となり、1972年の党創設以来、最大の勝利を収めた。先月の県議会選挙の第1回投票でも投票数の4分の1を獲得し、第2党となった。
「フランス国民は悪い癖を打破する新しい人材を必要としている。我々は多少腐ったシステムの中にいる。新たな視点が必要だ」。マリーヌ・ルペン氏はインタビューでこう語った。
世論調査によれば、反移民政党のFNは2017年の大統領選挙で決選投票に進むかもしれないが、勝つ可能性は低いとみられる。
マリーヌ・ルペン氏は昨年、父のジャンマリ・ルペン氏がオンラインブログ上で、ユダヤ人歌手に関する投稿でナチスの強制収容所のガス室を連想させるコメントをしてから父親と距離を置き始めていた。
By Michael Stothard in Paris
(2015年4月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(翻訳協力 JBpress)
(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら
世界を目指す、全てのビジネスパーソンに。 ビジネス英語をレベルごとに学べるオンライン学習プログラム。日経新聞と英FT紙の最新の記事を教材に活用、時事英語もバランス良く学べます。
フランスの極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン党首は、次の選挙に向けて党の浄化を図るなか、党の創始者である父親のジャンマリの追放に動き出した。…続き (4/10)
各種サービスの説明をご覧ください。