寺社に液体5府県16か所に拡大、関東にも
奈良や京都の寺社などに油のような液体がまかれる事件が相次ぐなか、千葉県香取市の香取神宮と茨城県鹿嶋市の鹿島神宮でも、同様の被害が確認されたことが9日、分かった。関東での被害確認は初めて。国指定の重要文化財も被害に遭い、両県警は文化財保護法違反などの疑いで調べている。この日は、新たに京都の世界遺産・東寺、奈良県の橿原神宮(橿原市)、安倍文殊院(桜井市)、香川県琴平町の金刀比羅宮でも確認され、被害は5府県16か所に拡大した。
寺社などに油のようなものをまかれる事件は、関東にも飛び火した。被害を受けた香取神宮と鹿島神宮は、ともに武道の神として知られる。
千葉県警によると、香取神宮の楼門など境内の十数か所に油のようなものがまかれていた。楼門は国の重要文化財に指定されており、香取署は文化財保護法違反や建造物損壊の疑いで調べている。
署によると、3月26日朝、掃除をしていた香取神宮の職員が拝殿に油じみのような跡があるのを発見。楼門やさい銭箱などでも同様の跡を確認した。京都や奈良の寺社で同様の事件が相次いだことを受け、8日に署に相談した。香取神宮によると、液体は拭いても落ちず、芳香剤のような臭いがしたという。香取神宮の分社は関東中心に約700あるが、同様の被害は報告されていない。
一方、茨城県警によると、鹿島神宮の社殿や奥宮の手すりや廊下、敷地内にある末舎と呼ばれる小さな神社など10か所にも油のようなものがまかれていた。いずれも液体を飛び散らばせたようだった。社殿や奥宮は国の重要文化財指定。鹿嶋署は器物損壊罪と軽犯罪法違反の疑いで調べている。
鹿島神宮などによると、8日夕に香取神社から連絡を受け、9日午前9時半ごろ、男性神職が境内を見回ったところ社殿で発見し通報した。液体は無臭だったという。署は、社殿前に設置してある防犯カメラなどの映像解析をするほか、液体を鑑定して種類を特定する。
関東にも事件が及んだことを受けて、明治神宮(東京都渋谷区)は「今のところ被害はないが、警備を強化した」と警戒している。