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経済産業省が、今夏前に決める2030年の電源構成(エネルギーミックス)…
経済産業省が、今夏前に決める2030年の電源構成(エネルギーミックス)について、再生可能エネルギーの割合を20%台前半とする検討に入った。
昨年のエネルギー基本計画では「約2割をさらに上回る」としていた。福島第一原発の事故前(10年)も目標は約2割。この程度の上積みで、原発事故の教訓が生かされている、と言えるのか。30年まで15年ある。さらなる上積みを考えるべきだ。
一方で経産省は原発の利点や必要性を強調し、こちらも20%前後にする算段だという。
だが原発事故は、地震などの災害が多発する日本で、原発がいかに不安定でお金のかかる電源かを白日の下にさらした。原発に頼らずにエネルギーの自給率を高め、温暖化も防ぐには、再エネをできるだけ早く育てることが不可欠だ。
もちろん、再エネには課題も少なくない。一定の価格で再エネを買い取る制度(FIT)や、再エネ発電の適地から需要地へと電気を送るのに必要な送電網の整備にかかる費用などで、電気料金が極端に上がることについては、十分に配慮すべきだろう。
それでも、再エネを増やすためにやるべき事柄はまだ多くある。自然条件に出力が左右される再エネの変動を調整するための運用技術、太陽光パネルの新素材の開発、熱利用を促す制度、分散型・地産地消型のエネルギー活用の推進――。30年までに進展が見込めるものを支援する計画を、政府はもっと具体的に示せないか。
経産省だけで決める姿勢にも疑問符はつく。環境省が3日に公表した報告書は、経産省より高い目標設定が可能との試算を示した。宮沢経産相は「実現可能性がない」としてとりあわないが、環境省側の検討会座長を務めた倉阪秀史千葉大教授は、ツイッターで「報告書を読めば(指摘は)明らかに誤り」と反論している。
どちらも税金を使っての作業だ。両者の間にどのような違いがあるのか、どちらに妥当性があるのか。政府として国民に説明するべきだし、公正で統一的な見解をまとめる努力を重ねるべきだろう。電源構成を決める場に環境省側のメンバーも招いて議論してはどうか。
大きな改革には負担がつきものだ。だが、その負担に納得できるかは、得られるメリットによる。日本は原発事故に学び、再エネへと切り替える必要性を痛感した。
困難があろうと、3・11前に戻る選択肢はありえない。
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