残薬チェックで29億円の医療費削減の試算、医師と薬剤師の連携が鍵に
診療報酬改定への課題
厚生労働省によると、患者の手元に残っている薬をチェックすることで、大きな医療費削減につながることが明らかになった。
同省が発表した「中央社会保険医療協議会 総会(第294回)議事次第」では、新たに保険適用となる薬品や器具、先進医療の取り組みなどとともに、外来治療の課題などについて紹介している。
そこでは診療報酬見直しをメインに、病院と診療所の位置づけ、適切な薬品の処方、後発医薬品の使用促進などを取り上げている。
29億円の余分な薬代
今回の発表によると、ピックアップした調査結果の内、処方箋の疑義紹介を行った割合が6.5%だったことから、これを平成24年度に全国で発行された処方箋の枚数である約7億9000万枚にかけた約117万枚に、重複投薬に関する疑義紹介があると算出している。
別の調査では、残薬に伴う日数や投薬回数の調整を行った処方箋の割合が0.23%で、1件当たり1595.3円だったことから、全国分に換算して約29億円の医療費が削減可能と試算している。
薬を余らせた患者が約半数
資料では、薬局と患者を相手に残薬について聞いた結果をグラフにしている。
残薬がある患者が「頻繁にいる」と答えた薬局が17.1%、「ときどきいる」が73.2%と、合わせて約9割の薬局で残薬のある患者を認識している。
また患者に薬が余った経験を聞いたところ、「大量に余ったことがある」が4.7%、「余ったことがある」が50.9%だった。こちらも半分強の患者で薬を余らせている格好だ。
厚生労働省
余った薬は捨ててしまうに違いなく、医療費を捨てているのと同じだ。早急に改善すべきだろう。
■厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第294回)議事次第 外来医療(その1)」
(今回の試算は56~60ページ)
【参考記事】
年475億円分の薬が飲まれずに残っている!?医師が「治療自体が崩壊する」と危惧(4月8日)