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児童養護施設退所者とホームレス問題〜女性のホームレスがいないのはなぜか。女性の人権について〜 [2015年03月31日(Tue)]
昨日参加した「自立生活サポートセンター・もやい」稲葉剛さんと、「児童養護施設退所者のアフターケア相談所 ゆずりは」所長の高橋亜美さんとの、若者の貧困の実態、居住や生活支援の状況についてのトークショーから。配布された資料の中に、「児童養護施設退所後に風俗で働く女性たち(高橋亜美)」があり、こちらがとてもショックな内容でした。

4/22(水)夜にCSR48で貧困問題について勉強会を開催しますが、企業・ソーシャルセクターで働く社会貢献に関心がある女性グループとして、やはり、女性の人権に深く関わるこの問題について共有し、企業 or 他業界NPOが出来ること、個人ができることについて議論できたらなと思っています。(これを機に新規入会もWelcomeです)


■女性のホームレスがなぜいないか。「男はホームレスになれる」

18〜20歳でホームレス状態の方のほとんどは、児童養護施設退所者であり、児童養護施設退所後の女性で、水商売・性産業に従事している方が多いという現状。

「男はホームレスになれる」。女性がホームレスになるということは、性被害のの恐怖が必ずありますよね。そのような暴力の恐怖に日々怯えるよりかは、「援助交際してお金をもらう方がいい」「好きじゃなくても家に住まわせてくれる男の方がまだいい」と思うのは普通なのかもしれません。

一方、男性の施設退所者たちは「女はホームレスにならなくてすむ。それだけで十分だ」「女だったら収入を得る手段が確実にある」と言うそうです。


■女性が「住まい」を失ったら

女性が住まいを失ったら、路上で生活をすることはできないということになります。では、どうなるのか。

・「今日の恋人」を見つけに行く。本人は「恋人なんだから、援助交際ではない」と言う。

・当日から入居できる「寮を完備」している風俗店で働く
  
      

その結果、望まない妊娠をすることが少なくないそうです。また、相談相手がいないため、中絶できなくなるまで黙っていることで、望まない出産となり、また、同じ環境(社会的擁護の中)で育つ子どもが生まれるという連鎖につながります。


■社会で安定した収入を得ることの難しさ(施設退所者のハンディ)

18歳になると、わずかなお金をもち、施設退所となり自立を余儀なくされる。頼れる家族がいない中で、一人暮らしと就労を突然始めることとなります。

<施設退所者の特徴>

・大学への進学者は約3割(低学歴となってしまう)

・虐待で受けたようなトラウマを抱えながら、頼れる人がいない(精神的に不安定)


安定した雇用に就ける率は極めて低いそうです。また、個人的には、雇用に就けても、継続することがとても困難なのではと思いました。

また、個人的には
・家族貯金がない(失敗した時にお金を貸してくれるような人がいない)

・頼れる友人がいない(施設で過ごしていると出逢いが少ないのでは)


があるのではと思っています。誰でも、社会に出たばかりの時は「やってしまった」ことはあると思うし、その時家族などが、経済的にも精神的にも助けてくれたことで、今がある人は多いのではないだでしょうか。

このような状況の中で、どうなるかというと、一般家庭で育った人よりも不安定な状況にも関わらず【失敗できない】ということになります。転職や給与が下がることは、住まいを失うことに直結しやすいからです。じゃあ、安定させるために、仕事をがんばって経験をつければいいじゃないかと思うかもしれませんが、チャレンジやスキルアップするためには、経済的にも余裕が必要ですし、精神的にも自己肯定感が育まれているなど、余裕があって出来ることだと思います。

そのようなぎりぎりの社会人生活を送っていた結果、体を壊したり、精神を病んでしまい、長期に休んだり、フルタイムの仕事がむつかしくなることもあると思います。そうなった時、女性には性産業以外の職場で、生活できるだけの給与をもらえる仕事というのが、少ないのです。

(抜粋)
「今日住む場所がない状況におちいってしまった場合、親や親戚には頼れず、相談できる友達もいなく、どんな相談支援機関に行っていいかわからなかった場合、手持ちのお金もなく、連帯保証人もなしでアパートを提供し、働く場を与えてくれる職場は、風俗などの性産業しかないだろう。 」


■感想

児童養護施設退所者とホームレス問題は、とても深く繋がっているにも関わらず、支援団体同士の連携が、今までとれていなかったそうです。

現場の支援者は昔から繋がっていることは気づいていたそうですが、ホームレスや児童養護施設退所者ということに、偏見や差別があるため、その繋がりを言うことが、当事者を傷つけてしまうということがあるそうです。

偏見や差別が、あるべき支援の実現を妨害している、ということでしょうか。

また、以前から疑問だったのが、施設退所者は「施設の職員を頼ることはできないのか?」ということでした。それが、施設職員は退所者と関わってはいけないという規則になっているそうです。これは、なぜなのでしょうか。理由を知りたいです。

また、参加されていた方が、

「自立支援・自立援助という言葉を使えば使うほど、どんどん彼らは孤立していく。」

というお話をされていたのが印象的でした。
自立を余儀なくされることに対しての大きな不安・憤りを感じている人に、「自立支援」という言葉を使うのは適切なのでしょうか。自己責任を追及しているように、受け止められるのではないでしょうか。

社会的に孤立するということが、どれだけ苦しいことか。これは、児童養護施設退所者の方だけでなく、社会的排除にあっている方々全てだと思いますが、大事なことは、他人ごとではなく、私たちの生活、また私たちの家族・未来の家族の延長線上にあるともいえると思います。だからこそ、みんなで考えなければならない問題なのです。

ゆずりは.jpg
ゆずりはの「ゆるやかに労働できる支援」で出来た「おいしい唐辛子」を買いました。
デザインもとても素敵です。瓶詰めが1本完成すると利用者の方のお給料になるそうです。
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