李明博(イ・ミョンバク)前政権期の海外資源開発事業に絡み、横領などの疑いで検察の事情聴取を受けていた建設・開発会社「京南企業」の前会長、成完鍾(ソン・ワンジョン)氏(63)が9日、ソウル北部の北漢山で首をつり自殺しているのが見つかった。検察は成氏の逮捕状を請求しており、同日午前10時半から令状実質審査(逮捕状の発付前に裁判所が行う被疑者審問)が行われる予定だった。
警察によると、成氏は北漢山の兄弟峰付近で同日午後3時32分、木で首をつって死んでいるのが見つかった。警察は午前8時すぎ、成氏がソウル・江南の自宅に遺書を残して行方不明になったとする運転手の通報を受け、大々的な捜索を行った。成氏の自筆の遺書には検察の捜査に対する無念さがつづられており「母の墓の隣に埋葬してほしい」とも書かれていたという。
警察は通報を受けた直後、自宅と北漢山周辺の防犯カメラを調べるとともに成氏の携帯電話2台の位置を追跡した。午前5時33分に北漢山の登山道入り口に到着したことを確認し、午前9時33分ごろ兄弟峰の一帯で携帯電話信号を捉えた。警察はこの一帯に15の中隊の1400人をはじめとする1800人余りとヘリコプター3機、警察犬9頭を投入し、集中的に捜索。捜索開始から約7時間後、木にネクタイをくくり付け、首をつって死んでいる成氏を警察犬が発見した。
ソウル中央地検特捜1部は、800億ウォン(約88億円)ほどの融資を不正に受け、会社資金250億ウォン(約27億円)ほどを横領し、9500億ウォン(約1044億円)余りの粉飾決算を行ったとして、6日に成氏の逮捕状を請求していた。だが、成氏が自殺したことで、同氏に対する捜査は「公訴権なし」で終了せざるを得なくなった。
大統領と首相の肝いりで推進されていた海外資源開発事業をめぐる不正の捜査で最初の手掛かりだった京南企業への捜査が頓挫の危機に陥ったことで、拡大する様相を見せていた資源外交の不正捜査にも支障が出そうだ。検察は成氏の死亡を受け「検察の捜査を受けていた最中に不幸な出来事が起こり、残念に思う」とのコメントを出した。