本当の名前

季節は梅雨へと入り夏もまもなく・・・
如何お過ごしでしょうか?
奈良崎で御座います。

本格的に暑くなる前に、
夏の過ごし方を決めなくてはなりません。

とは言ったものの・・・
お仕事ばかりの私には何もありません・・・





ラムネの入ったアイスを食べながら
茅ヶ崎と長門と公園のベンチに腰掛け
雲を眺めるくらいしかありません。

時任執事からお借りした「他人の夢を覗く機械」しか・・・

アイスを食べ終え、包み紙とアイスの棒をゴミ箱へ、
お屋敷へ戻ろうと話していました。

「他人の夢を覗く機械」は使って報告の義務もありません。
使わなくても構わないのです。

しかし・・・
「使え」と言われれば・・・使います。
「使うな」と言われても・・・使いたくなります。
「別に・・・」と言われても

やっぱり使ってみたくなるのが人の性。

夜中に部屋を抜け出して
フットマンの部屋の前に行くと
やっぱり
茅ヶ崎も長門も来ていました。

さて
エネルギーの残量は5回分。

まずは・・・



大河内から見てみましょう。


・・・


・・・


・・・


・・・

全身ピッタリとしたSFチックな服装で
荒くれ者と戦う大河内。
そして、機械のような少女のような見た目のパートナー。
そして、宇宙船でしょうか?
かなり大きな乗り物に乗って未来的な世界を冒険しています。

音声はありません。

間違いありません。
スペース大河内の映像です。

しかし画面と編集が荒くすごく見にくくあります。

おそらく編集段階の映像でしょうか。
夢の中でも仕事をしているんですね。
頭が下がります。




さて、二人目は。

羽生にしましょう。


・・・


・・・


・・・


・・・

またもや音声がありません。

レストランでしょうか?
テーブルにつく羽生が身振り手振りをすると・・・
いや、身振り手振りだけで口は動いていません。

スタッフの人が食べ物を持ってきます。

・・・

・・・

おや?
テーブルに乗り切らない程の量を持ってきました。
おや?
新しいテーブルが運ばれて・・・
更に食べ物が・・・
新しいテーブルが・・・
食べ物が・・・

エンドレスに続きそうなので
見るのはやめましょう。



少し機械の調子が悪いのかもしれません。

三人目。

三國にセットしてみましょう。

・・・

・・・

・・・

三國もSF的な映像が映りました。
どこからともなく超大作SF洋画の主題歌が・・・
宇宙服のような甲冑の兵士が街を破壊していきます。
そこに現れる一人の若者・・・

『やめろ!暗黒帝国軍!!』
「誰だ!貴様!」
『悪党に名乗る名前はない!!』

なんでしょう・・・

すごくカッコイイです。
光る棒のような剣を振り回し、悪と戦う青年。
どう見ても三國です。

兵士を退治し、街の人々から喝采を受ける青年・・・いや、三國。

その時、黒い甲冑を着た悪の親玉が登場。
赤く光る棒のような剣で青年・・・いや、三國と戦います。

どこかで見たことのあるような展開です。

おや?

青年・・・もとい、三國は親玉を倒してしまいました。

三國風の青年「どうだ!悪党め!!」
悪党の親玉「まいった!本当にまいった!申し訳ない!」

おや?

三國?が降参している悪党を切ってしまいました。
悪者は許さないのですね。非情です。

街の人々を背に
夕日の中に消えていく三國・・・のような青年。

助けられた街の女性が青年・・・まぁ三國でしょうが
彼に名前を聞いています。

女性「せめて、お名前だけでも!」

青年「私の名前は三國スカイウォーカー!!」








・・・時任執事の貸してくださった機械には
スピーカーは付いていませんでした。

映像に合わせて三國の口は動いています。
三國の方から声が聞こえます。
三國の方から音楽が聞こえます。




機械のスイッチを切りました。

長門も茅ヶ崎も下を向いたまま色々堪えています。

もう寝ましょう。



色々問題です。

我々はそっとスカイウォーカーの部屋から立ち去りました。



機械は時任執事の部屋の前に置きました。

寝る前に三人でもう一度アイスを食べました。

誰も一言も声を発しません。

夜明け前はとても静かです。


奈良崎で御座いました。









数日後、思い出したように「スカイウォーカー」と
つぶやいてみました。

その時、後ろから声がします。

『呼びましたか?』

カテゴリー: 奈良崎 — Swallowtail 23:55