夏のマフラー

真夏日が続き、植物の息吹が吹き荒れる季節がやってまいりました。
低体温の私としては楽しくもあり、早く過ぎ去ってほしい季節でもあり・・・
複雑な季節の到来でございます。
お嬢様、お坊っちゃま、如何お過ごしでございましょうか?
奈良崎で御座います。



今現在は夏でございますが、来る2012年の正月を見越して活動中なのであります。
お屋敷の中に外に、今日も今日とて機材を担ぎ走り回っております。


大河内「奈良崎君、遅いよ!」

奈良崎「そんな事言われても・・・機材が重くて・・・」

大河内「早く歩かないと日が暮れちゃうじゃないか!」

奈良崎「私と大河内さんじゃ歩幅が違いすぎるじゃ・・・」

大河内「黙らっしゃい!神戸君は早く歩けてるよ!」

奈良崎「神戸君は僕の半分も荷物持ってません!」

神戸「気のせいじゃないですか?」

大河内「気のせいだよ・・・多分ね~♪」

奈良崎「気のせい・・・ねぇ・・・」

大河内「そうそう♪ らら~ら~ららら~・・・♪」

神戸「奈良崎さん。大河内さんの歌ってる鼻歌は何ですか?」

奈良崎「主題歌・・・らしいよ。」

神戸「主題歌・・・ですか・・・」


大河内が宇宙の荒くれ者を相手に暴れまわるハードボイルド宇宙活劇
劇場版「スペース大河内」今日も撮影は快調でございます。
公開は来春・・・予定だそうです。(大河内談)


そんな撮影を終え部屋でぐったりしていると・・・
ドアを叩く音がします。


梅崎「奈良崎さん・・・起きてますか?」

奈良崎「起きてるよ。」

梅崎「ちょっと相談したいことが・・・」

奈良崎「なんだい?改まって。」

梅崎「実は・・・」


話の内容は『夜な夜な悲しげな男の声が聞こえる』という
至ってありふれた内容でした。


奈良崎「あんまり怖くないね・・・45点くらい?」

梅崎「採点しないで下さい。真面目な相談ですよ。」

奈良崎「まぁまぁ。困ってるなら行ってみよう。」


梅崎の部屋に行ってみると、確かに悲しげな男の声が・・・


「・・・ラーがない・・・がないよ・・・」


梅崎「ほら!」

奈良崎「ホントだ・・・聞こえるね・・・」

梅崎「でしょ?毎晩毎晩・・・」

奈良崎「ん?ちゃんと聞いてみて・・・」

「・・・フラーが無い・・・マフラーが無い・・・」

梅崎「マフラー?」

奈良崎「夏なのに?マフラー?何で?」

梅崎「冬に未練のある幽霊が探してるんでしょうか?」

奈良崎「何で夏に出るの?」

梅崎「幽霊は夏に決まってるじゃないですか。」

奈良崎「イギリスだと冬にも出るよ?」

梅崎「ここは日本です!」

奈良崎「役に立つかはわからないけど、塩でも持って行ってみようか。」

梅崎「塩ですか?木刀とかじゃなくてですか?」

奈良崎「幽霊だもの。木刀よりは役に立ちそうじゃない?」

梅崎「・・・まぁ・・・そう言うなら」


梅崎の部屋の外に恐る恐る行ってみると


「・・・マフラーだけ・・・マフラーだけ無い・・・マフラー・・・」


そこには白い服を着て、痩せた髪の長い・・・・

髪の長い・・・















金澤がいました。

パジャマのままの金澤が・・・


奈良崎「パジャマで何してるんですか!金澤さん!!」

梅崎「寝てます・・・寝たまま歩いてますね・・・」


とりあえず金澤を起こして部屋まで送り、
次の朝に話を聞くと・・・


どうやら冬に愛車のマフラーを盗まれ、
探しても探しても見つからない。
諦めたつもりでいたけれど・・・


奈良崎「夢にまで出てきてしまった・・・と、いうわけですね。」

金澤「いやぁ・・・記憶がないのにパジャマが汚れてたので不思議だったんですよね。」

奈良崎「ビックリしましたよ。」

金澤「寝たまま探してしまうなんて・・・我ながら驚きです。」

梅崎「まったく・・・本当に怖かったんですからね。」

金澤「申し訳ない。」

梅崎「気にしてませんけど・・・見つかるといいですね。マフラー。」

金澤「犯人を見つけたら・・・必ずギャフンと言わせてやりますよ。」

梅崎「今時ギャフンですか?」

金澤「ギャフンだよ!!」

梅崎「・・・はぁ」

金澤「泥棒はだめです。絶対!」




これが今年の夏の最初の事件「夏のマフラーの怪」でした。

そして今日もお屋敷の日常は続くのです。

このような小さな事件を繰り返しながら・・・

奈良崎で御座いました。




お嬢様、お坊ちゃまも夜に不思議な出来事が起きましたら、

お一人で悩まずに、お気軽に御相談下さいませ。

全力で解決致しましょう!




夏バテ気味の梅崎が。

カテゴリー: 奈良崎 — Swallowtail 21:30