キノコの香りと進まぬ疑問
街の賑わいもクリスマスのそれへと変わり、2010年も終わりかけている今日この頃。
お嬢様、お坊ちゃま、いかがお過ごしでございましょうか?
奈良崎で御座います。
執事も「今年の秋は短い」と申しておりましたが。
短い秋を満喫するべく、スコップを片手にお屋敷の裏の森へ行ってまいりました。
もちろん一人で行くのは恐ろしいので、協力者と共にです。
今回の協力者は藤原と瀬戸の二人。
目的はもちろんキノコ狩りでございます。
秋の味覚のマツタケに出会えることを夢見て。
意気込んで出かけたものの・・・
結局、一日かけてもマツタケは見つからず、
それでも野生のキノコや栗を拾い帰りました。
部屋に戻り、図鑑を片手にキノコの判別を行いました。
しかし、どう調べても図鑑に載ってないキノコがひとつ・・・
不自然なほど大きく鮮やかな色をしたキノコ・・・
まるで蝶のような模様がある紫色をしたキノコ・・・
芳醇なアレスのような桃の香りのするキノコ・・・
部屋が桃の(ような)香りで満たされ、うっとりた気分で一心不乱に匂いを嗅いでいると、
私の後ろで「カタン」という音が・・・
キノコ片手に振り向くと、見慣れた手紙が床に落ちていました。
誰も部屋にはいないはずなのに・・・
私宛の不思議な手紙。
恐怖に耐えかね破いても破いても戻ってくる手紙。
しかし今日の私にはこのキノコがあります。
気持ちも大きくなり手紙を開いてみました。
怪しい地図と不思議な文が・・・公式でしょうか?
地図はお屋敷周辺の地図ではない事は確かですが、どこかまではわかりません。
公式・・・のようなものは良くわからない足し算のようなものばかり・・・
どこかで見たような・・・見なかったような・・・そんな公式でした。
手紙を右手に、キノコを左手に首をかしげること一時間、
地図の裏に何か文字が書かれている事に気がついた時、
突如眩暈が・・・
気がつくとベッドの上で目を覚まし、
私を上から覗き込む十和田執事と時任執事。
話を聞くと、奇声を上げながら部屋で笑いながらくるくると踊っていたそうです。
どうやら一種の幻覚作用でおかしくなっていたようで、
通りかかった服部に発見され搬送されたとの事。
キノコは焼却処分されたようです。
お嬢様、お坊ちゃまも不振なキノコを見つけたら、
食べたり匂いを嗅いだりはされませぬようにお気をつけ下さいませ。
と・・・私に言われるまでもございませんね。
大変失礼を致しました。
奈良崎で御座いました。
換気、洗浄された部屋に戻ってみると・・・
机の上に何やら手紙が。
封筒の裏には「やっと中身を見てくれたね」と走り書きが・・・
このてがみはよんだほうがいいのでしょうかよんではいけないのでしょうか