初めて飛行機に搭乗した60代の乗客が、非常時の脱出用スライドを作動させたため、出発が2時間以上遅れるという事態が発生した。
格安航空会社(LCC)エアプサンが8日発表したところによると、この日午前9時50分に金海国際空港を出発し、福岡に向かう予定のBX142便に搭乗した男性客(69)が、非常時の脱出用スライドを作動させるレバーを引き、機体右側中央部の非常口に取り付けられている脱出用スライドが作動した。レバーは通常、非常口の横に取り付けられているが、カバーなどはないため、誰でも簡単に引くことができる。
飛行機は当時、滑走路に移動中だった。エアプサンは飛行機の出発を取りやめ、問題の脱出用スライドを取り外した後、予定より2時間24分遅れの午後12時14分に離陸させた。この間、182人の乗客が機内に閉じ込められ、うち30人は午後2時に出発する後続便への乗り換えを強いられた。脱出用スライドは8台のうち1台がなく、非常時に乗客全員を乗せられない状態で運航した。
脱出用スライドを作動させた男性客は警察の調べに対し「初めて飛行機に乗ったが、(脱出用スライドを作動させるレバーを)窓を開けるためのものと思って引いた」と供述したという。空港警察隊の関係者は「悪意がなかったと判断されるため、男性客に法的責任を問うのは困難だ」と話した。