統一地方選:維新の同志、今は敵 大阪府議選6選挙区
毎日新聞 2015年04月08日 12時36分
12日投開票の大阪府議選(定数88)は、全53選挙区のうち6選挙区で、大阪維新の会を離党した現職が、維新候補と直接対決する構図になっている。維新は議員定数削減に伴い現職が競合し、執行部側が苦渋の選択で「くじ引き」での決着を提案したことに「有権者の思いをばくちに賭けることはできない」などと反発した府議が離党。2選挙区はかつての“同志”が戦う構図になった。「運」に任される可能性のあった決着は、今回、有権者の判断に委ねられた。
泉南市・阪南市・田尻町・岬町選挙区(定数1)は前回、定数1ずつの2選挙区で、維新現職、土井達也氏(47)と当時維新だった堀口和弘氏(43)が当選した。前回選の直後、過半数を獲得した維新は、公約通り定数2割削減を強行採決した。その後、1票の格差是正で選挙区の合区が決まった。「(2人は)甲乙付けがたい」として、執行部はくじ引きによる選挙区調整を提案したが、堀口氏は反発し、離党。今回自民公認で立候補した。
今回、選挙区で立候補したのは、この2人だけ。泉南市で先月末に開かれた街頭演説で、維新に残った土井氏は「議員自ら身を切った財源で府の赤字経営を改めた」と訴えた。維新の橋下徹代表(大阪市長)も応援で「どちらに投票するかで(都構想への)意思表示ができる」と、争点化を図った。
一方の堀口氏は今回の選挙で地方創生を訴える。毎日新聞の取材に「『都構想』には反対ではないが、(維新の)市民の声を聞かないプロセスに疑問を感じた。今回は争点ではない」と話す。
有権者からは、同じ維新だった候補者が、敵味方で争うことになった構図に戸惑いがあるようだ。
泉南市の40代男性は「元々は同じ維新で、同じ主張をしていた2人なのに、なぜ敵味方に分かれたのかよく分からない」と戸惑った様子で話した。
四條畷市・大東市選挙区も合区により、定数が3から2に減った。今月1日の公開討論会で、元維新の無所属現職は「共倒れするので、(執行部から)じゃんけんと言われた。市民に失礼だ」と、離党の経緯を明かした。これに対して維新現職は「都構想は実現の手前まで来た」と強調し、地元へのメリットを主張した。四條畷市・大東市選挙区は他に、公明現職や共産新人、無所属新人2人が出馬し、論戦を繰り広げている。