2015-04-09 はてな はてブ サービス
なぜはてなの新サービスははてブに勝てないのか?
概要
これははてな民の、はてな民による、はてな民のための、はてなのサービスを考えるエントリです。
終了したはてなの新サービスたち
はてなまとめ(サービス終了)
「はてなOne」「はてなまとめ(仮)」「はてなハイク2(仮称)」「はてなリング」と、一部のラボサービス終了のお知らせ
サービス開始以来、ユーザーの皆さまにご利用、ご愛用いただいてきました「はてなOne」「はてなまとめ(仮)」「はてなハイク2 (仮称)」「はてなリング」と、8つのラボサービス(16x16、はてなSNS、はてなWordLink、はてなわんわんワールド、はてなニュース、はてなボトル、はてなロクロ、はてな検索プラス)ですが、2012年10月1日をもちまして終了させていただきます。
これは近年の一例だが、Webサービス企業のはてなが立ち上げた新サービスのうち、はてブ(はてなブックマーク)ほど長く続くものは少ない。
なぜ、新サービスはうまくいかないのか? 逆に言うとなぜ、はてブはうまくいったのか? 他社サービスと比較すると、資本がどうこう、技術がどうこう、と複雑で難しい話になる。それも重要だろうが、私はただユーザ視点で話したいので、はてブと比較して考えたい。
なぜはてブはうまくいっているのか?
資料を必要とする層
はてブとはソーシャルブックマークのことだが、はてブの利用者にはブックマークとして実用的に使う人と、ソーシャルメディアとして自己表現のために使う人、大きく分けてふたつの流派がある。
前者については、はてなを使う層ととても相性が良かった。はてならしい利用者の典型がITエンジニアだろうが、彼らは機械を相手にする都合上、大量の資料が必要になる。
もちろん、全員がエンジニアではないが、対象がITだろうと一般ビジネスだろうとサブカルだろうと、はてなユーザが何らかの資料を必要とする層と重なるのは想像しやすいだろう。
ネット上の情報を整理しようとするとき、それほど使えるツールに選択の余地がない。たとえば、Webブラウザのお気に入りはすぐあふれてしまい使いにくい。そこで、デフォルトのツールの座にうまく収まったのだろう。
SNSを好まない層
後者のソーシャル的に使う層について、ソーシャルメディアはSNSや掲示板など、他にも選択の幅が広いのに、なぜはてブを使うのだろうか?
それは、マジックミラーのように一方通行型のメディアだからだろう。はてブがメタな視点のメディアだという話は、はてな界隈では昔からよく言われていた。
ブログのコメント欄とはてブのコメント欄の違いとして、相手から見返されるかどうかがある。ブログのコメント欄はチェックするだろうが、はてブの存在は認識していない可能性がある。
もちろん、はてダ(はてなダイアリー)やはてブロ(はてなブログ)のブロガーならはてブを認識しているだろうが、ブログのコメント欄と違ってはてブだと文字数が限られるので、本人が同じ分量で反論できないという制限がある。
より細かいことを言うと、ブログのコメント欄には「書いてあげる」とか「書かせてもらう」とかいう心理的意味づけがある。はてブを使ってるときには、この敷居をまたぐアウェイ感がなく、ホームグラウンドのままで書ける。
また、これと対照的に、はてなユーザはSNSを好まないのではないかと思う。逆にもしSNSが好きだったら、冒頭で示したように、なぜ「はてなSNS」「はてなOne」などのSNS系サービスが終了してしまうのか、という疑問が残る。
SNSでは相互的なコミュニケーションが行われるが、「SNS疲れ」という言葉もあるように、それだと精神的な負担が大きい。SNSは他者と正面からじかに向き合い、見つめ合ってしまう。*1
はてなユーザをゲーム風にたとえて言えば、賢さが高かったりいろいろな魔法を知っていても、精神攻撃には弱い。*2そのため、SNSを好まないのではないか? だから、はてなのユーザはマジックミラーのような一方通行の距離感を好むのではないか?
それに、はてなユーザが好みそうな分野、たとえばプログラミングにしろ、アニメやゲームのキャラ(の鑑賞)にしろ、基本的に一方通行のコミュニケーションだ。
つまり、はてブは心の壁になってくれるので、はてなユーザに好まれているのではないか。
はてスタによるはてブのゲーム化
はてなではSNS系路線のサービスが作られ続けてきた。前述の「はてなONE」の後を継ぐような形で、「はてなスペース」というサービスが始まっており、はてな運営はSNS化の野望を捨てていないようだ。
もちろん、はてなの運営には、マーケティングのようなさまざまな思惑があるだろう。一方で運営の都合だからといって、ユーザのニーズを無視してうまくいくわけでもないだろう。
ではどのようにすればいいのか?
たとえば、私が良いと思う既存のサービスに「はてなスター」(はてスタ)がある。導入直後にはいろいろ言われていたし、これが直接マネタイズにつながるかというと疑問だが、一ユーザとして素直に良いと思う。
はてな界隈にはてスタがないと、優越感ゲームばかりが目立ってしまい、殺伐とし過ぎる。はてスタは、はてダやはてブほどのメインディッシュではないけど、気の利いた飲み物とかデザートに相当すると思う。
はてスタの良いところは、はてダやはてブなど他のはてなサービスの上に乗って価値を増すところだ。とくにはてブにとって大きい。はてダにははてブの数という評価基準がすでにあったが、はてブにもはてスタという基準が作られた。
みんながそのように使っているわけではないが、はてスタの意義を分かりやすく説明するためにあえて言えば、はてブをはてスタを取るゲームとして遊べるようになった、ということだ。ある種のソシャゲのようなものかもしれない。
一方通行の組み合わせ
はてスタは一方通行型のコミュニケーションツールだ。また他サービスで言えば、ツイッターは一方通行的だ。フォローも一方通行で、SNSの相互承認タイプのフレンドシステムよりかは気軽だと思う。
ツイッターのようなミニブログの「はてなハイク」は今でも続いているので、SNSよりミニブログタイプのほうが、はてな民の気性に合っているのだと思う。はてブもコメントの部分はミニブログ的な性格がある。また、じつは前述のはてなスペースも、はてなハイクの構造と共通する部分は見いだせる。
そして、ツイッターのようなミニブログタイプのものは、APIやツールを組み合わせて利用したほうが上手くいくと思う。たとえば、ツイッターに対するトゥギャッターのように。どういうことか?
たとえば、「NAVERまとめ」のようなキュレーションサービスで「はてなまとめ」というものがあったが、これも終了してしまった。個人的には、ツイッターに対するトゥギャッターのように、はてブのブクマを加工するとまとめができあがる、というタイプのものが欲しかった。
はてなブックマークは「RSSリーダー」の開発に取り組んでいきます
RSSリーダーとはてなブックマークをシームレスにつなげていくことで、サービスがより便利になるのではないか
大チェッカーは、みんなで作るアンテナサービスです。
私が考える方向性とは異なるかもしれないが、こういう予定もあることをいちおう紹介しておこう。はてブに対する「RSSリーダー」*3、「はてなアンテナ」に対する「大チェッカー」と、おおざっぱに言えば既存のサービスと連携するタイプのサービスの話ではある。
私のイメージではあるが、オールインワンのSNSをドンと用意されて、それをはてな民がみんな使う、というところを想像できない。はてブにはてスタがなじんできたように、別々のツールが組み合わされ、選択され淘汰されて、自然に発展していくほうが想像しやすい。
だからタイトルまで戻って言うと、SNSを出してもはてブに勝てないのなら、はてブを拡張的に使う方法を考えればよいのではないか。
最後にまとめると、SNSのような特定の人物と見つめ合うタイプよりも、マジックミラー型のツールを組み合わせたメディアのほうが、はてな民好みではないかと思うのだが、いかがだろうか?
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