Updated: Tokyo  2015/04/10 01:15  |  New York  2015/04/09 12:15  |  London  2015/04/09 17:15
 

FRB理事:労働市場のスラック、緩やかな引き締めの論拠に

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  (ブルームバーグ):パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)理事は8日、労働市場には隠れたスラック(たるみ)が残っており、年内に予想される利上げ開始後も米金融当局が政策の引き締めに緩やかな手法で臨むことを正当化するものだとの考えを示した。

パウエル理事はニューヨークの外交問題評議会(CFR)での講演テキストで、「失業率では恐らく労働市場に残っているスラックについて実態よりも少なめの数値が示されている」と指摘。「労働参加率は引き続き異例の低水準にあり、潜在的な労働者が雇用機会や賃金のさらなる改善を期待して待機している可能性を示唆している」と語った。

引き締めまで長く待ち過ぎることでインフレ高進を招くリスクよりも、時期尚早の利上げによって経済に打撃を及ぼすリスクの方が大きいとの見解も表明。同時に、米金融当局は市場の安定を損ないかねない「泡立った」金融状態に加担することがないよう警戒すべきだと付け加えた。

同理事は「年内に最初の利上げを行うことを支持する経済状態が見込まれる」と述べた上で、「経済が予想に沿った道筋をたどり続ければ、しばらくの間、極めて緩やかなペースで金利を引き上げるのが適切となるだろう」と話した。

パウエル理事は、失業率低下で一段の前進が予想されると述べるとともに、原油安とドル高による一時的な影響が無くなった後は、インフレ率は米金融当局の目標である2%に回帰していくだろうと指摘。「3月は伸びが鈍化したものの、過去2年間にわたって雇用創出は極めて力強かった」とも語った。

このほか同理事は、深刻な金融危機が労働力や資本投資、生産性を中心とした経済の供給サイドに及ぼした影響を、エコノミストや政策当局者は過小評価しがちだとコメント。だが「多くのエコノミストは今や、危機前のトレンドと比較した国内総生産(GDP)の不足分の半分を大きく上回る部分について、単に需要不足というだけでなく、潜在生産力の減少を示すものだと推計している」と説明した。

原題:Fed’s Powell Says Labor Slack Supports Gradual Tightening (抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Christopher Condon ccondon4@bloomberg.net;ニューヨーク Matthew Boesler mboesler1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Christopher Wellisz cwellisz@bloomberg.net Alister Bull

更新日時: 2015/04/08 21:00 JST

 
 
 
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