イノベーションを生み出し続ける米Apple社は、業績面でも超が付くほどの優良企業だ。直近の2014年度(2014年9月27日を末日とする会計年度)では、売上高が約18兆円、営業利益率が約30%と驚異的な数値をたたき出している。
革新的な製品である「iPhone」が、莫大な売り上げをもたらしていることは理解できる。しかし、30%もの営業利益率を実現している理由は、あまり知られていないのではないか。一般に、販売台数が多いからといって、必ずしも利益率が高いとは限らない。Apple社には、もうかるための仕組みがある。そして、それは1970〜1980年代の古き良き日本のメーカーが実践していた設計手法と極めて似ているのだ。
現在、日本のメーカーは、「技術力はあるのにもうからない」「コンペで負ける」といった課題を抱えている。そうした状況を打破するためにも、Apple社のもうかる仕組みを学び、自社に取り入れなければならない。
製造業は「固定費回収モデル」
そもそも、製造業において「もうける」とはどういうことなのか。まずは、そこから解説しよう。以下の図は、製造業のコスト構造を模式化したものである。
製造段階以降に部品費などの変動費(生産量に応じて増える費用)が発生するのに対し、製造段階以前は研究費/設計費/設備費/金型費などの固定費(生産量と関係なく一定の費用)が発生する。そう考えると、製造段階よりもかなり上流で多額の固定費を投資していることになる。そして、時間をかけてさまざまな製品でこの固定費を回収し、もうけを得ているのである。言い換えれば、製造業は「固定費回収モデル」である。
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