ハートネットTV スタート・新セーフティーネット2▽声を上げられない困窮者達 2015.04.08


(山田)昨日からシリーズでお伝えしている…まさに今日4月1日からその新しいセーフティーネット生活困窮者自立支援制度が始まりました。
生活に困窮している人たちの自立を支えようというそういったものですよね。
(金子)ねえ。
生活困窮者の方が本当さまざまな環境でさまざまな理由があるというのがすごく昨日分かったんですけれどもその中でまあ新しい制度が出来たっていうのは本当すばらしいなとも思ったんですがじゃ実際これからどうなっていくのかなっていうのはすごく気になりましたね。
課題もいくつかあるので今日はその辺り見ていきたいと思います。
ではこの新しいセーフティーネットどういったものなのかこの模型で簡単にですが説明していきます。
このようにさまざまな困り事を複数抱えている生活困窮者。
例えばこちらの中高年男性は自分の病気や親の介護で自分の職を失って苦しくなってしまいました。
ほかにもさまざまな困難を抱えている人たちがいます。
こうした生活困窮者をこの生活保護に至る前に支えようというのが今日から始まったこちらです。
よいしょ。
新しいセーフティーネット生活困窮者自立支援制度です。
ワンストップ1つの相談窓口でさまざまな支援につなげようというものなんですね。
ところが課題もあります。
このようにせっかく窓口が作られた訳なんですがなかなか自分から…。
よいしょよいしょ。
自分から行けない人も実際多いんですね。
こういった生活困窮者をこのように相談窓口にどうつなげていったらいいのか模索する自治体を取材しました。
高知県高知市。
生活保護の受給率は全国平均を大きく上回っています。
2年前新制度のモデル事業として生活支援相談センターを立ち上げました。
現在寄せられる相談はひとつきに50件。
社会福祉士などの資格を持つ5人の相談員が対応します。
病院やハローワークなどおよそ90の機関と連携。
一人一人に合った支援に力を入れています。
こちらはセンターが作製したパンフレット。
こうした活動をより多くの人に知ってもらおうと市内全戸に配布しました。
しかしなかなか相談にはつながっていないと感じています。
平成25年度市に生活保護の相談があったのはおよそ3,000。
このうち受給できたのは1/3でした。
その後新設されたセンターに相談があったのは900件ほど。
少なくとも1,000件余りの声は埋もれたままです。
困窮者が発するサインをなんとかキャッチできないか。
これまでとは違うアプローチも始めました。
この日は国民健康保険の担当者との会合。
生活が苦しく保険に加入していない人を相談につなげられないかと考えたのです。
センターや行政だけでは声を出せない困窮者を見つけるには限界があります。
そこで注目したのが民生委員の活動です。
担当する地域を日々見回っています。
こんにちは。
また何か困り事でもありましたら…。
はい。
というか「顔出せ」って言ったらすぐ来ます…。
いつでも悩みを相談できるよう連絡先を渡します。
バイバイ。
バイバイ。
誰とでも気さくに言葉を交わす山さん。
何気ない会話から僅かな暮らしの変化を読み取ります。
ごめんください。
(鳴き声)ご無沙汰してます。
どうしたの?ほらほら…。
ほれ。
もうおいくつになられました?83です。
すごいですねお若い。
30坪ってかなりのもんですね。
おいバイバイ!この土地で暮らし紡いできた人との絆。
困っている人に気付く糸口となります。
かつて山さんがセンターにつないだ事で命を救われた人がいます。
子どもの頃脳に損傷を受け後遺症がある…父親が経営する会社で働いていましたがその父親が他界。
仕事も住まいも失ってしまいました。
就職先を探しても見つかりません。
僅かな貯金も底をつき追い詰められていきました。
心配した近所の人が山さんに連絡。
山さんはセンターを紹介します。
男性は一時生活保護を受給。
3か月後には就職する事ができました。
この日市内で活動する民生委員のための研修会が開かれました。
新制度をより深く理解してもらい困っている人を捜し出そうというねらいです。
しかし研修会のあと参加者からは戸惑いの声が寄せられました。
なかなか声を上げられない生活困窮者。
社会から孤立させない事が重要です。
う〜ん。
いや難しいですね。
これ日本人の美徳といいますか人に迷惑をかけちゃいけないとか「我慢をするんだ日本人は」みたいな何かそういう昔ながらの日本人のよさっていうのが逆に何か枷になってるのかなというか。
迷惑をかけない人なんて多分いないと思うんですけどそこをこう一歩踏み切れないっていうのが…。
何かいいのになって思うんですよ。
ここからは後藤千恵解説委員にも加わってもらいます。
なぜ生活困窮者は声を上げられないんでしょうか?皆さんやっぱり声を出せないという事ですけれども実は最初から声を出せなかったという事ではなくて実は自治体などに一度は相談をした事がある方もやっぱり多いと思うんですね。
でも制度の縦割りの中で制度の対象にならなかったりやっぱりいろんな複合的な問題を抱えているのでたらい回しにされて生活の支援につながらなくて諦めてしまったり…そういう方も多いと思います。
またこの生活保護を受ける相談を行くまでもものすごい勇気を一回持って行く訳じゃないですか。
それで駄目だった時のその気持ちって考えたらやっぱりもう何か相談しても無理なんだなってちょっと諦めてしまう気持ちも分かるんですよね。
そうなるとなおさらつながりにくくなってしまう。
SOSというサインが見えなくなってしまうというところがあると思うんですが。
そういった中で高知市では民生委員さんに協力を求めていましたよね。
民生委員の方もやっぱりこれまでは困った方に気が付いてもどこにどうつなげていいのか分からないっていうところがあったかと思うんですけれども今回このワンストップの相談窓口が出来たという事でそちらにつないでいけばいいという一つのしっかりとした受け皿が出来たという事でやりやすくなってはいくと思いますね。
ただあと民生委員さんも本当にもう大変ですから民生委員さんだけではなくてやっぱり地域のボランティアとかNPOの方々。
もうそういう方活動してる方だけじゃなくて例えば本当にご近所の方とかですね。
やっぱりちょっと気になるご近所さんに目を向けてこうした窓口につないでいったり声をかけたりそうした地域のちっちゃなおせっかいの輪を広げていくっていう事が大事になってくると思います。
…となるとこの制度はもちろん大事ですけれどもやっぱりおせっかいといいますかその地域力というのも同時に作っていかないとというのがあると思うんですよね。
今何か人の家庭に踏み込んじゃいけないみたいな逆の気の遣い方をしてますからね。
そうですよね。
あと役所の中でも例えば個人情報保護とか言ってなかなかそれが足枷となってしまう場合もあると思うんですよね。
でも実は既に生活困窮者への支援を通じてその困窮者とのつながりを生み出してきたという団体があるんです。
例えばこちらのNPOなんですけれどもこれまで困窮している1,100世帯以上にこのような食料を緊急的に支援していました。
更にこの支援をきっかけに…これ大事なんです。
困窮者の生活相談も併せて行ってきたんですね。
それによって多くの人が救われたんです。
ところが新しい制度が始まる事で今この活動が危機的な状況を迎えているんですね。
緊急的な食料のみの支援というのはこの新制度の支援メニューに含まれていないんです。
これはでもちょっと困ってしまうんじゃないですか?その方は。
ええ。
これまでこのNPO団体が支えてきた生活困窮者とのつながりは一体どうなるのか。
山梨県のNPOを取材しました。
スピード。
山梨県で小学生の娘と暮らすシングルマザーです。
1年前元夫の暴力から逃れるため暮らしていた町を離れました。
夫に居場所を知られないよう仕事は休まざるをえず解雇されました。
新たな仕事も見つからず僅かな貯金はあっという間に底をつきました。
(玄関のチャイム)はいすいません。
どうもありがとうございました。
行き詰まっていた時市役所から紹介されたのがあるNPOが行う食料支援。
2週間に1度急場をしのぐ米やレトルト食品などが無償で届きます。
女性は支援で生活を立て直す事で職業訓練に通う事ができました。
先月介護の資格を取得した事で困窮から抜け出す希望が見え始めています。
この親子を支えたのがNPOフードバンク山梨です。
企業や農家などから寄付された食品を県内174世帯に送っていました。
生活困窮者の支援を始めて5年。
これまで支えた世帯は1,100を超えます。
公的支援を受けられない人たちを救う取り組みとして全国から注目されていました。
更にNPOが続けてきた事があります。
は〜い。
(3人)こんにちは。
つながった世帯を直接訪問し暮らしの悩みを聞き取ります。
中には訪問を拒む人もいるため食品に往復はがきを添えて返事を待ちます。
例えばこの方もそうですけど「転んで入院しちゃいました」みたいな書いてくれてるのですぐそういう変化がこう分かるって事ですね。
これまで国からの補助金で輸送費や人件費を賄ってきました。
しかし新制度がスタートするにあたり補助金が打ち切りとなりました。
なんとか支援を継続できないか。
NPOは今後の方針を話し合いました。
支援してきた174世帯のうち124世帯を打ち切らざるをえなくなりました。
打ち切りの対象になった…失業し光熱費を切り詰めているため冬でも暖房は使いません。
小林さんは寝たきりとなった母親の介護のため8年前仕事を退職しました。
3年前に母親が亡くなった時貯金はほとんどありませんでした。
就職活動を続けていますが年齢の壁に阻まれ見つかりません。
打ち切りが迫る中NPOはどうすれば暮らしを支えられるか模索していました。
お邪魔します。
この日小林さんを訪ねました。
公共料金の支払いが滞り電気やガスが止められそうな状況でした。
小林さんがある書類を持ち出してきました。
2か月前に書いたものの出せずにいた生活保護の申請書です。
何だろうね…。
つながり続けてきたからこそ見える生活困窮者の実態です。
現在このNPOでは支援が打ち切りとなる124世帯を訪問して生活相談を続けているという事なんですね。
そして今回聞き取りをする中で大変厳しい状況だという事が分かった小林さん。
男性ですね。
生活保護をその後申請して受理されたという事です。
それはよかったですね。
でもこのNPOの活動が困窮者にとってはもう命綱じゃないですか。
ごはんが食べられないって心は不安だって言ったら正しい判断もできなくなる訳でより悪循環だと思うんですよね。
これなぜこの活動が続けられなくなるんですかね?今回の制度ではそうした個別の活動への財政的な支援っていうのはほとんどなかった。
ないっていうのが現状なんです。
今回の制度でですね今年度400億円の予算がついているんですけどもこれで十分かといえばそうではないと思いますね。
やっぱり相談事業だけではなくてこうしてその地域の人たちが地域の人たちを支えていく。
支援する人たちを支援するその仕組みとか制度とかもやっぱり作っていかない事にはなかなかうまく回っていかないと思います。
これはでもやっぱり困窮者を減らすって事は今困窮者じゃない人たちも関係なく影響が絶対来ると思うんですよ。
そういった意味では本当自分の周りにも降り注ぐ可能性があるって事は強く感じてなきゃいけないですよね。
やっぱり制度がないから諦めるという事ではなくてやっぱりいろんな知恵を絞って連携とかいろんな事を考えていかなきゃいけないと思うんですね。
例えば自治体の中にはやっぱりいろんな制度を柔軟に運用してフードバンクに助成を続ける所もありますし。
例えば同じフードバンクの中でも広島のフードバンクは食料を配るだけではなくてその食材を使った地域のレストランを開いていろんな多角的な活動を広げていたりするんですね。
やっぱり税金で何かをやるという事だけではないもう一つのお金の流れというようなものを大きく広げていくっていうような事も大事だと思います。
でもそういう意味ではお金の流れっていうとやっぱり地域によってお金があるないとかもあるじゃないですか。
その中で何か地域によって支援の中の大きな格差っていうのも出てくるんじゃないんですかね?そうですね。
本当に今回の制度の鍵を握るのは地域です。
今回の法律でも実は大きな目標を2つ挙げていて…やっぱり地域で孤立しがちな困窮者の方をみんなで支えていく。
地域の中に居場所とか就職働く場所とかそういったものをたくさん作って参加の場を広げていく。
そういう事なしには本当に困窮者の方々がしっかりと暮らしていけるようにはならない。
そういうふうにうたってはいるんですがなかなか今言われたようにそのベースがある所とない所とやっぱりありますからもしかしたら格差が広がっていくという事になるかもしれません。
だけど創造性の競争というか本当に地域づくりの競争がこう始まっていけばいいなって思いますね。
そういう競争はどんどんするべきだと思いますよね。
このようにたくさんメニューがあるのはいいんだけれどもそれをどのようにして使っていくのか。
運用していけるのか。
まさに今日から始まった訳ですから…。
すごい楽しみな部分もあるんですけれどもただあの…何て言うんですかね。
困窮者の方が救われるという事は遠〜いつながりで自分たちにも絶対返ってくる事だと思うんですよ。
困窮者を減らせば減らす分自分たちの地域が幸せになって後々子どもたちにいい環境っていうのをDialogue:0,0:28:31.13,02015/04/08(水) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV スタート・新セーフティーネット2▽声を上げられない困窮者達[字][再]

シリーズ「スタート・新セーフティーネット」。1日からスタートする生活困窮者自立支援法に焦点を当てる。第2回は、新制度の抱える課題を各地の取り組みから考える。

詳細情報
番組内容
シリーズで伝える「スタート・新セーフティーネット」。生活保護受給者数が216万人を超えた日本。そんな中、1日からスタートする生活困窮者自立支援制度。困窮者が生活保護に至る前に支援する取り組みだ。しかし、不安の声も挙がっている。「声を上げられない困窮者」をどう相談につなげるのか。また、制度からもれてしまい、打ち切らざるを得ない支援をどうするのか。第二回は新制度の課題を全国各地の取り組みから考える。
出演者
【ゲスト】金子貴俊,【解説】後藤千恵,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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