くらし☆解説「新学期 事件を繰り返さないために」 2015.04.08


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
10時5分になりました「くらしきらり解説」多くの学校で新学期が始まりましたが川崎市の中学校1年生の男子生徒が殺害された事件を受けて文部科学省は当面の対応方策をまとめ学校ごとの取り組みを求めています。
担当は早川信夫解説委員です。
まず文部科学省は学校に対してどういう取り組みを求めているんでしょうか。
早川⇒主なものを3点挙げたいと思います。
まず1つ目の被害のおそれのある子どもへの速やかな対応、これはどういうことでしょうか。
子どもが病気やけがなどのはっきりした理由もなく続けて休んだ場合の対応なんですけれども担任や養護の先生が3日を目安に校長や教頭に報告すること。
そしてそれが7日以上に及んだら教育委員会に報告することを求めているんです。
7日で教育委員会に報告。
川崎の事件では学校内の情報共有にとどまって教育委員会を含めた組織的な対応ができなかったということが指摘されてきたからなんです。
まずはクラスだけとか学校だけの抱え込みをやめてより多くの人たちが関わることで知恵を出しやすくしようということなんです。
これは効果はあるんでしょうか。
期待したいと思います。
今回の事件に限らず、日頃の子どもたちの様子を知るということでも意味があるからです。
文部科学省が2月末の時点で緊急調査したところ7日以上学校を休んでいて本人と連絡が取れない子どもが232人。
学校外の集団との関係で命や体に被害が及ぶおそれのある子どもが168人合わせて400人に上ることが分かったんです。
まずはこの400人の安否確認を何よりも急ぐ必要があります。
ちょうど新学期、学年の変わり目にあたりますので十分な引き継ぎを求めたいと思います。
そして2つ目の学校が地域社会や警察と連携して取り組む、これは事件のあと盛んに言われたことですね。
確かに川崎の事件では亡くなった上村君に身の危険が迫っているということは学校をはじめとする周囲の大人たちが気付けなかったことが問題として指摘されました。
クラスの子どもたちや元の小学校の同級生たちは、ある程度の情報は知っていたにもかかわらず大人たちには伝わっていなかったということです。
それは問題ですね。
そうした情報に触れるためにも学校と地域、あるいは警察、児童相談所などの関係機関との連携をとることを求めているんです。
その中心的な役割をスクールソーシャルワーカーという人にこの役割を求めているんです。
最近、このスクールソーシャルワーカーということばをよく聞きますがどんなことをする人なんでしょうか。
子どもたちの困難な状況に寄り添って子どもたちの声に耳を傾けながら地域の人たちや学校と連携を取りながらつなぐ役割をする人なんです。
スクールカウンセラーとは違うんですか。
学校の中で子どもの心のケアにあたるのがスクールカウンセラーですがスクールソーシャルワーカーは学校の中だけにとどまらず地域社会や子どもを取り巻く人たち、警察や関係機関のつなぎ役をする、大きな意味で教育と福祉をつなぐ役割を担っている人のことを言うんです。
例えば今回の事件の教訓を生かすという意味では身に危険の迫っている子どもの情報を、その周囲の子どもたちの間に入って聞いて情報をつかみとる役回りが期待されているということです。
そうは言いましても文部科学省が学校へ配置を進めるようになってまだ日が浅くて全国におよそ3万校ある小・中学校に対して、およそ1000人が配置されただけにとどまっているんです。
まだまだ少ないですね。
その役割はますます重要になってくるんですがまだ過剰な期待を寄せるのは酷な状況ですね。
学校と警察の連携は以前から言われてきたんですが進んでいないんでしょうか。
形のうえでは進んでいるんですけれども、現実にはそう密接な関係にはなっていないということなんです。
学校と警察との連携協議会を作っているところが97%もあるんですね。
かなり作っているんですね。
ただ、現場の状況を聞きますと今回の川崎のケースもそうなんですが学校の学区と警察の管轄が一致しないケースが結構あるんです。
ですので情報交換がスムーズにいかないケースが結構多いんです。
学校からしますと複数の警察署と情報交換をしなくてはなりませんし警察と警察との連携、あるいは学校と学校との連携も必要になってくるんです。
そういった意味で現場の実情を見ずにただ連携を取ればいいということだけではなかなか乗り越えにくい壁があるということなんですね。
連携は難しい、けれども重要なことですからね。
しっかりやってほしいですね。
3つ目はSOSを受け止める窓口の充実、これはどういうことなんでしょうか。
学校が子どものSOSのアンテナを高くすることはもちろん必要なことなんですが学校に言えない悩みというのを子どもたちは持っていますね。
そういった悩みを受け止める態勢作りを求めているんです。
その1つとしていじめ相談のために都道府県ごとに設けられている24時間いじめ相談ダイヤルというのがあるんですがこれに身の危険を相談できる機能を加えるとしています。
このほか、児童虐待への対応のためにこの夏に設けられる予定になっている全国共通ダイヤル189番や、警察が設けているヤングテレホンなどさまざまに窓口を充実させるとしています。
いろいろあるんですね。
いろいろあるんですがただ子どもからしますとどの電話にかけると本当に親身になって相談してもらえるんだろうか、分かりにくいし電話の先で大人がどう対応してくれるんだろうか安心して何でも話せる相手なんだろうか、分かりにくいですね。
文部科学省や厚生労働省警察庁など役所ごとに電話を設けるのではなくて窓口を一本化して子ども側からするとワンストップで困ったときに助けてと言えるものにしてほしいなと思うんですね。
相手は子どもですからやはり分かりやすくしてほしいですね。
こうした対応、いろいろありましたけれども今後こうしたことで事件は防げるんでしょうか。
取り組んだなりの効果は期待したいけれどこれをやったから決め手になるわけではないと考える必要があると思います。
今回の事件から考えますとまずは家庭の状況にも目を向けてほしいということですね。
今回の事件、被害者の少年について考えますと親はなぜ子どもの行動を把握していなかったのかと議論されたんですが行き着くところシングルマザーの家庭が抱える格差と貧困の問題に行き着くと思います。
子どもたちのためにと時間を惜しんで必死で働いているお母さんに心配をかけまいと顔にあざができるほど殴られても打ち明けられなかった。
簡単にSOSの声をあげられる状況ではなかったことがうかがえます。
複雑な状況ですね。
一方で加害者のことを考えますと若者の居場所にも目を向けてほしいと思うんですね。
学校や地域社会の中で自分たちの居場所を見失っていた。
急速な宅地化の中で居場所といえば大型の商業施設やゲームセンター、それに自宅と限られた場所にすぎなかった。
地域社会の中で外の人たちと触れ合う機会のないままに集団の中だけの限られた空間で日常を過ごしていた。
人の痛みが分かる育ちの機会を逃したまま、自分たちの論理だけが通用する世界に没入していったことがうかがえるんです。
そうした環境が問題ですね。
このように問題は学校だけで解決できないことを示しています。
そう考えますと地道に貧困や格差を解消する努力を国や自治体が中心になって社会全体で取り組むことが必要だと思います。
また、若者とりわけ中高生世代の居場所作りを考えることも必要です。
早川信夫解説委員でした。
2015/04/08(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「新学期 事件を繰り返さないために」[字]

NHK解説委員…早川信夫,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…早川信夫,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:6502(0x1966)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: