タイムスクープハンター セレクション「お氷様はかくして運ばれた」 2015.04.08


(沢嶋雄一)怪我なしウイルス反応なし。
いつものように軽度の頭痛を覚えますがタイムワープによるセロトニン過剰分泌によるものだと思われます。
西暦変換しますと1693年6月28日午前6時18分。
無事タイムワープ成功しました。
コード200458。
これから記録を開始します。
沢嶋雄一。
彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて人々を記録していくタイムスクープハンターである
コードナンバー200458。
元禄6年5月28日現在の6月下旬石川県。
今回の取材対象者と接触する事に成功。
飛脚と呼ばれる人たちである
当時の人々にとって私は時空を超えた存在になります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触する際には細心の注意が必要です。
必要以上にこの時代の人物に踏み込んではいけません。
なぜなら私自身の介在がこの歴史を変える事もありえるからです。
彼らにカメラを向けられるようになるまでは特殊な交渉術が必要となります。
その交渉方法に関しては極秘事項のためお見せする事はできません。
ですが今回も無事仲間として受け入れられたようです。
加賀の飛脚たち。
彼らの主な仕事は加賀と江戸との間を手紙や荷物などを走って運搬する事だ。
そんな彼らに年に1度夏にやらなければならない特別な仕事があった。
その仕事とは…
彼らの仕事は冬の間氷室に蓄えた雪氷を切り出すところから始まる。
氷をすぐにむしろで覆い更に白い布を巻く。
その後板を二重にした桐の長持ちに納め隙間に熊笹を詰めていく。
氷が解けるのを最小限に防ぐための知恵である。
季節は夏。
解けゆく氷時間との闘い。
休む間もなく彼らは長持ちを担ぐ。
氷の重さはおよそ60kg。
長持ちの重さ40kg。
総重量は100kgにも及ぶ。
金沢から江戸までの道のりはおよそ500km。
彼らは昼夜を徹して江戸を目指す。
献上氷に懸ける江戸時代の飛脚たちの4日間に密着ドキュメントしていく
「デジタルアーカイブシステム起動します」。
加賀藩の献上氷運搬は寛永年間から始まり幕末まで続けられた。
夏に貴重な氷を江戸に献上する。
それは当時の加賀藩にとって徳川将軍家への忠誠心を示すための重要な儀式でもあった
氷献上はこの日に合わせて運ばなければならない
(飛脚たち)エイホエイホエイホエイホ…。
(沢嶋の荒い息)きついっすね。
最初の休憩スポットになります。
今までここ…約2時間走り続けてきました。
僕は同行取材に備えてフィジカルバージョンアップシステムを装着しているんですが通常の約1/2に体力消費を抑える事ができますがそれでも彼らについていくのはかなりきついです。
ものすごい速さですね。
(四郎)ただの荷物じゃねえんだよ。
バカ野郎お前!しっかり腰力入れろ!
一太は献上氷運搬が初めての新人だ。
今回通し飛脚で慣らした健脚を買われて抜てきされた
かなりきついです。
急な坂を下ってます。
加賀から江戸まで普通の旅では10日かかるところを献上氷は4〜5日で運んでいたとされている。
通常の街道ではなく加賀藩だけが知る極秘の抜け道ルートを利用していたようだ。
今回取材した飛脚たちはその道を使う
まだ走るんですか?せ〜のよいしゃ!
(飛脚たち)エイホエイホエイホエイホ…。
今彼らはいったん休憩を取ってここで仮眠を取りそしてまたすぐに出発するようです。
彼らは大名飛脚である
(飛脚たち)エイホエイホエイホエイホ…。
河原を走るのは献上氷運搬の重要な戦略の一つである。
箱に水をかける事によって中の温度が上昇するのを防ぐ効果があるのだ。
川のそばであれば水がすぐに確保できまた飲み水も補給できる
彼らの食事は日に2食。
内容は実に質素だ。
干飯という携帯食を持っていた
せ〜の!
前組前半ルート
現在最大の難所です。
すごく険しい道のりです。
行くぞ!せ〜のよいしょ!
江戸時代の男性平均体重はおよそ52kg。
平均身長156cm。
私の体格と比べてかなり小柄な体にもかかわらず急な坂を上っていく
(四郎)ここで休んでる暇ねえぞ。
この先下ったらなじき旅籠だ。
そこで後組待ってる。
そこでじっくり休めるぞ。
(飛脚たち)エイホエイホエイホエイホ…。
宿場内の問屋場。
問屋場では飛脚業務も行っていて引き継ぎの飛脚たちが常時詰めていた。
ここで後組に献上氷を託して前組の仕事が終わる。
彼らにようやく安堵の表情が浮かんだ
ここで俺たちの仕事は終わりだ。
よくやったな一太!今前組の宿に到着したみたいです。
ここで後組の方たちと引き継ぎを行うみたいです。
中へ入ってみましょう。
酒酒!あ〜くたびれた〜!
だが事態は思わぬ展開を見せる
何やってんだよ!ちゃんと面倒見ろよ。
何かあったんですか?後組の一人がよ走れなくなったって言うんだよ。
後組の一人留八が走りの稽古中に足をくじいてしまったのだ。
更にもう一人…
実はな一人じゃねえんだ。
上州が博打で大損こきやがってよ。
何だよ!やけ酒だよ。
酔っ払ってんのかよ!?ああ。
遊び人の上州が博打に負けやけを起こし出発前に酒を飲んでしまったらしい
お前よ下っ端の世話するのもお前の仕事だろ!しっかりしろ!起きろよ!
(上州)うるせえな〜。
上州はほかのみんなと違い町飛脚からの応援組だ
各藩も経費節減のため次第に町飛脚に委託する事が多くなっていった。
後組に欠員が2人も出る事態。
ここで新たに人員を確保する事は不可能である。
前組から引き続き走ってくれる者を出すしか方法はない
金!?
(松吉)ちょっとやそっとじゃごめんだべ。
無理がたたって一生棒に振りかねねえからよ。
おい金だけじゃねえだろ!うるせえよ。
何がうるせえんだよ本当によ。
飛脚たちに重苦しい空気が漂う。
そして焦りと疲れから感情が爆発する
うるせえよてめえ!早く決めろよ!松吉以外のやつに決めりゃいいじゃねえか!いい加減にしろよお前よ!元はといえば…!しょうがねえだろ!こうなっちまったんだよ!やめてくれ!やめてくれ!俺が行く。
お前が?無理だよお前!お前新入りだろ?今すぐたつんだぞ。
行けんのかよ?江戸までよ。
走れる!頭俺にやらせてくれ。
江戸まで行ってみてえ。
試したいんだ。
頼んます!
飛脚の賃料は江戸大阪を特急便4日で走る場合金8両2分。
報酬は申し分ない。
だが時にはその過酷な重労働から逃げ出したくなる者もいただろう
一太さん大丈夫ですかね?若え時はなあれがいいんだよ。
やりてえっていうよ当人の心意気だ。
あいつはよ今回の献上氷に懸けてんだよ。
ずっと飛脚やれるかどうかってな。
そういう若い者の思いをくんで見守ってやらねえとさ。
後組の留八と上州に代わり頭の四郎そして新人の一太が引き続き走る事になった。
後組のメンバーは甚七能登四郎一太の4人。
江戸を目指して後半ルートの運搬がスタートした

だが新人の一太にとって後組を連続で走り続けるのは過酷な事であった
文献によると当時の飛脚の速度は1日およそ137km。
時速はおよそ9〜11kmで走っていたとされる
(荒い息)大丈夫ですか?
予定よりペースが落ちている。
このままでは明らかに到着が遅れてしまう。
彼らは時間短縮のために更に裏の抜け道ルートを使う事を検討し始めていた
お前どうする?はい?命は大事にしな。
えっ何ですか?来んのはやめといた方がいいって言ってんだよ。
獣がいるんだよ獣が。
獣?ああ。
野犬だよ。
野犬…。
熊も出るかもな。
俺たちもめったな事じゃ使わねえんだよあの道は。
来るのは勝手だ。
覚悟はしておけ。
異臭が漂う不気味な道に入っていく飛脚たち。
だがそのにおいが獣のものでない事にすぐに気付いた
どうしました?獣ですか?この辺りなら熊も出るかもしれねえ。
進むぞ!オイッス!声張ってけ!行くぞ!はい!
(飛脚たち)エイホエイホエイホエイホ…。
そしてこのあと彼らに献上氷運搬史上最悪の事件が襲いかかる事になる
お前無事か!?はい大丈夫です。
大丈夫か?能登は?能登はどうした?能登は?か…頭!頭!能登がいねえ。
能登!どこ行ったんですか?能登!おい!能登!能登がいねえ。
お〜い能登!お〜い!
(能登)お〜い!能登!お〜い能登!大丈夫かい?お前心配したぞ能登!
(能登)やつらを追いかけてた。
氷はどうしたんだ?あいつら三の辻の方抜けていったぞ。
あっちの方だ。
三の辻?ああ。
あそこ確か百姓家1軒あったな。
あれはあばら家だよ。
どうする?
(荒い息)クソ〜ッ!クソ〜ッ!どうするよ?俺たちが行ってもみすみすやられに行くようなもんじゃねえか。
どうすんだよお氷様!危ねえだろ行ったところで。
何が危ねえんだよ!危ねえから危ねえっつってんだよ。
じゃあどうすんだ?行くぞ!これから山賊の家に突入し献上氷を取り返すとの事です。
山賊の声がします。
山賊の声がします。
何だよ氷じゃねえか!ふざけんなよ!そんなもん見たくもねえ!とっとと割って捨てちまえ!
(飛脚たち)うりゃ〜っ!無事だ!大丈夫だ。
無事だ。
お氷様無事だ。
(飛脚たちの笑い声)あんだけ苦労して盗んだのが氷じゃ割に合わねえもんな。
あ〜よかったよな〜!一時はどうなるかと思ったがな。
よし引き返すぞ!
(山賊たち)おりゃ〜っ!早く来い!休んでる暇ねえぞ!やつらが仕返しに来るかもしれねえからな。
命懸けで取り返した献上氷。
みんな仕事に命を懸けていた。
相次ぐ不測の事態に彼らの疲労は限界に達していた。
だが遅れた時間を取り戻すためペースを上げなければならない。
疲れは集中力を欠く。
そんな矢先またしても事故が起きた
どうしたんですか?足くじきやがった。
これか?
(うめき声)駄目だなこりゃ。
お前宿場まで連れてってやれよ。
俺が?冗談じゃねえ。
何だと?俺だって江戸まで行きてえや。
そんな了見でここまで来たのかよ?あんたら2人だけの手柄に取られたらたまんねえもんな。
おいやめろ!
(うめき声)氷で冷やしてみるか。
おいそれはやめろよ。
分かりゃしねえよ。
江戸屋敷では氷献上日に限り氷を庶民におすそ分けする習慣があったらしい。
氷は大変珍しいものだった。
僅かな氷であっても目的以外の使用には慎重にならざるをえない。
だが飛脚としてプライドがある。
一太の気持ちが頭の四郎には痛いほど分かっていた
うわっ!よし。
どうだ?へえ。
よし。
大丈夫ですか?一太さん。
問題ねえ。
行くか。
行けるか?へえ。
よし行くぞ!頑張れよお前。
行くぞ〜!へい。
大丈夫ですか?
(飛脚たち)エイホエイホエイホエイホ…。

長い旅もようやく終わりに近づこうとしている。
山を下りるときれいに整備された街道に出た
あの向こうが江戸だ。
その時彼らが奇妙な行動をとった
大丈夫か?おっす。
運び始めた時の氷は60kg。
それが今では600gほどになっていた
何してるんですか?あんまりきれいなままだといっつもきれいな氷を献上しなくちゃならねえからな。
彼らは関所近くになるとこうして氷を汚していく。
毎回きれいな氷を献上してしまうとそうでなかった時に失態と見なされるからだ。
それは彼らなりのリスク回避術だったのだ。
関所を越え江戸の飛脚たちと交代し彼らの仕事は終わる。
この先も撮影したいという衝動に駆られるがここで別れる事にした。
タイムスクープハンターは必要以上の人間と接触してはならないからだ
行くぞ。
じゃあ皆さん僕はこの辺で。
ここで帰るか?はい。
達者でな。
いろいろお世話になりました。
よく頑張ったよ。
ありがとうございます。
じゃあな。
よ〜し行くぞ!気を付けて。
どんな困難が立ちふさがっても仕事をやり通そうとする飛脚たち。
彼らは誇りを持って仕事を全うした。
だが彼らが歴史の教科書に載る事はない
以上コードナンバー200458アウトします。
2015/04/08(水) 01:30〜02:00
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター セレクション「お氷様はかくして運ばれた」[字]

「タイムスクープハンター」のアンコール放送。時空ジャーナリスト沢嶋雄一(要潤)が江戸時代、加賀藩が行った徳川将軍に献上氷を運んでいた様子をドキュメントする。

詳細情報
番組内容
今回の取材対象は江戸時代の加賀藩のために働いた飛脚たち。旧暦の6月になると、氷室から取り出した氷を献上するために江戸の将軍家に運んでいた。“お氷様”を運ぶため、飛脚たちは約500キロの道のりを昼夜を徹して走る。解けていく氷と時間との戦い、相次ぐトラブルの発生…。献上氷の運搬は、飛脚たちによってどのように行われたのか? タイムスクープ社から派遣された沢嶋雄一(要潤)が密着ドキュメントを行う。
出演者
【出演】要潤

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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