NHK短歌 題「写真」 2015.04.07


「NHK短歌」のお時間です。
今月から司会を務めさせて頂きます剣幸です。
短歌を楽しむ皆様とほんの隅っこでいいのでちょっとご一緒させて頂きたいと思っております。
よろしくお願い致します。
そして今年度第一週目の選者佐佐木幸綱さんと今日のゲスト写真家の浅井愼平さんです。
よろしくお願い致します。
どうぞよろしくお願いします。
まずは選者の佐佐木先生抱負をひと言お願い致します。
久しぶりに選者になりましてね皆さんどういう短歌を送って下さるかとても楽しみにしています。
はいよろしくお願い致します。
浅井さん佐佐木さんとのご縁は?もう随分古いんですけどね僕の友人の歌人の春日井健が当然友達で友達の友達は友達だという事でそれ以来のおつきあいです。
浅井さんには後ほどまた短歌のお話ゆっくり伺いたいと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。
それでは今週の入選歌の紹介です。
佐佐木幸綱さんの題は「写真」または自由でした。
ご紹介致します。
先生いかがですか?「あの日の恋はしまっておこう」ととても軽くスッと言ってる。
どうもねわりと最近の事だろうというふうに読みました。
ですからこの間までのね恋はこれでまた別の恋というかね新しい恋に進んでいくみたいなわりと軽くスッと言っているこの軽さがいいと思いますね。
では次です。
「自撮り棒」って僕も実物見た事ないんですけどねとても新しい内容を歌ってそういうちょっと新しいものを取り入れるというのが一つの歌のポイントですね。
もう一つは「太陽を崇むる」って言葉はあんまり最近使いませんけどね。
これをあえて使っていてそこにあるちょっと皮肉っぽい風刺っぽい感じがあるかなというふうに思います。
では次です。
笑っちゃうわけですけれども。
笑いますねこれ。
楽しい歌を作ろう。
一種のユーモアを狙っている歌だというふうに現実をそのまま歌ったんじゃなくてユーモアを狙った歌だというふうに思いました。
ユーモアっていうのはとても難しいんですね。
タネが分かっちゃうとしらけちゃいますのでその辺りここは非常に軽々と直接話法を入れて全部口語にして非常に軽く歌ってユーモアの味を出すと。
わりとこれテクニックのいるやり方なんですよね。
さりげなさが笑いを誘う。
すてきですね。
浅井さんいかがですか?こういうふうに聞いていくとね写真というのは日常の中の当たり前のものとして存在してるというのがよく分かるんですね。
写真をなくすと現代生活がもうないぐらい皆さんの中にあるなというのがこの歌特にそういう感じしますよね。
では次です。
どうですか?「写真」という題でね写真をむしろ相対化して絵の時代の方が長かったんだよというふうな言い方をしています。
これも先ほどと同じように批評的な視点を持っている歌だというふうに思います。
やっぱり現代短歌はねある叙情的なきれいなものをきれいに歌うとかそういうんじゃなくてある批評的な視点を持っている方が現代短歌としては骨格がしっかりした歌になると思います。
すごくよく分かります。
では次です。
これ本当は悲しい場面なんだと思うけど非常にサバサバと歌っているのですっきりしていますよね。
メソメソしてない。
言葉にできるからそうなんですねきっと。
僕はこういうわりとさっぱりした悲しい歌が一つの短歌の得意のジャンルだろうと思いますけれどね。
では次です。
これは今日選ばせて頂いた九首の中では非常に短歌っぽい短歌っていうんですかねちょっとクラシックな短歌の味わいを持っている作品だと思います。
写真家の観点からはどうでしょう?これを撮った人にとって褒め言葉が並んでるわけですからね。
風さえって風は見えないものなんですがそれを写しているというのを見届けている歌ですからねやっぱり写真が面白い理由の一つの中に見えないものも写るというところがあるのでそれをこれはよく表現していると思いますね。
はいありがとうございます。
では次です。
舌かみそうでした。
ちょっと「志士」が重なってて不思議な音楽を現出している歌ですけれどもこの歌のポイントはねやはり写真は基本に時代を写すものだろうという考え作者の考えが一首の中にきちっと出ている。
ですから全体の芯になる骨格のようなものがきちっとある歌だというふうに思います。
では次です。
家族の歌今回応募作の中にたくさんあったんですけどねその代表的なものとしてこれを選ばせて頂きました。
父が出てこないんですね。
なぜかと思ったら父が今写真を撮っているんだろうというふうに思いました。
そうすると男ばっかり親子4代がそろうわけですね。
長生きの方らしくて大変おめでたい一家でいらっしゃいますけどね。
それがちょっと楽しそうな感じで表現されていてちょっと何となくユーモアも感じますしいい歌ですね。
では次です。
最後は自由題。
外国の方も随分投稿して頂いたんですけれどもフランスの方の作品が一つ入選の中に入りました。
「クスクスの豆の匂いをかぐ猫」って非常にリアリティーがありますね。
やっぱり「クスクス」という料理の名前を出した。
ここのところが一首のポイントだったんだと思います。
また引っ越しの最初の晩というのはね片づかないし台所もあれなんで多分何か食べに行かれたんだろう思いますけどね。
そういう事も含めてとてもリアリティーのある歌だと思います。
ありがとうございました。
以上「入選九首」でした。
ここで特選発表の前にゲストの浅井さんと私の一席をご紹介します。
浅井さんの一席はどちらでしょうか?迷いました。
ここに落ち着きました。
写真の役割の中に目に見えないものがどのぐらい写ってるかっていうのが褒め言葉なんですね。
多分感心していい写真だなと思いながら書いた歌だろうと思うんですね。
「晩秋の風」っていうのがどんな風かというのが具体的になかなか言えませんけども見事な描写だと思います。
ではちょっと僭越ながら私の一首でございます。
やっぱり記憶って風化していくけれども写真って必ず残るわけじゃないですか。
その写真を過去のものとして楽しいのかうれしいのか分かりませんけれどもそれを「切り取って」というところがね「しまっておこうあの日の恋」というものがすごく言葉の中にいっぱいいろんな気持ちが詰まってるような気がして私はこれを選ばせて頂きました。
失礼致しました。
ではいよいよです。
佐佐木先生からの特選の発表です。
まずは第三席お願い致します。
小川莉奈さんの作品です。
私も好きでした。
では第二席お願い致します。
第二席は村田一広さんの作品にしました。
ではいよいよ第一席の発表です。
お願い致します。
迷ったんですけれども丸山勝也さんの作品を選ばせてもらいました。
たくさんの作品を今回拝見しましたけどねそういう中で昔の写真の撮り手の心を想像する撮り手のモチーフを想像するという作品はこれだけだったように思います。
先ほどこれも申し上げたけれどもやっぱり時代を撮ろうというその時代を撮ろうというカメラマンの心みたいなものを想像した。
これはいいですよね。
浅井さん写真家からの観点からはどうですか?やっぱり写されたものを見るのは普通の写真ですけれども写した人の事に思いがいくというのは写真家にとって冥利につきるというか…事もありますね。
やっぱりおっしゃってるように時代が結果として写る…結果として写ってしまうところも写真にはあるんですよね。
なるほど分かりました。
入選作品の紹介でした。
では今回入選とならなかった作品から惜しかった一首を添削して頂きます。
お願い致します。
こういう作品です。
多分僕は桜島だろうというふうに思って拝見しました。
この歌には「写真」という言葉が出てないんですけれども桜島が背景に写っている写真の事を歌っている歌だと思いました。
現に今写真を見ているわけですからここには過去形と完了形が使われていますけれどもそれを現在形になさるのがいいんではないか。
そこでこういうふうに直してみました。
「煙を上げる」でもいいんですけれども「煙を上ぐる島が座れり」こういうふうにしますとね煙を上げているのも島がそこにあるのも現在形ですので見ている写真の中が読者のイメージにもスッと来るという形になるんだろうと思います。
今回たくさんの作品の中で過去形完了形をちょっと誤って使っているのがあったのでちょっと気になりましたのでねそこを注意して頂くといいと思います。
難しいですけれど勉強になります。
ありがとうございます。
では投稿のご案内です。
投稿の詳細はこちら「NHK短歌」テキストにも記載されております。
今回の入選歌と佳作も是非テキストでご覧下さい。
続いては選者のお話です。
佐佐木幸綱さんの年間のテーマは「読み直し近代短歌史」今日は歌壇の構造改革落合直文のお話です。
これはね「写真」が出てくる短歌としては非常に古いものの一つだろうと思います。
まだカメラをあんまり見た事ない。
写真撮られた事のある人も少ないようなそんな時代の歌ですからね。
「雲雀の影」とありますけれどこれ雲雀の姿という意味ですね。
もし写したならば雲雀の姿がピタッと写るだろう。
そういう写真日和なんだ。
明るい空をという事で「写真日和」という言葉も珍しいですよね。
珍しい歌だと思います。
今日から古典の時代が終わって近代現代我々の時代の短歌が始まる。
その最初の頃のお話を何回かにわたって話させて頂こうと思ってます。
1回目は先ほど歌が出ました落合直文が明治25年に新しく出た「歌学」という雑誌があるんですけれどそこにねまず人間を変えないと人的な構成を変えないと歌壇は変わっていかないという意味の事を書いています。
短歌は今老人の持ち物貴族の持ち物になってしまっているように思う。
一般人若者がもっと作るようになるべきだというふうな事を言うんですね。
そして彼の元に集まってきた若い人たちを育ててその人たちを新しくできた雑誌の選者に据えます。
これが与謝野鉄幹とか尾上紫舟とかなんですけどその人たちの選者の所に中学生たちがね一生懸命投稿してくるんです。
まだ活字の珍しい時代ですから中学生が短歌作ってそれがとにかく活字になるというのを大喜びでみんな…例えば盛岡の中学生これが木ですけれど宮崎の中学生これが牧水ですけれどもそういう人たちがどんどん郵便もできてますから投稿する。
これが近代短歌の出発点始発点だと言っていいと僕は今思っています。
それが今につながるという事ですよね。
それからずっと現代までつながる。
古典の時代とは違う短歌が始まるんですねそこから。
分かりました。
ありがとうございました。
では続いてのコーナーではゲストの浅井愼平さんご紹介の短歌についてお話を伺いたいと思います。
こちらは今から28年前の作品である文芸誌に連載されたうちの一つだそうですね。
懐かしいですね。
随分時間たっちゃったんですねもうね。
当時はまだコラボレーションというものもあまりなかったし新しい事だったんですね。
ではその少し当時の事をご紹介したいと。
これ剣メモでございます。
俵さんは大学時代に佐佐木さんの講義に感動して佐佐木さんに憧れて短歌を始めたそうですが連載開始から1987年当時は歌人デビューしたばかりの24歳。
高校の先生だったそうですね。
俵さんと浅井さんの連載はすぐに話題となり連載中に俵万智さんの第一歌集「サラダ記念日」が発表されるとたちまちミリオンセラーとなり大ヒット。
そのあとの連載は「とれたての短歌です」「もうひとつの恋」というタイトルの2冊になったとの事です。
コラボレーションご苦労もあったと思いますけれども。
一番の苦労はわりと物理的な事でね原稿を入れなきゃいけないんですね。
出版だからね。
月間ですから間に合わないと大変なんですよ。
そうするとね僕の所に来た日にもう締め切りだったりするわけ。
慌てて最初の読者が僕なわけですよね。
読んで写真にしなきゃいけないでしょ。
時にはもう間に合わないんですよ。
そうすると事前に俵さんイメージしたりなんかしながらスナップショットしてるので探してみたりとかですねいろんな事しながら苦しいとは言いながら面白かったんですけどね。
恋の歌の印象というのはどうでしたでしょうか?その時僕は既にもう恋の年じゃなかったんで振り返りながら新しい恋をしかも女性の恋ですからね。
俵さんってわりと率直に書いてくるからストレートに入ってはくるんですよね。
それは気持ちはよかったんですよ。
学校の先生されていたので多分彼女の生活の範囲が狭かったと思うんですね。
電話機とかが出てくるやたらとね。
電話機を撮るわけにはいかないしイメージをどうやって飛ばすかというのがあって飛ばしすぎてもいけないわけですから試されてるようなところもありましたけどね。
今思うと楽しかったですね。
その撮ったものによってまたその歌が皆さんに違う感覚で見えてくるというところもありますもんね。
文庫本になって随分の方が買って下さったので随分いろんな方が見てらっしゃるわけですよね。
今でこそコラボレーションが当たり前になってきたんだけどそれの最初だったという事で欠点もあったかもしれないけどいい役割をさせて頂いたという気はしますね。
佐佐木先生俵さんにお伝えになった事はたくさんあると思うんですけれども。
彼女は内側に音楽を持っていてその音楽を聴く耳がある人なんですね。
短歌って基本的に言葉の音楽ですからそれをきちっと聴く能力があるというそういう事が才能だったんじゃないでしょうかね。
ではここで一つ読ませて頂きたいものがありますのでよろしいでしょうか?「浅井愼平様。
すっかりご無沙汰していますがお変わりありませんか?私は今石垣島で小学生の息子と元気に暮らしています。
先日こちらで出会った方が「とれたての短歌です」を大事に持っておられて少し黄ばんだ見返しにサインさせてもらいました。
今では珍しくない写真と短歌のコラボレーション。
その嚆矢が浅井さんと私の「とれたての短歌です」だったと自負しています。
雑誌での連載が始まったのは「サラダ記念日」を出版する前の事。
第一線で活躍されている浅井さんが無名の私の短歌を面白がって企画に乗って下さったと聞き舞い上がりました。
そのあと歌集が世に出ていく中でもみくちゃになっていた私にお電話を下った事覚えておられますか?『今のあなたにはぼんやりする時間が必要だと思う』千葉に別荘があるからいつでも使っていいよと。
実現はしませんでしたが一瞬心が軽くなるのを感じました。
大事な事を見失わないようにしようとも思いました。
随分遅いお礼になってしまいましたがあの時の励ましは今も心に残っています。
ありがとうございました。
俵万智。
『不機嫌の理由が見えない君のそば明るいだけがとりえの私』」。
という俵さんからのお手紙でした。
こんな仕掛けがこの番組にあると思わなかったですね。
隠すのドキドキしました。
僕を泣かせてどうするんですか?いかがですか?懐かしいですね。
月日というのはパッと昔の事になっちゃうしでも随分時間がたったという感じがありますしね。
お電話で使っていいよとおっしゃったんですか?それは言ったかもしれないですけどあの時ねほんとにそれは佐佐木さんもご存じだと思うんだけど短歌ってわりとそんなに注目されてるメディアじゃなかったんですね。
あっという間に…俵万智ブームが来るわけですよ。
僕ブームが嫌いなんですよ。
そこに彼女が引きずり込まれていたのでこれはちょっとまずいんじゃないかなというのがあった。
はやっちゃいけないんですよ僕らは。
難しい。
芸能とちょっと違いますからね。
そこのところでちょっと心配があったんで…。
佐佐木先生大事なものを失わないようにしたって今おっしゃってましたけど大事なものって何でしょうね?ブームの中にのみ込まれなかったですよね。
その時に自然体というのが一つキーワードになったんじゃないかな?まんまでいいという事だよね。
多分やっぱり浅井さんとかのそういうひと言で気持ちが軽くなったっておっしゃってるから…。
まあそれは一つのエピソードにすぎない。
多分いろんな事が彼女にあったと思うと想像はつくんですけどね。
その役割をちょっとだけした事がよかったなと今は思いますけど。
では本日はいろいろありがとうございました。
2015/04/07(火) 15:00〜15:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「写真」[字]

選者は佐佐木幸綱さん。ゲストは写真家の浅井愼平さん。「サラダ記念日」が発表された1987年、浅井さんは佐佐木門下の俵万智さんと写真と短歌のコラボを行ったという。

詳細情報
番組内容
選者は佐佐木幸綱さん。ゲストは写真家の浅井愼平さん。「サラダ記念日」が発表された1987年、浅井さんは佐佐木門下の俵万智さんと写真と短歌のコラボを行ったという。【司会】剣幸
出演者
【出演】佐佐木幸綱,【ゲスト】写真家…浅井愼平,【司会】剣幸

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:6213(0x1845)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: