ハートネットTV スタート・新セーフティーネット(1)生活困窮者をどう救う? 2015.04.07


おととしこの50代の男性は突然生活が立ち行かなくなりました。
きっかけは長年介護してきた母親の死。
母親の年金で暮らしていましたが亡くなったあと収入が途絶えました。
男性は重い持病があり仕事は見つからず生活は転げ落ちるように苦しくなりました。
リストラ病気介護。
誰にでも起こりうるさまざまな出来事によって私たちは貧困に追い込まれる事があります。
支えとなるセーフティーネットはこれまで生活保護だけでした。
そのため生活保護受給者は増え続け217万人を超えました。
そんな中国は対策に動き始めます。
生活困窮者自立支援法。
明日…生活保護に至る前に仕事や住まいなどの支援を通じて自立につなげていく新しいセーフティーネットです。
生活に困窮する人を支える新セーフティーネット。
3日間のシリーズで考えていきます。
こんばんは。
「ハートネットTV」です。
明日から新しいセーフティーネット生活困窮者自立支援制度が始まります。
この制度で一体社会がどう変わるのか。
シリーズ第1回の今日はその仕組みを詳しく見ていきます。
ゲストは俳優の金子貴俊さんです。
よろしくお願いします。
どうもよろしくお願いします。
私は何か貧困っていいますと何か発展途上国とかそういうイメージだったんですけどあっ今日本もそういうふうになりつつあるんだっていう驚きでいっぱいで。
…でその一方自分もなりうるかもしれない。
仕事を失ったり介護や病気。
これひと事じゃないなって思いますね。
…で新しいセーフティーネットというのはその生活保護に至る前に貧困に至る前に支えようというものなんですね。
その生活困窮者というのは一体どういう人をいうんでしょうか。
またなぜ生活困窮に陥ってしまうんでしょうか。
ある男性を取材しました。
川崎市の市営住宅に暮らす…酒井さんの生活が苦しくなったのはおととし。
長年介護してきた母親を亡くした事がきっかけでした。
重い持病があるため仕事ができず更に住む所も追われるという状況に追い詰められました。
誰にでも起こりうる出来事の積み重ねでした。
幼くして父親を亡くした酒井さん。
懸命に働き続けた母親のおかげで私立の高校に進学する事ができました。
大学入学後思わぬ事が起きます。
パニック障害の発作に襲われるようになったのです。
電車やバスに乗れなくなりやがて大学を中退せざるをえなくなりました。
それでもアルバイトで生活費を稼ぐ事にしました。
郵便物の仕分けや荷物の配送助手。
20年以上職場を転々としました。
そして40代のある日。
帰宅中に意識を失い病院へ運ばれます。
心筋梗塞でした。
学生時代から続く発作に加え心臓に大きな障害が残った酒井さん。
仕事を続ける事は難しくなってしまいました。
更に今度は母親が脳梗塞で倒れてしまいます。
酒井さんは身の回りの世話をするのは息子である自分の義務だと介護に専念する事を決めました。
収入は…家計はいつもギリギリで貯金の余裕はありませんでした。
買い物以外は外に出ず家に閉じ籠もるようになった酒井さん。
唯一の気晴らしはコンビニで買ってきた新聞を切り抜いてメモする事。
母親以外の人とほとんど話さない日々が何年も続きました。
そしておととしの暮れ。
10年に及ぶ介護の末に母親が亡くなりました。
すると年金が打ち切られ収入はなくなりました。
働こうとしても持病があり長い間離職していた酒井さんを雇ってくれる会社はありませんでした。
追い打ちをかけるように思わぬ通知が届きます。
母親と共に暮らしていた市営住宅についての知らせでした。
母親名義で借りていた住宅を息子の酒井さんがそのまま引き継ぐ事はできないと記されていたのです。
収入も仕事もなく住む所もなくなるかもしれない。
酒井さんは転げ落ちるように困窮状態に陥っていったのです。
いや〜これはもう本当次から次に問題が出てきてもう負の連鎖っていうんですか。
そうですね。
自分がそういう立場だったら…。
多分酒井さんはものすごく向き合って頑張ってきたと思うんですよ。
一生懸命ね。
…でそれでもじゃあどうしたらいいのって。
心にももうパワーなんてもう有り余ってるはずないと思うんですよ。
それでどうやって復活したらいいんだって。
また社会とのつながりもしばらくなかった訳じゃないですか。
そうですね。
これは何か心がもう痛いですね。
自分としては。
まさしくこういう人たちを支援しようというのが新しいセーフティーネットなんですが映像の男性のような生活困窮者の置かれている状況をこちらの模型で説明していきます。
まずはここは私たちが暮らす町です。
社会です。
いろんな人が住んでいます。
…でその人生の中でさまざまな出来事がきっかけで一気に生活が苦しくなる事もあるんですね。
例えば先ほどの映像の男性のような例ですね。
自分の病気や親の介護があって職を失う。
更には親が亡くなった事で年金収入が途絶えて生活が苦しくなってしまった。
更にほかにはこちらの若者はうつ状態になって失業してしまった。
こちら母子家庭です。
お母さんがDVを受けて離婚した事がきっかけで生活困窮に陥ってしまった。
このように一人一人に複数困り事課題がある。
これが複合的に絡み合って生活が苦しくなっているという事なんですよね。
病気からうつにもなりますしうつから病気にもなりえますし。
全部もうきれいにつながりやすいですもんね。
いろんな問題を抱えてるだけに自分の力ではこうどうしようもないもうどうにも解決できないっていう状況に陥ってしまってるんですよね。
でも本当にさまざまな理由の方がその生活困窮に陥る可能性があるっていうのがよく分かりますよね。
今VTRにもありましたようにやっぱりこう地域とか社会から孤立しがちでやっぱりいろんな支援の手が差し伸べられにくいやっぱり孤立してるっていう事で支援が届かないっていうのがやっぱり問題なんですよね。
やっぱり行政にもいろんな制度がありますよね。
障害者のための制度高齢者のための制度失業した方の制度ってあるんですけれどもそれはやっぱり対象とか基準がこうきちんと決まっていてそういう基準に合わない人ちょっとでも外れてしまうとそういう支援は受けられない。
制度の谷間に落ちてしまうっていう事なんですよね。
またこういう状態に陥った時にじゃあ頑張って前を向こうってもう自分は頑張ってるのにこれ以上もう頑張れないっていう人も多いと思うんですよ。
そうですね。
やっぱりつながりがある中で「よし頑張るぞ」という意欲も出てくると思うんですけどそれがないっていうのはやっぱり大きいと思いますね。
それもねじゃあ「それはあなたが悪いんだ。
自己責任だ」っていうふうにね言われてしまってますます孤立を深めてしまうという事もあると思うんですね。
…でまあこういう生活困窮になってしまった人たちをこれまで救う手だてというのはこの生活保護制度しかなかったんですね。
それが驚きですよね。
でもねこの生活保護制度を受けたくない人もしくは受けられない人もたくさんいた訳なんです。
更に言うとこちらのはしごを見て下さい。
生活を立て直そうと思ってもなかなかこれ距離が長いですよね。
立て直すのが非常に難しい場合が多いんです。
今の生活保護制度っていうのは入りにくく出にくい制度といわれてるんですね。
もうお金もほとんどもうない。
それからもちろん住まいもない。
いろんなつながりもない。
もうそういう本当にギリギリの状態にならないとこの制度を受けられない。
だけどもそういう状態になってしまってからこう制度を受けて「じゃあ今から自立して下さい。
さあ働いて下さい」と言われてもなかなかそこからこう上がっていくのは難しい。
これだけやっぱり長いはしごが必要になってくるっていう事なんですよね。
そこでやっと出てきました。
よいしょよいしょ。
出てきた。
この生活保護に至る前に支援しようというのが今回新しく出来るこの新しいセーフティーネット生活困窮者自立支援制度。
こういったセーフティーネットが出来る。
ほう〜!こういう言葉だけだと一体どういうものなのかなっていうのがちょっと分からないんですけど。
これねこれ出来る事によってどうですか?この距離。
もうだいぶ近くなりましたけどただこの距離っていうのはその人それぞれのまた気持ちにもよってねあるからこの模型だけでは測れないところはあると思うんですけど。
ただだいぶ近くなると思いますよ。
だいぶね。
生活には困ってるけどまだ手持ちのお金もあったり住まいもあったりまたいろんなつながりもあったりそういう状況であれば少しの支援をもらうだけで自立につながる再起につながるっていうつながりやすいってだからこそそこでの支援が必要だっていう事なんですね。
…でこの新しいセーフティーネットはこのように相談窓口を設けます。
自治体ごとに設けられるんですね。
実は今回のこの生活困窮者自立支援制度この法律でも生活困窮者という定義を実はしていないんです。
例えば年収がいくら以下とか収入がこのくらいとかって決めてしまうとそれに当てはまらない人が外れてしまいますよね。
なのであえて対象者を明確にしないで基本的にはこの相談に訪れた人たちは全部まずは受け止めて下さい。
その中から考えていきましょう。
そういう新しい制度なんですね。
そういう意味では本当これまでにない新しい挑戦とも言えますね。
じゃあまず何か悩みがあったら窓口に行ってみるっていうのがいいのかもしれないですね。
…で映像の男性はこの新しい制度のモデル事業試験的に事前に行った事業で自立へと向かっていきました。
一体どんな支援を受けたんでしょうか。
こちらをご覧下さい。
生活に行き詰まった酒井さんが地元の区役所を訪ねるとある窓口を紹介されます。
さまざまな課題を抱え生活に苦しむ人の支援を行う相談窓口です。
2年前新制度のモデル事業として川崎市が開設しました。
社会福祉士やキャリアカウンセラー弁護士など専門家が幅広い相談に応じています。
去年1月から支援を受けている酒井さん。
以来月に1度は近況を報告しています。
こんにちは。
こんにちは。
酒井さんの担当支援員は…でもいろんな苦労したかいがあってこの1年で…。
毎回同じ支援員が継続的に相談に応じる事で信頼関係を築いていきます。
特に今不安になるような事はないですか?最も適切な支援をするために重要なのが面接での聞き取りです。
今どんな暮らしをしているのか。
何に困っているのか。
一人一人に合わせた支援プランを作ります。
酒井さんの課題は2つ。
一つは…もう一つは…そこで支援員は住居を確保するために身体障害者手帳を取得するよう提案します。
市営住宅に住み続ける条件の一つには障害があるという事が含まれています。
心筋梗塞の後遺症がある酒井さんはその条件を満たす可能性がありました。
そして去年の5月。
酒井さんは医師の診断を受け身体障害者手帳を取得。
市営住宅に住み続けられる事になりました。
住宅が確保できると次の課題は就労です。
支援員は長年仕事をしていなかった酒井さんにまず職業訓練を提案。
そしてヘルパーの資格を取る事も勧めました。
母親の介護経験を生かせばより就職しやすくなると考えたのです。
そうした準備を経て酒井さんは介護施設のパート職員として就職する事ができました。
心臓への負担も考慮し勤務は短時間。
週休も3日です。
再発の不安があったパニック症状も今のところは出ていません。
長年失っていた人との触れ合いも取り戻し喜びを感じています。
就職を果たしたあともセンターの支援は終わりません。
酒井さんの仕事が定着し生活が落ち着くまでチームで情報共有をしながら見守り続けます。
働き始めて2か月。
母親の墓前に報告に行きました。
う〜ん…とてもすばらしい支援制度ですね。
何か僕のイメージだと何かそのお仕事探しに行きますっていった時に何か業務的にこなされちゃうんじゃないかみたいな不安もあったりするんですけどこうやって見てると本当に一人一人向き合ってまたねえすごい優しそうな担当の方がちゃんとその人に合ったものを探してきてくれる。
本当酒井さんが今まで介護してた事っていうのがもう全く無駄じゃなく生かされてますし何かまた専門の方じゃないと分からない事国の仕組み市の何かルールっていうんですかやっぱり自分じゃ分からない事っていっぱいあるなって思いましたね。
やっぱり専門家の方が担当が1人ずつもう決まってこの酒井さんにはこの方っていうのを決めてもうずっと寄り添って寄り添い続けて支援していく訳ですよね。
そうすると酒井さんも本当にいろいろな事もある訳です。
例えば就職に向けてこう訓練をしていた時に仲間の方と大げんかをしてしまった。
そこでもう酒井さんは「もうこれで駄目ですね」って落ち込んでいたら担当者の方が「よかったですね。
いろんな人の前で自分の気持ち出せるようになったじゃないですか」。
そういうふうに声をかけてくれる。
そしたら酒井さん「よしじゃあもうちょっと頑張ろう」っていう事でまた一歩を踏み出したって言われてましたけども。
そういう本当にこう1対1の関係性の信頼性の中での支援っていうのは本当に大きいと思いますね。
では改めて酒井さんがどのように自立に近づいていったのかこちらの模型で説明していきます。
生活困窮に陥った人たちというのは複数困り事があります。
これまではその困り事一つ一つに対して一つ一つの窓口に行かなければいけませんでした。
例えばハローワークに行ったりそれから市役所に行ったり。
この市役所でも縦割りな場合が多いですよね。
ですからその中でもいろんな窓口に行かなくてはいけない。
たらい回しに遭う事もある。
その中で「もういいよ。
支援はいいよ」と諦めてしまう人も結構多いんですね。
しかしこちら新しいセーフティーネットでは見て下さい。
相談窓口1つです。
ワンストップで支援する仕組みなんですね。
新しい制度ではこの福祉事務所のある900の自治体に相談窓口が設けられる事になっているんですね。
その窓口でどんな支援のメニューがあるのか。
こちらです。
大事なのはその人に合わせてこのメニューを組み合わせてプランを作るというものなんですね。
このように人それぞれこれ今はしごで例えていますが。
自立への支援プランを作るというものなんです。
…で例えばこの映像の男性酒井さんの場合はまずは住まいを確保しました。
…でそのあとに職業訓練をしました。
そして就労支援につながっていった。
一段一段上がっていって就職をした。
自立につながっていったという事なんですね。
…でほかにも例えば若者はといいますと例えば債務整理とそれから就労支援を組み合わせて自立につながっていったとか。
そしてこちらの母子家庭。
子どもの学習支援などなどをして一段一段上がっていって自立につながっていったという事なんですね。
また母子家庭の方は子どもを育てながら就職するっていうのもなかなか厳しいところもありますしそういうのありますもんね問題は。
それをね1つの相談窓口で受け付けて支援していこうと。
複合的な課題を一つ一つ取り除いて最終的には仕事に就いて社会に戻っていく。
この自立までの道のりをサポートするのがこの新しいセーフティーネットなんですね。
このだいJOBセンターではこの1年間に就労支援をした方のうち7割近い方が実際に仕事に就けてるんですね。
一方で生活保護を受けてる方への就労支援っていうのも行っているんですけどもそちらで就労仕事につながって自立できたという方は1割に満たない。
なのでそこに至る前の段階での支援っていうのが有効だなとやっぱりいわれてるんですね。
この新制度が始まる事によってやはり生活保護を受ける方っていうのが減っていくんですかね?そうですね。
長い目で見れば減っていくと思われます。
ただだからといって今本当にその保護が必要な人まで水際作戦でもう受けられないようにしようという事があってはならないと思うんですね。
本当にもう今手持ちのお金もなくて住まいもなくてギリギリの生活をしてどうしようもないという方は必ず生活保護にきちんとつないでいく。
…でそうではないまだ今自立して頑張っていけそうな方については支援していくっていう事だと思いますね。
本当に支援メニューがこんなにたくさんあって魅力的なんですけど本当にこんなにうまくいくのかなっていう疑問もあるんですが。
そうですね。
実は今回の制度ではこうした相談窓口ワンストップの相談窓口を作るっていう事は義務づけられてるんですけどもその先の支援のメニューについてはこれはもう自治体任せ。
自治体でどんどん開拓して作っていって下さいよという制度なんですね。
まあある意味その土地土地に合った支援メニューが作られるっていう…。
ですからやる気満々でどんどん頑張る所とそうでない所もしかしたら格差が広がっていくかもしれません。
そうならないように本当に今から新しい制度をうまくどう生かしていくか。
そこをいろんな自治体が自治体だけじゃなくて地域のみんなで考えていくこの制度を生かしていくっていう事が大事だと思いますね。
そもそも何か生活困窮者の方が窓口に行けるのかなっていう何かこう不安もある訳ですよ。
何か恥ずかしいとかやっぱり行きづらいと思うんですよね。
行っても何か大して何か結果出ないんじゃないかとか。
今までねそういう苦しさもあった訳じゃないですか。
受け付けてくれなかったというそういう思いもあるかもしれません。
この新しいセーフティーネットには課題もいくつかありえますので明日その辺りを見ていきたいと思います。
今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。

(テーマ音楽)2015/04/07(火) 13:05〜13:35
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ハートネットTV スタート・新セーフティーネット(1)生活困窮者をどう救う?[字][再]

シリーズ「スタート・新セーフティーネット」。4月1日から始まる生活困窮者自立支援制度に焦点を当てる。第1回は困窮の実態や新たな制度のポイントを分かりやすく伝える

詳細情報
番組内容
3回のシリーズで伝える「スタート・新セーフティーネット」。生活保護受給者数が216万人を超えた日本。こうしたなか国は4月1日から生活困窮者自立支援制度をスタートさせる。複合的な問題を抱え、これまでの制度では救えなかった困窮者を、生活保護に至る前に支援し、自立につなげようという仕組みだ。第一回は、どのような困窮者が対象なのか、そして、この制度のポイントは何かを、分かりやすく伝える。
出演者
【ゲスト】金子貴俊,【解説】解説委員…後藤千恵,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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