朝9時都内のマンションに一台の車がやって来ました。
(櫻庭)おはようございます。
よろしくお願いします。
これからとあるものをデリバリーしようというんですけど…おお〜結構な荷物ですね。
あっあれがヒントですよ。
あれ見た事ありますよね?2人がかりでマンションの一室に運び込み準備開始です。
今回の主人公…お仕事は何かと言うと…。
もうお分かりですよね?ここは月に一度現れる出張美容室。
たった15分で…おお〜応接室が美容室に早変わりしました。
机の上のちょっとした小物や音楽香りにまで気を配った…やって来たのは車椅子の女性。
実はここお年寄りなど外出が難しい人のための美容室です。
こちらの女性はカットとカラーリングを頼みました。
出張とはいえパーマやカラーリングヘッドスパなど大抵の注文には応えます。
櫻庭さん以前は東京・青山にある一流美容室でスタイリストを務めていた腕前の持ち主です。
ねっ変わった感じでしょ?美容室に行けない人のために福祉施設や病院などに出張する…櫻庭さんは3年前仲間と2人で起業しました。
同い年で代表を務める湯浅一也さん。
原宿の有名店で若手スタイリスト売り上げ1位を誇った腕利きです。
(湯浅)ショート似合ってますからね。
あっそうですか?そうですかね?お顔がちっちゃいと何でも似合っちゃうから。
いえいえ。
1年前から加わったのが…櫻庭さんが以前いた美容室の後輩です。
寝たきりのお客さんにも本人の意思を確認しながらカットをします。
髪を切っている間もう一人が頭と体を支えながらお客さんの様子に気を配ります。
いくつになっても自分らしくいたい。
そんな要望に応えるサービスが評判です。
この日は朝の9時から仕事を始め夕方の4時半には店じまいとなりました。
今日はえ〜お二人キャンセルが出て1人追加になったので30人ぴったりですね。
チームワークで終わらせた一日でした。
仕事を終えると都内の自宅に直行。
毎日夜の6時前には帰宅します。
かつて芸能人やモデルも通う青山の人気サロンにいた櫻庭さん。
当時のお店の終了時間は22時。
帰宅が深夜になる事も珍しくありませんでした。
ファッション好きだった櫻庭さんは二十歳の時流行の先端をつくる現場に憧れ青山の人気サロンに就職。
スタイリストを目指しました。
美容室での仕事はもちろんファッション誌の撮影に同行したり夜遅くまで練習で残ったり追われるように多忙な日々を送りました。
無我夢中の4年間の下積みを経て同期トップでスタイリストに。
しかし突然美容室を辞めてしまいます。
将来への不安がふと芽生えたのです。
子どもが小学校とかあがった時に…落ち着いた時間が欲しい。
でも美容師は続けたい。
いくつかの美容室を渡りながら出会ったのが湯浅さんです。
彼もまた昼食をとる暇もない忙しさを体験していました。
もともとお年寄り向けの訪問美容に興味を持っていた湯浅さん。
一緒にやる仲間を探していたところでした。
2人で今までにないサービスを作ろう。
出会って2か月で起業。
事業はなかなか軌道に乗りませんでした。
しかし2人にはある考えがありました。
当時の訪問美容業界の主流は…その中で2人は青山や原宿で培った技術を売りにそれぞれのお客さんの希望をかなえる事を第一に考えました。
ああ…。
かっこいいじゃないすか。
ハハハハハ!カットとカラーシャンプーで6,500円。
訪問美容としては割高ですがお客さんの多くはリピートしていきました。
ありがとうございました。
いつもありがとうございます。
2か月後お願いします。
はいまたお待ちしてます。
サロンのスタイリストとして働いていた頃よりも少し増えました。
スポーツジムに1万円。
今ジムにはまっています。
仕事は朝9時から夕方の5時まで。
土日は完全に休み。
櫻庭さんの希望どおりの生活です。
この日はかつて同じ美容室で働いていた仲間との飲み会です。
櫻庭さんの腕前を認めていただけに大胆な転身に驚きました。
今何?どうなの?月曜日から金曜日まで何時から何時まで?大体アベレージでいうと8時に出発して5時半には家にいますね。
マジで?すごいね。
…でジム行って8時には帰ってきてお風呂も入ってる状態ですね。
完璧ですね。
へえ〜。
萩原さんは青山のサロンでリーダーを務めています。
2か月先まで週末の予約はいっぱい。
今も多忙な日々です。
俺もそうやってなると応援したいと思うしさ。
そうっすよね。
一番応援してくれてますもんね。
何て言うんですかね…
(萩原)それは櫻庭が言われたの?そうなんですよ。
(萩原)なるほどね。
そうなんですよ。
流行の先端を作る事に憧れていた気持ち。
それはもういいのかな?今別にそれをやりたいかっつったら…週末に休みが取れるようになった櫻庭さん。
1人暮らしをする母親に会いにいつでも好きな時に実家に帰れるようになりました。
前は帰ってこれなかったので…。
ねえ本当に大変な仕事ですよね今はね何でもね。
櫻庭さんは小学校5年生の時に父親を病気で亡くしました。
父親代わりとなってかわいがってくれたのが母方のおじいさんです。
美容師になって初めて手にしたハサミもおじいさんが買ってくれました。
今も大切に使っています。
1本…櫻庭さんが訪問美容への思いを深めたきっかけもおじいさんでした。
なじみの床屋で常に身ぎれいにしていたおじいさん。
その髪をある時櫻庭さんが切る事になったのです。
「あいいよいいよ」って言って「切ってあげる」って言って…。
体が思うように動かない中以前と同じように身ぎれいにできる喜び。
亡くなるまでの半年間櫻庭さんは毎月通い続けました。
よろしくお願いします。
この日の仕事場は特別養護老人ホーム。
認知症などで独りで生活するのが難しくなった人が暮らしています。
中村さんは美容室いっつも…。
そうですよね。
なるほど。
若い頃から職業婦人として活躍していた中村さん。
身だしなみが整うと気分もシャキッと整うそうです。
はい終わりました。
ありがとうございました。
どうもお世話さまでした。
すっきりといいですね。
ありがとうございました。
櫻庭さんたちがやって来るのは月に一度。
おしゃれな自分を楽しめるこの日を皆さん心待ちにしています。
おいくつになられたんですか?90過ぎたよ。
本当ですか?見えないですね。
そんな事ないよ。
会話を楽しみながら希望どおりの髪形に整えてもらう。
鏡に向かっているこの時はいくつになっても主役になれる時間です。
どうもありがとうね。
とんでもないです。
こちらこそありがとうございます。
どうもありがとうね。
あ〜いえいえ。
本当に涙出ちゃってるじゃないですか。
申し訳ない。
はいロック外して。
どうもねありがとうね。
どうもありがとう。
芸能人みたくなっちゃった。
うれしい〜。
ニコニコだ。
櫻庭さん。
おばあちゃん本当に喜んでいましたね。
櫻庭さんたちの訪問美容に興味を持ち会いたいという人が現れました。
ありがとうございます。
お待ちしておりました。
どうぞ。
東京・六本木で6年前若くして美容室を開店させた…よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
榎戸さんの周りでは経営難でたくさんの店が消えています。
その中で生き残るため新たな可能性を探しています。
ちょっと前から訪問美容興味がありまして…ちょっとお話を伺いたくなりまして。
よろしくお願いします。
お願いします。
僕らもまだ3年ぐらいしかやってないんで。
榎戸さんはお客さんが来る時間と美容師が働きたい時間がうまく合わない事が悩みです。
訪問美容なら今まで働きにくかった人も活躍の場が作れるかもしれません。
櫻庭さんが選んだ美容師としてのやりがい。
少しずつ分かってもらえるようになってきましたね。
そんな櫻庭さんに最後に質問です。
どうもありがとうございます。
ありがとうございました。
失礼しま〜す。
いや〜いい仕事した。
そうですね。
2015/04/06(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「訪問美容師」[字]
主人公は美容師の櫻庭太さん・28歳。高齢や病気で外出が難しい人のため出張して髪を切る“訪問美容師”だ。青山の有名サロンで働いていた彼がこの仕事を始めた理由とは?
詳細情報
番組内容
主人公は美容師の櫻庭太さん・28歳。高齢や病気で外出が難しい人のために出張して髪を切る“訪問美容師”。櫻庭さんたちは、施設や個人宅でもサロンのような癒やしの時間を提供したいとアロマやBGMにまでこだわったサービスをしている。もともと青山の有名サロンで働いていた櫻庭さんはワークライフバランスを大事にしたいと今の仕事を始めた。だが流行の最先端の現場の楽しさもわかっている。彼が目指す理想の美容師像とは?
出演者
【語り】松坂桃李
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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