(テーマ音楽)頼朝頼家実朝…う〜んなかなか頭に入んないなこれ。
どうしたんですか?急に歴史の本なんて。
妻に鎌倉に行こうって誘われたんですよ。
それでちょっといいところ見せようと思いましてね鎌倉の歴史を勉強し始めたんですけどね歴史が苦手でね。
何だって急に鎌倉なの?今の時期なら花を見に行きたいんじゃないですか?花?春。
古都・鎌倉が華やかに色づく季節です。
鶴岡八幡宮へ続く参道は両脇を300本の桜がアーチのように飾ります。
降り注ぐ花吹雪。
境内にある源氏池の桜です。
満開を迎えていました。
ここでは是非水面にご注目下さい。
池の上にも桜。
水面にも桜です。
鎌倉に生まれ育った…きれいだねぇ。
春の鎌倉が大好きだと言います。
冬から春になるとワッといろんな色がこうパレットにいろんな色が出されたみたいに一気に色づくっていう。
4月歴史の町はまさに花の町となるのです。
寺の落ち着いたたたずまいの中で味わうかれんな花。
今日は武士が築いた町が見せるもう一つの顔花の鎌倉を訪ねましょう。
鎌倉の禅寺といえばこちら建長寺。
日本初の本格的な禅宗専門道場で知られます。
樹齢750年とも言われる古木が迎えます。
威風堂々たる仏殿。
境内は華美な色を排した厳粛な空気に満たされています。
(鐘の音)この建長寺が一年に一度見せる華やかな姿があります。
4月8日釈迦の誕生を祝う降誕会いわゆる花祭りと呼ばれる日です。
僧たちの前には生まれたばかりの釈迦の像を祭った花御堂が置かれています。
桜の花を屋根いっぱいに飾った花御堂が表すのは生誕の地・ルンビニ園の花園です。
(読経)釈迦が誕生した時天から甘い露の雨が降り注いだという言い伝えから仏像に…桜の下甘茶を浴びて幸せそうなお姿。
お釈迦様にこんなに近くで接するのもまた格別です。
思いもよらない鎌倉に巡り合うことができました。
更にこの日草花に日頃の恵みを感謝する花供養も行われます。
参列者がお供えした花があふれかえり厳しい修行の場である禅寺の表情を一変させます。
華道家として法要に参列した住千佳さん。
禅宗のお寺さんというのは非常に堅いイメージだと思うんですね。
厳しく堅いというそういうふうな私どもは印象を持ちますけどもこのようにお花を飾る事によって少し柔らかいというか身近なお寺様というふうなイメージになるのではないかと思っています。
花があふれかえる寺で人々は幸福感に包まれます。
今日最初の壺は…鎌倉が発祥となった禅の抹茶を味わいに行きましょう。
「茶禅一味」と言うように茶道と禅は切っても切れないもの。
本堂の横にある茶室は「茶礼」と言ってかつて僧が修業の合間に茶を頂いた場所です。
座敷に座って眺めるのは枯山水の庭園。
装飾を排した「わびさび」の世界です。
静謐な空間に一点の華やぎが茶花。
木瓜のつぼみと福寿草。
どちらも境内に咲いたものを朝摘んできました。
ここで茶を楽しむのが好きだという角田元さん。
ふだん見慣れた花なんですがちょっと違って見えてきてとても新鮮な感じを受けますね。
こんな小さな花が精いっぱい春のおもてなしをしている感じで茶室らしいなというふうに思います。
頂く茶菓子も境内の花をかたどったもの。
こちら福寿草。
黒い土を割って咲くんですね。
着物の袖に描かれたのは桜。
すてきですね。
これから見頃を迎える牡丹なども並びます。
禅寺でまた春に会いました。
もう一つ雨の禅寺もあります。
源氏山の麓にひっそり建つ海蔵寺です。
鎌倉では桜と並んで春の花として親しまれる海棠。
雨の中でみずみずしく映えます。
かやぶき屋根もすてきですね。
鎌倉の花の写真を撮り続けている写真家の原田寛さん。
特にね今日雨降ってますけど海棠に関しては絶好の雨が降ったと僕なんかは逆に思うんですね。
下向きについてるつぼみがですね何かちょっとサクランボみたいっていうかね。
雨の中で見ると本当にみずみずしくてしっとりしてて一番美しいように思ってます。
「海棠の雨に濡れたる風情」と言われるように美しい女性が雨に濡れてうちしおれているかれんな様子。
凛とした禅寺の庭で悲しげな美女に出会ったような幻想的な美しさです。
エンジュ…オイランソウ…オウゴンヤグルマソウ。
早速花の勉強を始めたんですね。
うん?いやそれがね僕花の名前全然知らなくて。
「もう!あなたと一緒に行ってもしょうがないわ」って妻がね。
あらら手厳しい。
人生山あり谷ありですなぁ。
山に囲まれた鎌倉の地形に注目しましょう。
明月院は鶴田真由さんお薦めの寺です。
本堂までは細い石段が続き両脇に植栽が施されています。
春は5本の枝垂桜が薄桃色の世界をつくり出します。
明月院というと紫陽花が咲き乱れてねみんなが紫陽花を見に来るイメージがすごく強いんですけど本当に花が咲き乱れて春らんまんという感じでこの階段がこの花の中を通っていく階段がまるで天国に誘われていくようなそんな印象がありますけど。
本堂へ向かう花の道。
この景観をつくり出しているのは鎌倉独特の地形です。
複雑に入り組んだ尾根。
明月院をはじめ鎌倉の寺の多くはこの尾根と尾根の谷間に造られました。
そのため寺の境内は奥に細長い形をしています。
本堂に至るまでの道のりを華やかに盛り立てようとさまざまな花が植えられました。
いろいろ咲いてますね。
わあ!雪柳立派だ。
枝垂桜に見とれていると真っ白な雪柳に出会います。
桜の枝の下に眺める春の雪といった風情でしょうか。
いろんな所に花が咲いててそれぞれの花に表情があって違うまた発見があるというかねそれがすごく楽しいですね。
まるで天へ誘われていくように本堂へと導いてくれる鎌倉ならではの仕掛け。
今日二つ目の壺は…鎌倉の寺のもう一つの醍醐味。
それは間近に迫った山です。
本堂のすぐ脇にまで崖が迫っていてそこには壁面に穴をくりぬいて作った「やぐら」があります。
鎌倉時代から作られた武士などの墓です。
少ない平地に墓を作ることは禁じられていたため崖に穴を掘って墓を作りました。
野趣あふれる眺めです。
全国の寺を回っている吉田さらささん。
鎌倉のお寺では山がすぐ近くまで来ててそれで自然のまま植物がダーッとお寺の境内までなだれ込んでいるかのように見えるんですね。
山が近いということによって自然と一体となったお花が楽しめるということですよね。
海蔵寺のやぐらの前に植えられているのは野山で多く見られる山吹です。
草や苔に覆われたやぐら。
山の中に入り込んでお地蔵様に遭遇したかのような景色です。
もう一つ鎌倉の山を利用した名庭園の花をご覧頂きましょう。
瑞泉寺の奥に広がる庭は造園家として名を馳せた夢窓疎石によるもの。
岩肌が露出したちょっと不思議な感じのする風景です。
静まりかえった池のほとりに1本枝垂桜がたたずんでいます。
独創的な庭を背景に枝垂桜もまた一味違った魅力を放っているように感じませんか?見る者を別の世界へと誘ってくれる鎌倉の寺です。
う〜ん…う〜ん…花はねぇ…。
今度は何を悩んでるんですか?これねカモミールって言うらしいんだけどね妻がくれました。
よかったじゃないですか。
よくないですよ!妻がね…。
「もう!これを見て少しは花をめでる気持ちを養って下さい」とか言われちゃいました?そうなんですよ。
「もう!男ってどうして…」。
「花を見る気持ちが薄いのかしら」。
よく分かりますね。
女ですもの。
最後は女性たちの物語です。
鎌倉は実は徳川将軍家ゆかりの地です。
鎌倉唯一の尼寺英勝寺もその一つ。
仏殿の天井には徳川家の葵のご紋があしらわれています。
この寺は水戸家の姫君が代々住職を務めていました。
通常竜が描かれている壁面には優雅な鳳凰。
女性らしさを表すといいます。
境内には桜が植えられています。
鎌倉の花を研究して50年の大貫昭彦さん。
控えめな咲きぶりがこの桜の魅力だと言います。
(大貫)その風情がね華やかでないだけに逆に奥ゆかしくていいかなという気がいたします。
何となく寂しげな感じがあってそういう尼寺の雰囲気にはよく合う桜かなと思います。
そんなことが長くこのお寺で守られてきた理由じゃないかと思いますけど。
汚れなき花びらのどこか悲しげな風情。
尼として生きた姫たちを思わせる姿です。
今日最後の壺は…北鎌倉にある東慶寺。
この寺も明治35年までは尼寺でした。
かつてこの寺に咲く花が悲劇の女性・千姫の心を癒やしたと伝えられています。
徳川と豊臣その政権争いの最後に時代に翻弄された千姫。
徳川の姫として豊臣秀頼に嫁いだものの祖父・家康によって夫は自害に追い込まれてしまいました。
追い打ちをかけるように悲劇が襲います。
再婚した夫や息子が若くして病死してしまうのです。
悲しみにくれる千姫の元に東慶寺から花2輪が届けられます。
何の花であったのかは記録がなく分かりませんが寺の庭に咲いた花を摘んで贈ったものでした。
贈り主は20代目の住職天秀尼だと言われています。
千姫にとっては義理の娘からでした。
千姫と天秀尼についての著書もある三池純正さん。
花に込められた思いに注目しています。
(三池)冬が春になるように花というのはいくつかの風雪を乗り越えないと美しい花は咲かないわけですね。
(三池)「私も懸命に生きなきゃいけない」というそういう思いにとらわれたんだと思うんですけども。
当時千姫の侍女が東慶寺へ出した手紙が残っています。
花をもらったことへのお礼状です。
「寺の庭に咲いたものとのことで見事な二いろの花を頂きました」。
「千姫様は大変ごまんぞくの様子でしげしげと眺めていらっしゃいます」。
風雪に耐えた千姫は齢七十まで長生きし終生この天秀尼の優しさを忘れなかったと伝えられます。
…という気がします。
それを受け取った側の千姫も天秀尼の心がそのまま込められている花だったからこそどんなきれいな花よりもうれしかったんじゃないでしょうか。
今でも境内のあちこちをつつましやかな花が飾ります。
それぞれの花に込められた物語があります。
皆さんも鎌倉の寺を訪ねて何気ない花を見つめ直してみてはいかがですか?草刈さん。
「もう!まだ分からないの?花には思いが託されてるのよ!」ね?あっそういうことか!あったあった。
カモミールの花言葉は…。
「苦難に耐える」。
これは…妻が僕に与えた試練だったのか。
・あなた〜!もう鎌倉に出かけるわよ。
え?連れてってくれるの?そうだよね!僕にも春が来たんだねぇ。
やっぱり春はいいね!苦難に耐え抜いたってことですよ草刈さん。
春といえばサクラ。
サクラといえば皆さんおなじみソメイヨシノですよね。
2015/04/05(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「鎌倉・花の寺めぐり」[字]
身近なテーマを中心に、美術鑑賞を3つのツボでわかりやすく指南する新感覚美術番組。今回は「鎌倉・花の寺めぐり」。案内役:草刈正雄 語り:木村多江 ゲスト:鶴田真由
詳細情報
番組内容
鎌倉は今、絶好の行楽シーズン! 色とりどりの花であふれる寺社は、実は花の名所でもあります。厳粛な禅寺・建長寺が全く別の表情を見せる、春の祭りとは? 雨の日に観賞すべき美しき鎌倉の名花とは? 鎌倉出身の鶴田真由さんお気に入りの寺は? 戦国武将の姫君が花の美しさをつづった尼寺のドラマとは? 枯山水の庭を見ながら美しい和菓子をも楽しめる寺とは? 歴史の町・鎌倉で、ひと味違う花の寺散歩を満喫します。
出演者
【ゲスト】鶴田真由,【出演】草刈正雄,【語り】木村多江
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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