暦の上ではとっくに春だというのにここではまだ花びらの代わりに雪が舞う。
京都市の北東三方を山に囲まれた大原。
近づいては遠のく春の足音。
気まぐれな自然とつきあいながら人は季節に敏感になっていく。
イギリスから大原へ。
この古民家に移り住んで13年。
自然と寄り添う手づくりの暮らし。
ベニシアさんは長い冬の最後の名残を楽しんでいた。
でも何かストーブが無いと寂しいのもあるのね。
何かテレビの代わりにぼ〜っとして。
今日みたいな日。
一番リラックスする時間は例えばここ座って本読んであの〜その火を見て何か紅茶飲んで。
すごいぜいたくの時間ぜいたくな遊びっていうか。
ストーブに載せた土鍋にはハーブの一種ローズマリーが入れてあった。
おかげでほんのり部屋中早春の草の香り。
ベニシアさんは英会話学校の校長先生。
そして4人の子供のお母さん。
3人は既に独立して今残っているのは末っ子の悠仁くん。
お父さんは?お父さんまだ寝てる。
この4月晴れて高校生となる悠仁くん。
ここに越してきた時はまだ2歳。
自然の中で思いっきり遊びたくましく育ってほしい。
それが大原を選んだ理由の1つだった。
大原に来てベニシアさんは子供のころからの夢をかなえた。
それは自分の庭を持ち思う存分庭造りを楽しむ事。
ベニシアさんの手を借りて古民家の庭和の空間がどこにもない表情に変わった。
スイセンはイギリス思い出す。
ちっちゃい時大体田舎にいろんな所ですけど住んでたから林とか森もあったし。
散歩する場所は森の中入ったら日本と違ってあの〜下がいっぱいスイセンが咲いてるんですよ。
…でそれがちょうど春。
だから春が来たのはイギリス人にとってスイセンね。
だから日本人は桜を待ってますけど私はスイセンいつも待ってて。
きれいですから毎年毎年増やしてるんです。
だからもう一番はスイセンガーデンで次はチューリップが出てくるのが次の楽しみ。
四季折々変化する庭。
庭造りは自然との共同作業。
だから本当の意味で日本を知り根を下ろす事ができた。
ベニシアさんは言う。
そんな日々をつづったエッセイが今多くの共感を得る。
100年以上も前に建てられた古い農家。
ベニシアさんはこの家に一目ぼれした。
初めて見た時家は荒れ果てていた。
それでも手を入れれば必ず良くなる。
確信があったという。
絶対あの〜小さい時から農家の家住みたかったのね。
イギリスは農家の家は「コテージ」って言うんですけど。
まあこの家より大体少し小さい。
そういう家をあったかい雰囲気で家族と一緒に…自分の家族と一緒に住みたいと。
…でまず何ていうの?マンションとかコンクリートみたいな建物全然あの〜私は落ち着かない。
何か匂いが…何か違うのね。
それでサッシで閉めちゃうと外の空気が入らないのね。
ここ逆に隙間風があるからうれしいんですよ。
いい空気が入るから。
ベニシアさんが気に入った古い家を現実の暮らしの舞台に変えたのは夫の正さん。
山岳写真家の正さんがこの家の改修の立て役者だ。
何年もほったらかしだった家は廃虚同然。
新築以上の大工事が必要だった。
ベニシアさんが心引かれた昔ながらの日本のたたずまい。
その味わいをできるだけ残しながら家族の暮らしに合わせて使いやすくする。
自分たちの手で自分たちの形をつくる。
家族総出のリフォームは家にたくさんの思い出を刻んだ。
仕事が入ると彼あの〜写真家だからもう全然できないから。
だから例えばある日帰ってきて悠仁の部屋2階もう全部の壁が無いんですよ。
外が丸見え。
10月。
風と雨がわ〜っと入ってきて。
何か「はっ!」っていう感じで。
「どうしたの?」って「今から窓作る」って言ってね「あ〜そうですか」って言って。
問題の悠仁くんの部屋の窓。
今では古い家にしっくりなじんでいる。
中はこんな感じ。
棚やベッドも父親正さんの指導のもと悠仁くんが自分で作った。
その〜僕の部屋が暗かったんで窓を作ろうと思って壁をぶち抜いたんですよ。
その時が面白かったです。
そろっとぶち抜くんじゃなくてバールとかでボンボンボンってしばき倒すという感じで。
半分遊びみたいだったよね。
うん。
大工さんに建ててもらって新品だったら触ったらもったいないような気もすると思うんだけど。
何か触るとこだらけなんですよね。
「ここをもうちょっとこうしたい」とか。
壊れてるとこいっぱいあるし。
だから触る事に関しては全然気兼ねなく触れるし。
でまた何かぼろいところもそのちょっとぼろい所がいいみたいな。
今も古い家で遊ぶ親子。
手を加える所を見つけては作業を楽しんでいる。
この日は裏庭のレンガの補修。
そもそもこの家の台所にあった100年もののレンガだ。
大胆に刻みを入れているのはつるつるにすり減った表面に滑り止めを作るため。
こういう工夫が手作りの面白さだ。
ちょっと待って。
滑らんかどうか試してみて。
効果を試してみて。
効果ある?あっ。
あ〜でもちょっと滑らん?ちょっとか。
前よりマシやろ。
うん。
「暮らしを手づくりする。
そのプロセスを楽しむ。
それだけで生活という日常がレジャーに変わる」と言うのがベニシアさん。
家を囲むおよそ40坪の庭。
土を入れ替える事から始めてなんとか形になるまで6年かかった。
大変だけどやりがいがあった。
庭造りに終わりは無い。
季節ごと欠かせない仕事がいつもベニシアさんを待っている。
「どんなに忙しくても庭仕事をすると落ち着く」。
ベニシアさんは言う。
お彼岸を越えて昼の時間が長くなったのを合図に今日は初夏に咲く花の苗を花壇に植える。
でもまあちょっとだけ土を…。
ベニシアさんは庭中の土に自家製の堆肥を混ぜて栄養補給をしてあった。
冬になる前に一度そして春になる前にもう一度。
いっぱい食べて大きく育て。
苗の成長を丹精込めて作った土に託す。
ここボリジ。
ボリジはラテン語の「ボラゴ」と言うんですけど勇気が出るらしいのねこれ。
ボリジはあんまりお茶はたまにしか使わない。
大体サラダに入れるのね。
食べる。
新しく苗を植えたら必ず名札を付ける。
これがベニシアさんのこだわり。
まあいつも名前書くんですけど。
こういう名前があったら…。
もしこれが無かったらこれ見たら「あれ?何だっけ?」って思うかもしれない。
ここグレープフルーツミントがあるんですけど「グレープフルーツミントがどこにあるのかな?」と。
まだ出てないみたいね。
もうちょっと。
この辺に出てくるからだから間違ったら上にもう1つ植えないようにも名前書くのがいい。
人間と植物を結び付ける名前。
植物の名前それ自体にもベニシアさんは引かれている。
例えば小さくかれんな花を咲かせる「ワスレナグサ」。
「私を忘れないで」花が言い「忘れないよ」人が答える。
そんな心の絆を名前が伝える。
他にも「カエルの手」がなまって「カエデ」。
猫の尻尾に似ているから「キャットテール」。
世界中ニックネームのようなかわいい名前がたくさん見つかる。
それは昔の人たちが植物とまるで家族や友達のように暮らしていたから。
そんなふうでありたい。
ベニシアさんは思う。
大原に根を下ろして13年。
すっかり増えたベニシアさんのハーブ。
今では庭に収まりきらず家の向かいに畑を借りて育てるまでになっている。
今収穫しているのはスペアミント。
冬の間も元気に茂り早春大活躍するハーブだ。
今日はこれから親しい友人がおしゃべりに集まる。
そんな時にはハーブティーでもてなすのがベニシア流。
あの〜まずちょっと2人分しようと思ってるから。
大体1人分15グラムだから2人分だったら30ぐらい。
だんだん慣れたら別に量らなくても大体分かりますけどまあ今日は…。
まあ簡単ですから。
ただこういう…こういうポットがフレッシュの場合はこういうポットが一番やりやすい。
大きいから。
お湯入れて…。
2人分このぐらいかな?はい。
…でふたして。
これまあ10分ぐらい置いといたらすごいきれいな色のハーブティー出来ます。
爽やかな色と香りが魅力。
消化を助ける働きもあるという。
生のハーブだけでなく乾燥させたドライハーブも使う。
あの〜冬の間はやっぱりドライティーしかないからこういう缶に入れます。
であの〜まあここの上にも干す場所ですからちょうどここ夏だったら風が通る場所ね。
ここの窓とそっちの窓開きますから。
ほんでちょっと暗い。
それは一番干すためのいい場所。
また冬でちょっとストーブの温度でほんとにすぐカリカリになるのね。
でお茶作りたいんだったら2週間ぐらい干したらちょうど効果が強く出るのね。
だから長く…例えば1か月忘れたらあの〜ちょっとその効果が落ちるからね。
だからいつも上に名前を書くんです。
名前といつ干したか覚えるために。
2週間乾燥させたら適当な大きさに切りお茶やノリの空き缶に入れて保存する。
これはノリの缶ですね。
ローズヒップ入れてますから。
こんなたくさんハーブあったら覚えたいと思うけど忘れるよね。
だから「何に何が効く」書きます。
ローズヒップの効果は元気になるとかリューマチとぜんそくに効きます。
あと入ってるのはビタミンAEB1B2Kとかカルシウムがいっぱい入ってストレスみたいなのに効きます。
ドライハーブティーであの〜まあ一年中ドライのハーブティーも作っていますから。
これが一番子供の時から飲んでたのね。
これはバラの実とハイビスカスの花の…。
乾かした花でするんですけど。
これビタミンCたっぷりあるからけっこうイギリスでは赤ちゃん1歳からあげてますね。
おさ湯みたいに。
今日はローズヒップティーを作ろうと思ってるからまず1人に大体小さじ2杯ですから。
入れます。
で大体5分できれいな色が出ますから待ちますね。
鮮やかな赤がまぶしい…。
ビタミンCたっぷりのこのお茶にハチミツを加えると疲労回復効果抜群だそうだ。
ごめんくださ〜い。
は〜い。
こんにちは。
初めまして。
今日はありがとうございます。
プレゼント。
わ〜ありがとう。
すいません。
失礼します。
あの〜隣のキシシタさん。
どうも初めまして。
ヒロコさんといつも一緒に何かいろいろやってるノリコさん。
花の栽培をするノリコさん。
お隣のキシシタさんはガーデニング仲間。
そして花の絵を描くヒロコさん。
今日は花好きが集まった。
わ〜何でしょうね?わ〜すごい。
え〜きれい。
すごいきれい。
最近鳥ね…バードウォッチング。
冬の間にちょっとそれを…。
鳥が…。
あの〜あっちはナンテン食べますから。
こっちでリンゴとか置いといたらすぐやってくる。
ちょうど鳥の勉強してるの。
かわいい。
ありがとう。
ちょっと今日いろんなハーブティー作ったから。
じゃ早速最初はこっちがスペアミント。
ミントだけ。
でこっちはレモンハーブティー。
(キシシタ)もう生のまんま?うん。
フレッシュだから。
あっ葉っぱ出た。
(キシシタ)いいよ。
大丈夫。
頂きま〜す。
あ〜すごい香りが出てる。
すごい!ねっ?
(ヒロコ)おいしい!すっごい香り出てるわ。
それで今度レモンね。
レモンの香りがするハーブ3種類をブレンドしたベニシアさんのオリジナル。
すっごい香り。
レモンバームとレモンバーベナとレモングラス。
すごい。
(キシシタ)あ〜これ強烈かなり。
おいしい。
庭の植物を舌と鼻で味わう。
花好きの友達は喜んでくれた。
次は十薬。
十薬?これどくだみか。
うん。
どくだみ飲まなくちゃ。
(ヒロコ)一番ちょっと刺激的かな。
でも何か抵抗なく飲める。
これミント入ってますか?うん。
ミント混ぜてる。
1種類と違うから飲みやすいよ。
飲みやすい。
ミントが入ってるから。
こういうふうにしたら毎日飲んでも大丈夫よね。
リラックス効果の高いハーブティー。
友達同士気の置けないおしゃべりは続く。
2015/04/05(日) 18:00〜18:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手・選「春を呼ぶ水仙」[字]
春まだ浅い大原。芽吹きを待ちわびる季節は、「庭のある暮らし」に憧れたベニシアの原点を思い出す。イギリスの春を告げる花・スイセンと共に、ベニシアの物語りを紡ぐ。
詳細情報
番組内容
春まだ浅い大原。芽吹きを待ちわびる季節は「庭のある暮らし」にあこがれたベニシアの原点を思い出させてくれる。英国貴族に生まれながら、社交界で忙しい母に寂しさを感じた子ども時代。本当の豊かさを求める心が、ベニシアを東洋へと旅立たせた。インドを経て、いつしか日本へ…。ベニシアの庭で最初に咲くのはスイセン、イギリスの春を告げる花。山里の暮らしの中で、春の訪れを待ちながら楽しむハーブティーのレシピを紹介。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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