菅官房長官が絵を描いた橋下徹と公明党の「密約」全舞台ウラ
2015.02.02
大阪都構想 5・17住民投票実施で合意
「政局のキープレーヤー」と言われながら、結局安倍自民の政策に引きずられ、支持者を失望させてきた公明党。今度は、大阪でも突然の「方針転換」を行い、支持者たちに怒りの声が広がっている。
「12月の衆議院選挙で、公明党は『維新を勝たせたらアカン。大阪がトンデモないことになる』と団結して戦った。それがいきなり維新に協力するなんて、納得できるわけがない。公明党府議、市議のもとには支持者から続々と抗議の電話が寄せられました。『許せない。次の選挙では投票しない』との厳しい言葉もあった。大阪で党のポスターが大量にはがされるという"事件"も起きている。
1月20日には、人望厚かった待場康生(まちばやすお)・大阪市議団幹事長が任期途中で幹事長職を辞任した。『体調不良』が理由だったが、昨年末まではピンピンしていた。混乱の責任をとっての辞任であることは明らかです」(大阪の公明党関係者)
1月20日には、人望厚かった待場康生(まちばやすお)・大阪市議団幹事長が任期途中で幹事長職を辞任した。『体調不良』が理由だったが、昨年末まではピンピンしていた。混乱の責任をとっての辞任であることは明らかです」(大阪の公明党関係者)
橋下徹大阪市長(45)が掲げる「大阪都構想」。橋下氏がいくら力説しても、今ひとつメリットが分かりにくいこの政策に、大阪の公明党は明確に反対し、昨年10月大阪府・市両議会で、提出された協定書を拒否していた。
このまま泡と消えるかと思われた都構想。ところが衆院選が終わった途端、公明党は態度を一変させ、都構想の是非を問う住民投票の実施に賛成。2月の議会で協定書が採択され、5月17日に住民投票が行われることが確実になった。
大阪の公明党は、なぜ豹変したのか。党関係者によると、昨年12月の衆議院選後、公明党の支持母体・創価学会幹部から大阪の公明党に、ある「指示」が下されたという。
「党として、大阪都構想に協力してほしい」
昨年12月24日、クリスマスイブ。公明党大阪府本部代表の佐藤茂樹衆議院議員、党副代表の北側一雄衆議院議員らが東京・信濃町の創価学会本部に呼び出された。学会副会長らにこう通告された佐藤氏らは反発、支持者らになんと伝えればいいのかと食い下がったが、学会幹部らはただ「呑んでくれ」と言うばかりだったという。
佐藤氏らは28日に公明党の大阪府本部に府議・市議らを集め"説明会"を行った。
「佐藤氏らは、『都構想の住民投票に賛成することになった。これは、東京から言われたことだ』と繰り返すばかりだった。議員からは納得が出来ないという声も上がりましたが、(創価学会の)東京本部が決めたことなら抵抗しようがない」(公明党市議)
地方自治が聞いて呆れる
さらに、支持者からも異論が噴出したことは前述の通り。「常勝関西」と言われ、公明党の選挙を支え続けた創価学会婦人部を敵に回してまでの大転換だった。
こうした一連の動きの背景には、菅義偉官房長官の存在があったという。官邸スタッフが明かす。
「先の衆議院選挙で、橋下市長と松井一郎府知事が、公明党の牙城である大阪3区と16区からの出馬を模索、公明党は大警戒していた。しかし、菅さんが直接松井氏に電話し、『ここで出馬するのは維新の会にとっても都構想にとっても得策じゃない』と出馬を思いとどまらせたのです。この時菅さんは松井氏に『選挙が終わったら公明党に都構想で協力するよう、働きかけるから』と密約を交わした、といいます」
もともと自民党の大阪府議だった松井氏は、菅氏ときわめて親しい間柄だ。自民党が野党に転落した直後には、松井氏が大阪に菅氏を呼び出し、「また必ず自民党の時代が来る。その時まで頑張りましょう」と再起を誓いあったほどだ。’12年の自民党総裁選前、安倍晋三氏を日本維新の会代表に担ぐ構想があったが、その時も「菅=松井」ラインが動いていた。
「その松井氏の頼みを受けた菅さんが、旧知の創価学会の副会長にすぐに連絡をとり、『大阪都構想の住民投票までは維新に譲るよう、公明党に働きかけてくれないか』と伝えたという。もちろん、将来の憲法改正で維新の力を借りたい、そのために貸しをつくっておくという計算があったのでしょう」(前出・官邸スタッフ)
公明、維新、自民それぞれの思惑で、市民や支持者を置きざりにした政治家同士の「談合」「野合」が成立、5月17日の住民投票が決まった。「負けたら政界引退」と退路を断った橋下氏は、
「大阪府と大阪市が一体になって世界と勝負する大(だい)大阪をつくりましょう!」
と演説するなど鼻息が荒いが、大阪在住のジャーナリスト・吉富有治氏は、
「地方自治の未来を決めるための住民投票の実施が、中央からの働きかけで決まったとすれば本末転倒です」
と指摘する。
新聞・テレビは汚い舞台ウラに見て見ぬふりをしているが、有権者はそのうさん臭さに気付き始めている。住民投票で、どのような審判を下すのか。
PHOTO:鬼怒川 毅(山口氏、菅氏) 加藤 慶(橋下氏) 共同通信社