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武将、前田慶次の魅力とは?

武将、前田慶次の魅力とは?戦国一のかぶき者といわれる前田慶次の晩年を描くNHK木曜時代劇「かぶき者 慶次」が、明日から放映される。そこでドラマの主人公の前田慶次について、皆はどんな印象、魅力を感じているのか、「おしトピ by 教えて!goo」で「前田慶次に対するあなたのイメージは?」と聞いて見たところこんな回答が寄せられた。

■破天荒で一直線、『花の慶次』で人気

「とにかく派手なイメージ。破天荒で、一直線なタイプ」(ほたる子さん)、「…(前略)弱きを助け強きを挫く、一本筋の通った傾奇者でありながら、義を重んじる武人かな」(ネオようさんさん)、など男らしく正義感のあるイメージを挙げる回答が見られた。

また、「…(前略)『花の慶次』で少年ジャンプに連載されたので、アラフォーの男性には今も根強い人気があるのではないでしょうか」(便利屋お助け本舗世田谷下北沢店さん)、と漫画化されたことが格好いいイメージと人気を支えているという指摘もあった。

■「永遠の一瞬」を生きる

前田慶次はこのように人気が高い歴史キャラクターなわけだが、専門家はその魅力の背景についてどう分析するのか。歴史家とっきぃさんに聞いて見た。

まず、キーワードとなるのが「婆娑羅(ばさら)」だととっきぃさん。

「能力ある武士は感情の溢れるままに鎧甲を飾り立てます。これは欧州の騎士道も同じで、ブルゴーニュ公国では中世騎士道が花咲きました。感情が溢れるままに“生”を生き抜く。こうして生まれたのが婆娑羅という精神です」

自分の存在そのものをひとつの作品に仕立てて、「永遠の一瞬」を生きるのが婆娑羅のエートス(習性)なのだという。それが、男らしい格好良さにつながっているわけだ。

■常に死を意識した生き方

さて、もうひとつ、「傾奇(かぶき)者」というイメージが前田慶次の魅力のひとつによく挙げられるが、とっきぃさんは信長も秀吉も傾奇者だと指摘。では前田慶次と何が違うのか。

「信長や秀吉は天下人です。日本一国を背負っている身なので、慶次のように婆娑羅を追求して、後先のことを考えない生き方をするわけにはいかないんです」

対して、前田慶次のような傾奇者は信長や秀吉のように権力者としての束縛がなく、「永遠の一瞬」に命を賭けられた。それを象徴するように正面に髑髏が描かれた鎧をまとっていたと言われているそうだ。

「常に死を意識していたのではないかと思われます」(とっきぃさん)

結果、この傾奇者の死生観は儒学にも取り入れられ、武士の道徳にまで昇華されていくという。

「婆娑羅精神と江戸時代の儒学道徳を結びつけたのは、意外にもこの傾奇者のおかげではないか……そう思えてなりません」(とっきぃさん)

いつの時代も人々を魅了する前田慶次の魅力、それは死を恐れず生きる強靭さと、その強さゆえの優しさにあると結論づける。

「男なら死を恐れず、理想に突き進め!!」、そんな前田慶次の生き方が魅力の根源なのであろう。

●専門家プロフィール:歴史家とっきぃ
某大学史学科卒業。予備校世界史講師、中学・高校受験専門講師などを経て、現在は家庭教師。歴史家とは、次世代への希望を過去に照らして導く存在であるというのがモットー。
ブログ:「歴史家とっきぃの 振り返れば未来


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