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 中谷元・防衛相は8日、来日中のカーター米国防長官と防衛省で会談した。日米両国の安全保障政策について意見を交わし、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定に向けて詰めの協議を進めていくことで一致した。

 日米防衛相会談は2014年7月以来。2月に就任したカーター氏にとって初の訪日で、中谷氏との会談は初。

 中谷氏は「ガイドラインの見直し作業は日米同盟をかつてない強固なものにする歴史的取り組みだ」と語った。カーター氏は「ガイドラインはこの地域だけでなく世界に大きな影響を与えるだろう」と応じた。

 日米両国は今月末に予定する外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、米軍と自衛隊との役割分担を定めたガイドラインを18年ぶりに改定する予定だ。中国の海洋進出や中東などのテロの脅威を念頭に、米軍と自衛隊との協力を従来の日本周辺から地球規模へと広げていく方針だ。中谷氏は集団的自衛権の行使容認などを含む日本の安全保障法制についても説明した。

 尖閣諸島周辺での中国公船などによる領海侵犯も議題になった。カーター氏は会談後の会見で「日本施政下にあるすべての地域に日米安全保障条約が適用されるという14年のオバマ大統領の発言を再確認した。尖閣の施政を脅かす一方的で威嚇的ないかなる行動にも断固反対し続ける」と語った。中谷氏も「尖閣諸島に関する米国の立場を確認し、力を背景にした現状変更の試みに反対することで一致した」と歩調を合わせた。

 また、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題についても意見を交わした。中谷氏は「日米合意に基づいて堅実に移設を進める」と述べ、カーター氏は支持する考えを示した。(三輪さち子)