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質問力 相手の論理から矛盾を導き出す「対偶」を使いこなす為の練習問題

»2011年7月20日
白熱のディベート教室

質問力 相手の論理から矛盾を導き出す「対偶」を使いこなす為の練習問題

あいだ・たかを

日本は既に国際社会と関わらずには社会・企業活動が出来なくなってきました。この激動の時代、国際化された社会を生き抜くためにはディベート教育が必須と考え、啓蒙活動に励んでおります。

当ブログ「白熱のディベート教室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/taka_taka_hello/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


皆様には、何故か上司や同僚にどうしても言い負けてしまったことはあることと思います。

弁が立つ人は出世できるな、なとどボヤいているより、逆に相手を言い負かすことを考えましょう。

それには、質問力を身につけるのが一番の近道です。


対偶は、相手の論理を使って矛盾を導き出す、ディベートとしても高度な手法です。

でも、実際の場面で自由自在に使いこなすには理論を十分に理解しておく必要があります。

そこで、今回は「対偶」を簡単な例を使いながら、解説をしたいと思います(質問力としての対偶のケース・スタディーは前回並びに前々回に取り上げましたので、ご興味があれば御覧ください)。


では、もう一度、対偶の定義を見ましょう。


たいぐう 0 【対偶】

〔数・論〕〔contraposition〕一つの命題「 p ならば q である」に対して、その後件の否定を前件とし、前件の否定を後件とする命題「 q でなければ p でない」をいう。ある命題が真ならば、その対偶も必ず真である。
(三省堂提供「大辞林 第二版」より)


対偶は、命題「 p ならば q である」を直接証明するのが難しいとき、「ある命題が真ならば、その対偶も必ず真である」ことを利用して、対偶が成立するかを見ることで、命題が真であるかを確認するときに良く使われます。

つまり、「 p ならば q である」が真であるかをチェックするのに、対偶である「 q でなければ p でない」が成立するかを見ればいいのです。


それでは、簡単な例をみてみましょう。

命題:私は東京に住んでいるので、日本に住んでいる。


ここでpとq及び「pでない」と「qでない」は次のようになります。

p:「東京に住んでいる」
q:「日本に住んでいる」

pでない:「東京に住んでいない」
qでない:「日本に住んでいない」


よって、次のようになります。

「 p ならば q である」:「東京に住んでいる」ので、「日本に住んでいる」

「 q でなければ p でない」:「日本に住んでいない」から、「東京に住ん
でいない」


ここで、「 q でなければ p でない」が成立するでしょうか?

「日本に住んでいないから、東京に住んでいない」は成立しますね。

ということは、「 p ならば q である」が真であることになります。

つまり、命題:「私は東京に住んでいるので、日本に住んでいる」は成立する
ということになります。


もうひとつ例題をみてみましょう。

命題:私は東京に住んでいるので、日本人だ。


ここでpとq及び「pでない」と「qでない」は次のようになります。

p:「東京に住んでいる」
q:「日本人である」

pでない:「東京に住んでいない」
qでない:「日本人でない」


よって、次のようになります。

「 p ならば q である」:「東京に住んでいる」ので、「日本人である」

「 q でなければ p でない」:「日本人でない」から、「東京に住んでいない」


ここで、「 q でなければ p でない」が成立するでしょうか?

「日本人でないから、東京に住んでいない」は成立しませんね。何故なら外人でも東京に住んでいることはよくあるからです。

ということは、「 p ならば q である」が真でないことになります。

つまり、命題:「私は東京に住んでいるので、日本人だ」は成立しないということになります。


以上の例をみれば、対偶の意味することがわかりやすくなったかとお思います。

前回消化不良だった方は、前号をもう一度読まれると良いかもしれません。

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