外務省はまた、昨年日本政府が河野談話を検証したことも記述した。河野談話は1993年に河野洋平官房長官(当時)が「慰安婦は本人の意思に反し召集されたケースが多かった」と強制性を認めて謝罪したものだ。安倍政権は昨年2月、河野談話検討チームを設置した。同チームは「河野談話は(具体的な現場調査ではなく)韓日間の外交的調整によってつくられた」とする報告書をまとめた。
外務省はまた、産経新聞の元ソウル支局長が朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の名誉を毀損した罪で起訴された事件も外交青書に盛り込んだ。北朝鮮がミサイルを発射したり、周辺国の首脳が交代したりして、国際情勢に重大な影響を与えた事件でもないのに、個別のメディアが事実確認努力もせずに他国の首脳に関する虚偽事実を報道し、法廷に立った事件を外交青書に載せるというのは異例だ。
ソウル大のパク・チョルヒ教授は「安倍首相は口では『韓国にはオープンだ』と言いながら、実際には韓国と関係を修復する意思がないと判断される」と述べた。静岡県立大の伊豆見元教授は「これまでは日本が優位に立っていたが、最近20年間韓国は急速に成長し、日本は衰退した」とした上で、「もはや配慮は消えた」と語った。
問題の核心はこうした変化が韓国に及ぼす外交的な圧力だ。世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)日本研究センター長は「英文版を作成する点と『価値を共有する』という表現が抜け落ちた点に注目すべきだ。日本は現在、韓国ではなく米国に向かい、『韓国は中国の味方で、日本は米国の味方だ』と語りかけている」と指摘した。これまでは韓日関係が悪化した局面でも、日本社会で「韓日関係は重要なので自制しよう」という声が上がった。専門家はそういう声が聞こえてこないことを残念がった。