佳子さま:フィーバーの秘密 「安全圏内」の魅力

2015年04月07日

2枚目/2枚中

ICU正門脇で佳子さまのお顔をひと目見たいと待ち続ける人々。約45分後、車はぴゅーっと一瞬で走り去った=小国綾子撮影

 精神科医の香山リカさんは「美智子さま、紀子さま、雅子さま……。これまでのプリンセスブームはすべて民間人のシンデレラストーリーでした。佳子さまフィーバーはそうでない。生まれつきのプリンセスゆえの天真らんまんさがある」と指摘する。

 学習院大をあえて中退し、ICUを受験し直したことや、趣味のダンスなど、行動面での「皇室っぽくなさ」にも魅力を感じるファンが多いことに触れ、「適度に皇室っぽくない一方で、皇室の枠組みを決して逸脱しない。ちょっとセクシーでやんちゃ、でも『安全圏内』。これが親世代に好まれるだけでなく、若年層の共感を得ている。今の若者は個性的すぎたり、主張が強すぎる人を敬遠します。与えられた環境に反発せず、その範囲で『ありのままの自分』をエンジョイするのが彼らの価値観だから」と分析する。

 また「天皇の位置づけを含む憲法改正論議や女帝問題、雅子さまのご病気など皇室は今、難しい問題に直面している。佳子さまフィーバーは久しぶりに無邪気に喜べる話題なのでは」と言う。

 ◇“恋愛禁止”のアイドル

 午後4時半。今度は皇居・半蔵門前で、天皇、皇后両陛下に入学の報告に来る佳子さまの車を待つ。「入り待ち」ファンは花見客も加わり、約100人に膨れ上がっている。

 「きたーっ!」。佳子さまを乗せた車に、あちこちで叫び声。隣で中年女性がぼそっと「いらした、とか言ってほしいわ」。あ、確かに。

 皇室取材の長い雑誌記者が教えてくれた。「佳子さまには従来の皇室ファンとは違う層が集まっています。このフィーバーは皇室人気というより、アイドルに対する人気に見えます。ファンの方々のノリが軽いんです。なんか『皇室アイドル』なんですよね」

 気鋭の批評家でアイドルのプロデュースも手がける濱野智史さんは言う。「皇室までがアイドルのように消費対象になった。初期のAKB48メンバーが『普通の子が実はアイドル』だったのと構図が似ている。『身近に見えて実は皇室』ですから」と。

 また「皇室は自由恋愛が難しい。アイドルの『恋愛禁止』と同じで、性が自由化された時代には魅力の一つになる。まして『会いにいけるアイドル』全盛の時代に、握手会もコンサートもツイッターアカウントもない佳子さまは、並のアイドル以上に本物のアイドルってわけです」。

 なるほどなあ。皇室っぽくないけど、実はプリンセス。等身大アイドルに見えて、実は手が届かない。そんなギャップがまた良いのかも。【小国綾子】

最新写真特集