2015/04/06
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企業への不法侵入や勝手な機密情報の持ち出しなど、物理的な犯行を完全に防ぐことはいくらセキュリティ対策を行っていたとしても難しい。特にここ数年、食品工場での外部者による異物混入事件や内部者による情報漏えい事件が相次いだこともあり、多くの企業では、情報システムだけでなくファシリティ面も含めたトータルなセキュリティ対策に力を入れるようになってきている。そこで今回は、物理的なセキュリティ対策では欠かすことのできない入退室管理システムに求められる最新の機能に迫るとともに、昨今の“物理セキュリティ事情”を読み解いてみたい。 |
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そもそも入退室管理システムとは、あらかじめ設定された部屋(=扉)に対して通行する権利を有した人物の入室・退室を管理することを目的とした物理セキュリティシステムである。「いつ」「だれが」「どこに」出入りを行ったのかを特定できるため、企業にとっては組織全体のセキュリティ強化や利便性向上が期待できる。
オフィスや工場、倉庫、研究所等の企業の建物内には、従業員や来訪者、金品や有価証券、顧客情報、機密データなど、様々な資産や社会的信用といった“守るべきもの”が存在している。しかしながら、悪意を抱いた侵入者や内部犯罪者のような、守るべきものを侵すリスクも常に抱えている。そこで、そうした悪意を持った人間に対する抑止策として機能するのが、入退室管理システムである。具体的には、悪意を持った侵入者に対する侵入阻止や侵入監視、それと合わせて内部犯行防止のための個人ごとの通行履歴の管理といったものだ。
さらに最近では、入退室管理システムを利用した災害対策や省エネ、他システムとの連携といった付加価値にも注目が集まっている。
入退室管理システムの基本的な構成は、ビルのエントランスや店舗、オフィスへの出入口、サーバールームや役員室など、立ち入りを許可する人間の層に応じて建物内をエリア(部屋)分けし、各エリアの入退室者が許可された人物であるかどうかをICカードや生体などの「鍵」によって認証するというものだ。エリアの重要度に応じて、認証方式を変えたり、もしくは複数の認証方式を組み合わせる場合がある。
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入退室管理システムの「鍵」だが、元々は文字通りの金属の鍵から始まった。それが磁気カードとなり、接触型ICカード、電子マネーで普及しているFeliCaなどの非接触型ICカード、さらには人の指紋や静脈、声などを使った生体認証へと拡大してきたのである。現在主流となっているのは非接触型や接触型のICカードだ。ICカードに写真や所属、氏名などを印刷して社員証として利用している企業も多い。さらに、入退室だけでなく、PC等のクライアント端末のログインや各種業務システムへのログイン、プリンター・複合機の出力など、情報システムと連携した認証デバイスとしての利用も進んでいる。会社の食堂や売店などで決済が行え、自動的に給与天引きされるといった、社内電子マネーとしての利用も人気が高い。
これらICカードを用いた各種の認証情報と、人事システムやアクティブディレクトリのID情報を連携して統合管理を行うIDカードマネジメントシステムを提供するベンダーもある。
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また、旧来のテンキーで暗証番号を入力するシンプルな認証方式もよく利用されている。それだけでは本人認証機能を作り込むのは難しいが、ICカードによる認証と併用することで、カードの盗用など「なりすまし」を防止できるからだ。物理セキュリティの世界でも、情報セキュリティ同様に二要素認証、多要素認証が増えてきているのである。
これまで生体認証には、コストが高く、空港などの最重要施設に用途が限られる、といったイメージがあった。しかし昨今、装置の普及に合わせて高機能化と低価格化が進んだことから、研究所やサーバールームなど機密性の高いエリアを中心に導入する企業やATMなどの本人確認に利用されるケースが増えている。ICカードのように他人への貸出しや紛失による「なりすまし」が発生するリスクが低いため、ICカードの“穴”を埋めるような併用した使い方が一般的となっている。
生体認証にも様々な種類があるが、最も普及しているのが指紋を使った認証である。指紋認証には低価格かつ装置も小型で済むというメリットがある一方で、生まれつき指の表皮が薄い人や手が乾燥している人、また工場などで扱う薬品のため指紋が消えた人などを認証しずらいという欠点もある。一方で、指紋よりも受容性が高く高精度な、指や手のひらの静脈を使った静脈認証も、コストの低下を受けて人気が高まっている。他にも低コストかつ高セキュリティーな認証方式として真皮の指紋データを読み取る、指透過方式を採用するベンダーもある。 |
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生体認証のうち顔認証については、入室を許さない人間のみ検知する「ブラックリスト方式」には適していても、入室を許可する人間を確実に見分ける「ホワイトリスト型」の運用には、これまでは精度の面から適さないとされていた。しかし技術の進化により認証精度が向上し、また認証に要する時間も大幅に短縮されたことから、ここに来て顔認証システムへの注目度が高まっている。特に2020年に開催される東京オリンピックに向けて、公共施設を中心にニーズが高まるのが確実なことから、更なる性能向上と低価格化が期待されている。
顔認証のメリットは、なんといっても立ち止まらずに歩いたまま認証を行えることにある。機器にカードや手をかざす必要がないため、工場や倉庫、病院・福祉施設など、両手がふさがったまま入退出しなければならないケースが多い施設では特にメリットが大きいと言えよう。さらに、複数人の同時認証を可能にしたソリューションも出てきており、人の出入りが激しい施設などで、スムーズな流れを実現することが期待されている。
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