迷いや不安を乗り越えるとき

社会人2年目なのですが、毎朝会社に行って働いて夜遅くに帰る日々が嫌で嫌でしょうがなく、辞めて別の道に進めないかと思っています。でも、具体的に考え出すと、お金のことや親の気持ちなど色々なマイナス要素が頭に浮かんで行動に移せません。
そこで村上さんに伺いたいのは、ジャズ喫茶の経営者や作家として初めの一歩を踏み出された時に、何か迷いや不安はなかったのでしょうか? もしあったとしたらどのように乗り越えられたのでしょうか? 
(チトス、男性、24歳)

今から考えたらずいぶん無謀なことをしていたみたいですが、そのときには「好きなことをしているんだから、何が悪い?」と思っていました。もちろん少しくらいは迷いはあったんだろうけど、それよりは「好きなこと」の方が強かったです。そして今でも基本的には、「好きなことをしているんだから、何が悪い?」と思って生きております。

もちろん自分が好きなことをしているんだから何をしてもいいんだ、誰を傷つけてもいいんだ、みたいなことにはなりません。当たり前ですね。僕が言いたいのはあくまで「それが出発点だ」ということです。そこにいろんな修正が加えられ、妥協がなされ、そして僕らの人生が形作られていきます。あなたには何か好きなことがありますか? それがすべての出発点です。

村上春樹拝