<認知症>行き倒れ男性の家族「助ける機会あったのに…」
昨年8月に行方不明になった横浜市の認知症男性(当時83歳)が路上で倒れているのを発見されながら、消防や警察に救護されず、その2日後に死亡していた。「何度も命を助けられる機会があったのに。二度とこのようなことが起きないよう救急と警察は対策を真剣に考えてほしい」。家族は強く願う。【山田泰蔵、銭場裕司】
今年2月、遺体の身元確認のため警視庁中野署を訪れた長女(51)と次女(49)は警察官の言葉に耳を疑った。
「(死亡する)2、3日前に警察が扱っているんですよ」
父が行方不明になったのは昨年8月19日。東京都中野区の公園で死亡したのは23日だったが、21日午前と夜に2度、交番の警察官らが倒れていた父と接していたのだ。21日午前は自分の氏名と漢字を正確に答えたという。行方不明者届を出していたのに、なぜ父と分からなかったのか。質問を繰り返しても納得のいく答えはなかった。
東京消防庁中野消防署にも足を運んだものの、不明な点が残った。担当者からは「記録に書いていることしかお伝えできない」と言われたという。
青森出身の父は溶接工として一家を支え、職人気質で頑固な一面がある一方、娘思いで優しかった。若い女性が被害に遭う事件を耳にすると、「そんな思いはさせたくない」と心配し、夜道を娘1人では歩かせなかった。
認知症の症状が出始めたのは3年ほど前。退職したのに「仕事に行く」と出かけようとし、2年前にアルツハイマー型認知症と診断され、要介護認定も受けた。その後も氏名や住所は話せたものの、姉妹は万が一に備え、氏名や連絡先を書いた小さな紙を財布に潜ませた。自尊心を傷つけないよう工夫したが、父は気付けば紙を取り出していた。
今年3月1日、遺骨となった父が約半年ぶりに帰宅した。「おかえりなさい」と母(80)が手を合わせる。「若い時は忙しかった。悔いがない人生に」と退職後はゆったり過ごせるよう気遣い、行方不明になった後は大好きなコーヒーを用意して待ち続けた。「こんな姿になったのは残念ですが、帰ってきてうれしい」。母は気丈に語る。
姉妹は3月下旬、中野署の幹部から詳しい説明を受けた。保護や身元照会をしなかった理由は「受け答えがしっかりしていて不審点もなかった。年齢も若く見えた」からだと聞かされた。姉妹は「真夏のすごく暑い日に、道路や夜の公衆トイレで倒れていたのに、住所も言わなかったのに、おかしいと思わなかったのでしょうか。どんな状況なら保護したのか。公園に連れて行った対応も意味が分からない」と、悔しさをにじませる。
警察署の幹部らは再発防止のため最大の努力をすると強調したという。警視庁地域部はこの事案を教訓に「不審な点が認められない人でも高齢や病気、認知症などで自分の身を守れない人がいる」として取り扱いに留意するよう都内全署に指示した。「父は何が起きているか分からず怖かったでしょう。せめてお布団の上で最期を迎えさせたかった。次に同じような人と接したら、ちゃんと対応できるのでしょうか」。姉妹はそう話し、再発防止を強く求めている。
◇
昨年8月21日午前に男性を介抱して119番通報した近くの公共施設の男性職員(64)は「熱中症や貧血で意識がもうろうとしているかと思った」と振り返る。答えた年齢は20代や40代など二転三転。その後回復はしたが、救急搬送や警察官を強く拒否していたという。警察官は男性を近くの紅葉山公園に連れて行き、いつも公園にいるという50代男性は取材に「男性は体調が悪い様子でずっと寝ていた」と話した。
男性が通った横浜市のデイサービス施設の所長(38)によると、男性は普段から食事や入浴など生活上必要なことでも呼びかけを断る傾向があった。施設に行きたがらない時は「仕事のお迎えです」などと誘い方を変えて働きかけたという。所長は「搬送を断ったのも認知症の影響が大きいと思う。救急隊と警察は受け答えがおかしいことにも気付けたはずでは。男性のような対応を取る人は介護現場では少なからずいる」と話している。
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船橋の高根木戸「居酒屋みんと」で認知症カフェ−認知症患者と家族が懐メロ 3月19日(木) 10時01分 (みんなの経済新聞ネットワーク) | 寸劇楽しみ認知症理解/十和田 4月5日(日) 14時00分 (東奥日報) | 茂木特産・エゴマの人気沸騰 「認知症防止の可能性」テレビ放送で 3月30日(月) 5時00分 (下野新聞) | 倉敷で認知症ケア考えるセミナー 3月29日(日) 21時19分 (山陽新聞) |
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