こんばんは。
私は以前営業職についていたのですが、取引先の人と雑談をしていたら、好きな作家や小説の話になり、唐突にその人が「村上春樹は大嫌い」「村上春樹を読んでる人も嫌い」と言い、なぜ嫌いかを滔々と語り始めました。
村上春樹さんを好きな私としては、反論したい気持ちもありますが、取引先の方でもありますし、そのままフンフンと話を聞いてました。
会社を辞めた今でも、その人とは付き合いがありますが、未だその人に村上春樹さんの愛読者であることを伝えられません。
どうしたら良いのでしょう?
(青い月、女性、38歳)
まだあなたは何を言われても、知らん顔をしていられるからいいですよ。僕は何度も「村上春樹は嫌いだ」という人と会ったことがあります。べつに嫌いでもいいんですが、面と向かってはっきりそう言われると、本人としてはわりに困るんですよね。なんとも言いようがないから。「はあ、気持ちはわかりますよ」とも言えないですしね。
僕が『風の歌を聴け』で文芸誌の新人賞をとって、その出版社に挨拶に行ったとき、出版部長(たぶん)みたいな人に「君の小説にはかなり問題があるが、まあがんばるように」と言われました(なんか、吐き捨てるみたいに)。「そりゃそうかもしれないけど、いくらなんでも本人に向かってそういう言い方はないだろ」と思いましたが、こちらは何か言えるような立場にもないので、しょうがないからお辞儀して黙っていました。そういうことって、それからあとも何度か経験しました。僕が文芸業界にあまり親しみを感じなくなった背景には、そういうこともあります。まあ、何を言われても、ただ黙ってにこにこしているのがいちばん賢明みたいですよ。
村上春樹拝