東海道新幹線の速度向上の歴史【拡大】
JR東海は3月のダイヤ改正に伴い、東海道新幹線の最高時速を15キロアップし、285キロでの営業運転を始めた。所要時間では3分の短縮にとどまるが、そこには奥深い意図と、海外の鉄道関係者も舌を巻く驚きの技術が隠されていた。
「世界の『フロントランナー』として、精いっぱい努力していきたい」(JR東海の巣山芳樹取締役)。北陸新幹線が延伸開業した3月14日。東京駅ではもう一つのセレモニーが行われ、3分速くなった博多行き「のぞみ」がホームから滑り出した。東海道新幹線の速度向上は実に23年ぶりだ。
4万3000キロ走行試験
1964年の開通当初、東京-新大阪間には4時間を要したが、86年に初めて3時間を切り、その後も高速化は続いた。50年で所要時間は半分近くに減り、最高時速も75キロ上がった。
だが、直線が多い山陽新幹線と違い、東海道新幹線には急カーブが多い。高速状態のまま急カーブに進入すると、安全面や乗り心地の面で大きなマイナスになる。速度向上は想像以上の難作業だった。