Windows 10カウントダウン
2週間で更新された新ビルドの目玉Project Spartanを使ってみる
(2015/4/8 06:00)
Windows 10 Technical Previewが、ビルド10041からわずか2週間というタイミングで新しいビルド10049が公開された。なんと言っても今回のビルドは、新ブラウザProject Spartanの有効化がポイントだ。今回は、その概要について見ていくことにしよう。
Windows 10ファミリーで共通の新ブラウザ
Windows 8/8.1では、Internet Explorer 11(IE11)がデスクトップ版、モダン版という2つの顔で提供されていた。その実体は両方ともIE11だったが、モダン版では没入型が採用され、フルスクリーンでのタッチ操作がメインのUIとなっていた。
Project Spartanは、全く新しく設計された新ブラウザであり、Windows 10では、これがメインのブラウザとして提供されることになっている。ただし、IE11も互換性の確保が重要な企業ユーザーなどのために引き続き提供されるということだ。IE11をデフォルトブラウザとして残すためには、グループポリシーを介することになりそうだ。
実際、ビルド10049のタスクバーには両方のブラウザがピン留めされているが、それは筆者の更新前の環境にIE11がピン留めされていたからであって、クリーンインストールした場合にどうなるのかは、ISOが提供されていない今、確認できていない。
Project SpartanはすべてのWindows 10ファミリーに対して提供されるモダンWebに最適化されたブラウザとされている。
今回のビルドで提供されたProject Spartanの目玉機能は、
- コルタナとの統合
- ページへの書き込みとそのデータシェア
- あとで読む機能とリーディングビュー
- モダンWebに最適化された新レンダリングエンジン
の4つ。だが、Microsoftでは、これら以外にも数多くの新機能を今後のビルドで提供していくつもりであるとしている。ちなみに今回のバージョン番号は 0.10.10049.0 で、ビルド10049版バージョン0.10ということのようだ。
ウインドウ表示、全画面表示で大きな違いがない
それぞれの機能を見ていくことにしよう。ただし、コルタナとの統合については、日本語環境での利用がまだ実装されていないために割愛する。
アイコンは青い四角形の中に、どうやら地球を模したマークが描かれたデザインとなっている。他のアイコンと同様に怖ろしくフラットなもので幼稚ささえ感じる。
設定によってスタートページを指定できるようになっているが、現行バージョンではそれが無視され、「新しいタブ」として空白のページが開く。最大化した状態でも、ウインドウ表示にした場合もタイトルバーはなく、タブバーが最上部に表示されている。起動直後はタイトルバーが表示されるのだが、そのあと非表示になってしまうのだ。
タブバーの下にはコマンドバーが常時表示され、戻るボタン、進むボタン、リロードボタン、アドレスバーが並ぶ。さらにその右側には読み取りへの切り替えボタン、お気に入りへの追加ボタン、お気に入り、リーディングリスト、履歴やダウンロードなどのオープンボタン、書き込みボタン、フィードバックボタンが並ぶ。そして再右端のボタンでその他のメニューコマンドを表示する。
Microsoftがまだ完全なものではないとしているのはもっともで、処理速度という点でも現段階では使いものにならない状態だ。こうなるはずという機能もまだ実装されていないものが目立つ。
ページを開いた状態では、最小化、ウインドウ表示、最大化のほかに、いわゆるキオスクモードとして知られる全画面表示モードで利用できる。最大化と全画面の違いは、スタートボタンを提供するデスクトップのタスクバーが表示されるかされないかだ。
全画面モードの時も、タブバーやアドレスバーは表示されたままだ。これで一度に表示できる情報の量は減ってしまうが、新しいタブを追加したり、開いている複数のタブを相互に切り替えたりするのは容易になった。Windows 8/8.1 のモダン版IEでは、タブバーに相当する開いているページのサムネール一覧が通常は隠されていて、タブの切り替えやアドレスバーへの検索語等の入力時に、上または下部からのスライドイン操作が必要だったが、Project Spartanではその必要はない。
つまり、デスクトップでウインドウ表示している時も、全画面表示で没入型UIを選択している時も、ほぼ同様の体験が得られる点に注目しておきたい。Windows 8/8.1 におけるIE11の挙動とは大きな感が方の違いがある。
ページに書き込みができるWebノート
Webサイトが表示されている状態で、読み取りモードボタンをタップすると、ボタンが黒から白に変わり、ページの内容が読み取りモードで表示される。広告などが排除されコンテンツのみが表示される没入モードでの表示だ。試してみると、このモードに入れるサイトと入れないサイトがある。現時点では、このモードでの表示は、8/8.1 搭載のモダン版IE11における読み取りビューと同じものになるようだ。だからこそ挙動も似ている。また、同じページでも有効にできたりできなかったりとかなり不安定だ。
IE11ではスライドインしてアドレスバーを表示させ、その右側の読み取りビューボタンをタップする必要があったが、Spartanでは常にボタンが表示されていて、そこへの遷移を容易にすることで、機能を発見しやすくし、より多くの人にこの機能を使って欲しいと意図していることが分かる。
Spartanの目玉とも言えるWebノート、つまり書き込み機能だが、ボタンを押すと、コマンドバーが非表示になり、そのスペースにマゼンタっぽい色のバーが表示される。この色はOneNoteのイメージカラーと同じで、WebページをまるでOneNoteの背景とみなしているかのようにして、上から各種のメモや注釈などを手描きやキー入力によって書き込めるようになる。ラインマーカーなども用意されていて、重要な部分にマーキングすることも可能だ。
並んでいるボタンは、左からペン、マーカー、消しゴム、注釈、クリップボードへの指定領域コピーとなっている。また右側に保存ボタン、共有ボタン、終了ボタンが用意されている。
ペンやマーカーは説明の必要はないだろう。ペンの色は9色。ペン先のサイズは3種類ある。マーカーは黄色1色だ。消しゴムは現段階では全ての書き込みをクリアすることしかできない。
注釈ボタンをタップした状態で、Webページの任意の部分をタップすると、そこに吹き出しのマークがつき、そこからの引き出し線付きの大きな吹き出しにつながる。この吹き出しの中に、キー入力した文字が記録されるようになっている。
保存ボタンは、これらの書き込み結果を保存するためのものだ。その挙動がちょっと変わっていて、Webページのお気に入りへの保存と同じになる。しかも、お気に入りフォルダ下、またはリーディングリストにしか保存ができない。実際にはファイルとしての保存になっていて、個人用フォルダのAppdata下にある隠しフォルダにHTMLファイルとPNGファイルのペアとして置かれている。しかも、HTMLファイルに描画データやクリップした領域が保存され、PNGファイルにWebページのフルイメージが保存されている点が興味深い。このことからも分かるように、保存されたWebページは画像であり、そこに設定されていたはずのリンクなどは機能しないのだ。いわばコピーした紙のようなものなのだから当たり前といえば当たり前だが、これには賛否両論あるにちがいない。
共有ボタンについては、書き込んだ結果を他のアプリに渡す機能のはずなのだが同様に未実装のようだ。現状では、スクリーンショットのみをOneNoteやメールアプリに渡せるに過ぎない。
リーディングリスト機能が統合
このほか、その時表示中のページを、いわゆる「あとで読む」ことにして保存するリーディングリスト機能がある。Windows 8/8.1のモダン版IE11でも同じことができているが、リーディングリストアプリへの共有を利用していたものであり、リーディングリストアプリが別途必要だ。だが、Spartanではその必要はなく、リーディングリストとして直接保存できる。当然、これらは同じMicrosoftアカウントでログオンした環境に同期されるため、タブレットやスマートフォンで見ていたページを、あとで、デスクトップで見たり、その逆ができたりするようになる。
つまり、リーディングリストアプリの機能がSpartanに統合されているわけだが、プルダウン表示に過ぎないため、目的のページを探しにくい。これなら独立したアプリとしてフルスクリーン表示ができるリーディングリストが提供されていたWindows 8/8.1のやり方が使いやすかったように思う。
このように、鳴り物入りで紹介されたProject Spartanだが、その完成度はまだまだ発展途上にある。ただ、テクニカルプレビューなのだから、それを非難してはならない。逆にいうと、これまで見ることができなかったMicrosoftのプロジェクトの進行過程を見ることができるのは実に興味深いとも言える。まだベータにも達していないバージョン、開発途中だから見せないのが当たり前の半完成品を、こうした形で公開して意見を求めるのはすごく勇気のいることだと思う。
これが今後のビルドでどのように洗練されたものになっていくか、これからその過程を順次見ていくことができるかと思うとワクワクする。最終的に少しでもいい環境を提供して欲しいと思うのは当たり前で、だからこそ、実際に使ってみての感想や要望などのフィードバックが必要だというわけだ。
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