ライターという職業柄、名刺交換の機会は多く、これまでさまざまな名刺管理術を試してきました。各種の名刺ホルダーにはじまり、ドキュメントスキャナーで名刺を取り込んでクラウド管理していたこともあります。もちろん、スマホの名刺管理アプリもいくつか購入して使ってきました。
しかし一番しっくりきているのは、紙のノートを使った整理術なんです。「今どきそんなアナログな手法?」と思われるかもしれませんが、仕事の多くがデジタルでやりとりされるようになった今だからこそ有効な方法だと思っています。
今回はAll Aboutや@DIMEなどで連載しているデジタル・ガジェット系ライターとして、本当にオススメな名刺管理術をお伝えします。
名刺のデジタル化は効率が悪い!
昔は名刺(アナログ情報)のデジタル化が必要でした。そうしないと、Outlookのようなソフトで連絡先を検索できないからです。しかしSNS全盛期の現在。わざわざ名刺をデジタル化しなくても、メールでやりとりした相手なら検索で出てきます。さらにLINEやFacebookでつながれば、直接の連絡はもちろん、相手の日常生活すらわかるわけです。最初からデジタルでつながる関係も増えてきました。
「撮るだけ簡単」をうたう名刺管理のためのアプリもありますが、実際には名刺の読み込みに難があったり、結局手作業で修正しなければならず面倒だったりします。
今回の「ノート名刺管理術」は、アプリでの名刺管理に挫折した人にもオススメなんです。
ノート名刺整理術のメリット
ノートに貼るだけの名刺整理術には、大きく3つのメリットがあります。
メリット1.コストが安い
用意するものはノートと、名刺を貼るセロハンテープ、筆記具のみ。1冊300円のA4ノート(40枚/80ページ)を使ったとして、1ページには8〜10枚の名刺が貼れますから、1冊で最大800枚の名刺が保存できます。名刺1枚あたりのコストは0.375円。100均など安いノートを使用すれば、さらにコストは圧縮できますし、会社の備品を使えばタダです。
メリット2.作業が簡単
小学生でもできる簡単な作業です。空いた時間にできますし、時間もほとんどかかりません。テレビを見ながら、お酒を飲みながらでもOK。ものぐさな人でも続けられる方法であることは私で実証済みです。
メリット3.目的の名刺が探しやすい
名刺は氏名や連絡先以上の情報を持っています。デザインや紙質はバラエティーに富んでいますし、人によっては顔写真や仕事の実績など詳しいプロフィールを載せていることもあります。これら名刺の「個性」が、ノートに貼った後でも見つけやすいことにつながります。
わかりやすいのは名刺に印刷された会社のロゴマークです。とくに大企業は、多額の費用をかけてデザインしたロゴを、広告などで広く認知させています。それだけに、パラパラと高速でノートをめくっていても目に飛び込んでくるのです。A4ノートでは見開きに最大20枚の名刺を貼れますから、かなりの速度で名刺をサーチできます。
TIPS ノートは検索性が高い
デジタルの名刺整理では、名前や会社名を忘れると検索できませんが、この方法ならノートをめくって探し出すことが可能です。
ノート名刺整理術の3ステップ
ステップ1.ノートを買う
どんなノートでも使えますが、おすすめはA4サイズ。A4なら1ページに縦に5枚、横2列、最大10枚の名刺が貼れます。B5サイズのノートでは1ページに貼れる枚数が、横位置4枚+縦位置2枚になります。
ノートの種類は罫線でも無地でも方眼でも、好きなものを選んでください。ページ数が多い方が多くの名刺を保管できますが、全ページ貼り終えるとけっこうな重量になります。
ステップ2.名刺を貼る
名刺をテープで貼っていきます。ここで最も大事なのは、案件やシチュエーションごとにまとめることです。名刺を受け取った時のままグループ化しておくことで、一度にたくさんの人と名刺交換した場合でも、関係性がわかりやすくなります。
当然ですが、横の名刺は横に、縦の名刺は縦に貼ります。これは名刺ホルダーより優れている点です。A4ノートには最大で10枚貼れますが、スペースに余裕を持たせておくと、グループごとのまとまり感が出ますし、メモ書きのスペースが生まれます。これにより、後から思い出せる確率が飛躍的に向上するのです。
一度にたくさんの名刺を貼る時は、ページの下から埋めていくようにすると間隔が詰められます。テープではなく糊を使っても構いませんが、糊では名刺の裏面が読めなくなるのが欠点です。
この際、下から順番に貼っていくのがコツ。テープが重ならず綺麗に貼れます。
二つ折りなど、展開するタイプの名刺は、開いて見やすいようテープの位置を工夫します。場合によっては開いた状態で固定しても良いでしょう。
ステップ3.イベント名を書き込む
空いたスペースに名刺をもらった件名・イベント名を記入します。「製品A広告記事オリエン」「B案件・博多出張」「C社忘年会」「D氏パーティー」といった具合です。日付や場所を入れておくと、たとえばメールするときに「○月○日、△△でお目にかかった□□です」と書くのに役立ちます。
どうですか? デジタル名刺管理に挫折した人こそ、たった3ステップでできてしまうノート名刺管理術をためしてみませんか?
もらった名刺はいつ貼るか? 自分の中にルールを作ろう
普通、もらった名刺は一時的に(もしくは長期間)、名刺入れのポケットに収納されます。この整理法では、ノートに名刺を貼ってしまうと、外出時に参照することが難しくなりますから、そのタイミングが重要です。次の3つのルールで、ノートに貼る名刺、名刺入れにまだ入れておく名刺を振り分けていきましょう。
ルール1 今後やりとりが発生しない名刺は、すぐに貼る
日本人の礼儀として名刺交換したものの、今後連絡することはほぼないと思われる名刺(ありますよね?)。これらはノートにすぐ貼ってしまいましょう。
ルール2 メールを送ったりSNSでつながったら貼る
名刺交換以降の連絡や交流はネット経由でおこなわれるケースでは、メールを送ったり、SNS(Facebook)でつながったタイミングで紙の名刺はノートに移して大丈夫です。名刺をノートに貼るために、こちらからお礼のメールやSNSの友だち申請をするのも手です。
ルール3 顔と名前を覚えたら貼る
名刺交換の直後、または仕事中、「この人の名前何だっけ?」と、こっそり名刺を確認した経験はないでしょうか。とくに同じ案件でたくさんの人が関わるような仕事では、名刺が手元にあると安心できます。顔と名前が一致するようになれば、名刺はノートに移しても大丈夫でしょう。
TIPS また名刺見返すのってどんなとき?
仕事が継続している場合や2回目の打合せなど、外出先でサッと名前を確認したい場合、スマホアプリで名刺を管理していると、どう繕っても「打合せ中にスマホをいじる人」にしかなりませんが、名刺ケースを覗いている程度であれば違和感がありません。
まとめ 安くて簡単で探しやすい
職業柄、デジタルやガジェットを日々使っているデジモノ系ライターの私がごくごく個人的に使っていた「ノート名刺管理術」。
結局たどり着いたのは、安くて簡単で探しやすい、アナログな手法でした。使えそうだと思ったらぜひマネしてみてください。